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ANZA-アンザ- 次元放浪者  作者: 有裏 杉
< 第一章 超大陸グラード編 > 

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目覚め

突然現れた、二人目の暗殺者マークによって攻撃されたルパートとアリア。

アリアはルパートだけでも逃がそうと奮闘するが・・・。

 事態は最悪だ。

 また新たな暗殺者が来た。


「いや、いや。まさか、こんな事になってるなど思いもしませんでしたよ。なぜ、ターゲットが檻から出ているのか。実に困ったものだ。ねー?次元放浪者さん?」


 人差し指をくねくねしながら、俺に指さす。


「まぁ、協会の5強である‟ 智賢のビト ”が来ているなら致し方無いですがね。今もリスキーは、さぞ大変でしょうね。」


 そんな独り言を言いながら、ゆっくりと、こちらに近づいて来る。

 俺の隣には、アリアさんがいるが、さっきの吹き飛ばしで完全にひるんでしまっている。

 俺もそのせいで、左手を痛めた。

 気分は最悪、状況も最悪。

 いったいどうすればいいのか。


「ル・・パート・・・さん・・・。」


(!)


「アリアさん!無理して喋らないで!」

「逃げ・・て。」

「え?」


(「逃げて」だと・・・?)


「そんな訳にはいかない!君だけでも・・・」

「私が時間を稼ぐ・・・から。だから・・逃げて。」

「っつ!!でも!!」


 アリアさんが体を起こす。

 ボロボロの体なのに、頭を打っているのに、・・・それでも立ち上がる。


「ほう?」


 ()()()マークが止まる。


「いったいどうするのです?あなた、もうボロボロでしょうに。」


 笑いながら、マークは喋りを続ける。


「もう安らかに、行かせてあげますから、無理はしないでください。くくく・・私の胸が苦しくなってしまいます。」


 笑う。


「あなたがもう何もしなければ、丁寧に、手際よく、天国へ旅立つことができるのですよ?さぁ、だから無駄な事をせず・・」


「うるさい!!」


 アリアさんが叫ぶ。


「なぜ、あなたは容易く、そんな残忍な事を喋れるんですか?」

「それはですねー・・」

「なぜ、あなたは、そう笑いながら人を傷つける事ができるのですか?」

「ふむ・・・」

「なぜ、あなたは、人を殺す事に・・・。楽しみを持っているのですか?」


 彼女は、泣きながら喋り続ける。


「私は・・・。私は!この世界に生まれた人間です!!どんな事があっても!私は生きなければいけない!!生きたいのです!!!」


「・・・。」


 マークは黙り、聞き続ける。


「こんな体でも、・・・こんな私でも!・・私は誰かの為になっているのです。だから!私はあなたに立ち向かう!ルパートさんには傷一つつかせない!!」

「アリアさん・・・。」


 何も言葉をかける事が出来ない。

 俺は、ただ彼女を見続けるしか出来なかった。


「ふふ・・・。」


 マークが口を開く。


「あっはははははははははははは・・・。はぁ・・・。・・・笑わせるなよ。」


 笑い声から、冷たい声に変わる。


「私は、殺し屋です。人を殺す事を専門とした‟()()"です。残念ながら、あなた方の様に、必死に生きようとしているわけではありません。死ぬ時は死ぬ。生きる時は生きる。それが続いて結局、現状生きて、今に至るのです。」


 俄然とした態度をとり喋る。


「殺し屋にとって、唯一の楽しみは、殺しです。それが好きだから、こうしてあなた達と向かい合っているのです。」


 無情な言葉を淡々と喋る。


「だから、おかしくて仕方がない!私は必死に生きようとしているあなた達、人間が!可笑しくて仕方がない!!私は、殺しという、()()を、楽しむのです!!」


 意味が分からない。

 こんな人間がいたとは。


「狂ってる・・・。」


 アリアさんが悲しい顔をして言う。

 俺も同じ気持ちだ。

 あんなやつに殺されるなんて・・・絶対嫌だ。


「もういいです。あなたとは分かち合う事は出来ないようです。」


 アリアさんは、攻撃の姿勢を構える。


「別に、あなた達と分かち合う事はしたくありません。なぜなら・・・」


 マークも構える。


「退屈なのだから。」


 戦闘が始まる。

 アリアさんは、得意の火魔法を駆使して対抗する。

 一方、マークはそれを問題なく受け流しながら持っているナイフを荒く、俊敏にアリアさんに振り回す。


「今のうちに!!逃げて!!」


 アリアさんが叫ぶ。

 狭い道をアリアさんの援護で守られながら、上への階段へと向かう。


 が、その時だった。

 目の前に、突然槍が現れた。

 空気でできた槍。


 一瞬の出来事。

 それが俺の腹目がけて一直線に飛んできた。

 俺はなすすべもなく、刺された・・・はずだった。


 痛みがない、当たり前だ。

 俺には刺さらなかった。

 彼女が代わりに受けたのだから。


「アリアさん!!!」


 アリアさんを抱える。

 刺された、腹から血がじわじわと流れる。


「くそ!!なんで!!なんで俺を!!」


 血が止まらない。手で必死に腹を抑えるが止まることはない。


「自ら刺さりにいくとは愚かだな。」


 マークを睨む。


「お前!なんてことを!!」


 怒りに溢れている。

 こんな感情が震えるのは、初めてだった。


「どうか、頼む・・・!。止まってくれ・・・!」

「ははは。無駄ですよ、腹部に刺さったのです。治癒魔法をかけない限り血は止まりません。」

「そんな!そんな!!」


 笑いながら奴は近づく。


「さぁ、フィナーレです。大人しく二人とも安らかに眠りなさい。」


 どうか。

 どうか、頼む。

 この人を助ける力を。

 俺を助けてくれたこの人を守る力を。


「頼む、頼む、頼む・・・。」

「ル・・パート・・さん。」

「アリアさん!」


 意識がある!だが、弱弱しい!


「ごめん!!逃げる俺をかばって・・・!!」

「私を・・・置いて。・・逃げて・・。」


 それが彼女の最後の言葉。

 その言葉を聞いた後、彼女は静かに目を閉じた。


「ようやくいきましたか。」


 目の前に、マークが立っている。


「愚かで面白い女でした。さぁ、次はあなたの番です!」


 その言葉を聞いた時。


「愚か?」

「面白い?」


 俺は囁いた。


「ふざけんな。なにが、愚かだ。なにが、面白いだ!!」


 叫ぶ。


「何も分からず、この世界に迷い込んでしまった俺を助けてくれた人だ。優しく、強く、美しい。この人をてめえが侮辱していいはずがないんだ!!」


 叫ぶ。


「今度は、俺が助ける!俺が、守る!!だから!!力を!俺に!この人を守れる力をーーー!」


 無我夢中で叫ぶ俺の思考にある言葉が響いた。


 ‟「 目覚めよ、時の選光者(せんこうしゃ)よ 」”


 暗い地下に、(まばゆ)い光が溢れる。

 一瞬の出来事であったが、すぐ理解できた。

 どうやら、これが俺に与えられた魔力のようだ。


「がああ!!ま、(まぶ)しい!!」


 マークがよろける。


「これが、俺の力・・・。」


 俺から光が溢れていた。

 眩しい。

 だけど、俺には、眩しいなんて思わなかった。


「アリアさん。」


 アリアさんの傷ついた腹を触る。

 すると、意識が研ぎ澄まされ、俺の目に無数の血管が見えた。


「これは!」


 そうか。

これで傷ついた場所を探して。


「見つけた。」


 傷ついた血管。

 その一つ一つに、意識を集中させ、自分の光の魔力を流す。

 すると、どうだろう。

 腹部の傷が、光始め、血が止まった。


「これでよし。後は・・・」


 よろめきながら目を開けようとするマークに、俺は目を移す。

 気づけば、俺から溢れる眩い光は、消えていた。


「畜生、見えづらい!こんな事、聞いてないぞ!!」


 うじうじ言っているマークの方へ歩いて向かう。


「それは、残念だ。俺にはお前がハッキリ見える。」

「近づくな!!風の斬撃(ウィンド・スラッシュ)!!」


 マークは、斬撃を繰り出す。

 普段の俺なら、何もする事は出来ないだろう。

 だが、この時の俺は、()()していた。

 無意識に、身体と、()()()()()()()()()を前に出して、斬撃ごと暗殺者の首を切り裂き、一気に通過。


「がはっ!!」


 マークが倒れる。

 首から血が流れ始める。


「があああああああ!!!」


 床でマークは、もがき叫ぶ。


「お前は、いずれこうなると分かってたんだろ?自身が体験した()()の分だけ苦しめ。」


 俺はそう言い残し、アリアさんの方へ歩いていき、抱える。

 そして、上へと繋ぐ階段に向かって行った。

 後ろから聞こえるマークの叫び声は、少しずつ遠くなっていった。


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