考古学者 消失事件
薄暗い中、ライトの光をあてにして発掘を続ける。
掘り続けても、掘り続けても何も出てこない。
「最も古い遺跡が発見されたというから来たのに。」
男は愚痴をこぼす。
この場で自分と周りの考古学者達含め雇われ作業員は十人もいるはずなのに何もでてこない。
一軒家のリビングほどの部屋だというのに。
しかも発掘調査開始から、今日で一週間。
だいぶ疲労が溜まっている。
「無理だな。」
諦めた瞬間だった。
「ん?」
何か手触りのあるものを触った。
土の中に何かある、間違いない!
急いで、かつ慎重に掘り進めた。
今までの疲労が吹き飛ぶ位の高揚感をあじわっている。
「見つけた・・・、遂に見つけたぞーーーーー!」
叫ぶ。
周りのやつらも集まってきた。
「やっとか!」
「何を見つけた?」
「俺にも見せてくれ!」
続々と俺の周りを取り囲む。
「箱だよ、かなりでかい。中を開けてみるぞ。」
おそるおそる、箱の蓋を開ける。
そして中にあったのは、
「本だ。」
中にあったのは、一冊の本であった。
かなり古びているが間違いはなかった。
早速、本の中身を見てみた。
が、見たこともない文字で書かれてるため、理解する事など不可能であった。
象形文字でもなければ、まず一度も見た事がない文字。
今まで、色んな文字や言語を学んできた自分でさえ無理だった。
もちろん、周りのやつらにも見せたが頭の上に?マークが浮かんでいる。
「いったいなんだこりゃあ。」
「読めん。」
「分からん。」
であった。
数分後また同じ作業に戻った。
続々と自分の定位置に戻っていく。
一旦本を返してもらって、改めて読んでいく。
読めはしないが、何か絵でもないかなぁと思いながらページをめくっていく。
「あれ?」
気づいた事があった。
いや、かなり重要である。
「どういう事だ? そんなはずない なのに、 なぜ・・・。」
「 英語が書いてあるんだ? 」
そこには紛れもない文字。
誰もが知っているであろう、英語が書かれていた。
「英語は古期英語であっても、四百五十年頃に作られた・・・、この遺跡はそれ以前、いや、かなり前であるはず。」
しかも不思議なのが、この単語だ。
意味が分からない。
初めて見た。
英語で書かれているが、書かれているのは、その単語だけなのだ。
「AN、ZA・・・?」
と呟いた瞬間であった。
凄まじい風が吹いたのだ。
地面に這いつくばらなければ、吹き飛ばされる位の暴風であった。
「うわあああああ」
自分の周りのやつらが暴風で吹き飛ばされる。
辛うじて、俺の様に地面でへばりついているやつもいる。
ここは遺跡の地下。
弱い風が入ってくる位なのに、この風はおかしすぎる。
「いったいなん何だよ!こりゃあーー!!」
俺も叫ぶ。
こんなの叫ばないでいられねーよ!と思いながら。
「助けてーーーーーーーー」
後ろから悲鳴が聞こえた。
地面に這いつくばりながら何とか後ろを振り返る。
そこには、穴が浮かんでいた。
自分達が入ってきた入口に浮かんでいたのだ。
いや、穴に近いようだが、そう呼ぶのはおかしい。
穴の中はグネグネと七色に光っているのだ。
他に例える言葉が思いつかなかった。
さっき叫んでいた奴は見当たらない。
もしかしてあれに吸い込まれたのか?
とにかく、どうにかして逃げないと。
地面に這いつくばり、近くの柱まで向かう。
だが、どこからか吹き飛ばされた瓦礫が、俺に飛んできやがった。
当然、避けることはできずに衝突。
俺も穴の中に吸い込まれていくのだった。
手に持っていた本が手を離れる。
薄れゆく意識の中、誰かが本を手に取るのを一瞬見た。
暴風の中、吹き飛ばされずに、ただ1人立ちながら。
最悪・・・だ・・・・・・。
全てを吸い込んだ 穴 は消える。
暗黙。
そこには、誰もいない。
発掘の跡が残っているが誰一人として見当たらない。
人はいないのだ。
人は。
「やっとか・・・・・・。長かった。」
「これで、ようやく手がかりを見つけることができた。」
「まってろ、ANZA。私が手に入れてやる。」
人ではないそれは暗闇に消えていく。
ここで何が起きたのか、どうして人が消えたのか。
外にいる者がそれに気付くのは、この数時間後であった。
誰も、ここで起きた事を知る人間はいないのだ。
< プロローグ 結 >
小説を初めて書いてみました。
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