表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ボロい鉄の剣が最強になりました〜偽物勇者、異世界を往く〜  作者: 瞬殺のコバルト
1章・フィラル大森林
16/26

オークキング

今日は投稿しないと言ったな。


あれは嘘だ!

〈自我交換〉


それは、俺と鉄の剣の自我を交換するもの。

居候1日目、カレジに課されたノルマである「必殺技」という物がこれだ。


つまり、剣の精が俺の身体を自由に動かせるようになるのだ。

その間俺は剣となり、視界が失われる。

世界を朧気に把握することはできるが、俺自身の行動は不可能に近い。


こちらから念話も送れず、俺はかなり不便をすることになる。

だが、それを補ってあまりある能力が、この技にはあるのだ。


まず、剣の精の圧倒的な戦闘能力。

俺が持て余してしまっている身体能力や剣のスキルを上手く使うそれは、悔しいがまさに達人だ。


そして、剣の精が表に出た時のみ発現する特殊スキルがある。それは、〈硬質化〉と〈三重詠唱〉だ。


〈硬質化〉は任意で全身を固くすることが出来る。ただその間は視界が奪われ、身動きも取れなくなる。

ここまで聞くとデメリットが大きく、大して使えないように感じるが、このスキルの強みは超加速との併用にある。


超加速を詠唱した後、〈硬質化〉を使うことにより、超加速の反動を無効化することが出来るのだ。


つまり、詠唱した後一瞬だけ〈硬質化〉を使用すれば、負担無しで超加速を使うことが出来る。


無論、視界が奪われた中でそれをするのは極めて難度が高いが、それは剣の精の圧倒的なセンスが上手く使いこなしているらしい。


そして更に、〈硬質化〉との組み合わせで強いのが、〈三重詠唱〉だ。


これも剣の精が表に出てきている時だけ使える特殊スキルで、二重詠唱の強化版だ。


つまり、〈三連の型〉を放てるということ。

当然、〈二連の型〉で大怪我を負うような俺が〈三連の型〉なんて使えば四肢がもげるだろうが、それを〈硬質化〉との組み合わせで封殺できる。


完全にチートだ。ノーリスクで〈三連の型〉を放てるというのは、敵からしてみたら反則だろう。


しかし、当然弱点もある。まず、この自我交換は3分きっかりで解除されること。

そして、解除されたあとは魔術が使えず、身体能力が40%近く下がること。


だから、剣の精が3分の間にオークキングを倒せなかったら、俺たちは詰むという訳だ。


責任重大だぞ、剣の精(エンディル)


俺はただ、あいつが豚人ノ王(オークキング)を倒すことを信じて、真っ暗闇の世界で1人、待ち続ける。







そして、舞台は切り替わる。


ここは外の世界、赤い肌を持つ豚人ノ王(オークキング)と、14歳ほどの少年が対峙していた。


「ぐ、おお?」


豚人ノ王(オークキング)は考える。

何故、先程まで動けなかったのに突然動いているのか。そして、何故、先程までとは比べ物にならないほどの覇気を纏っているのか。


彼は、決して賢くは無かった。だが、それでも数多くのオークを従えてきた王だ。

故に、これまで数多くの強者と闘い、何度も命の危機を乗り越えてきた。


その、強者が持つ嗅覚が訴えるのだ。

こいつには勝てない、と。


無論、これまで何度も格上相手と戦い、勝利を収めてきた豚人ノ王(オークキング)にとって、それは珍しい事でもなかったし、それでも挑むのがオークの性格だ。


だから、その慣れた感覚のせいで気づかない。

その訴えが、これ迄の何よりも強烈な訴えであることに。


「グオオオオオオォォォオオ!」


強者と相見える喜びに豚人ノ王(オークキング)が叫ぶ。

それに反応するように目の前の少年は貧相な鉄の剣を構えるのが見えた。


先に仕掛けたのは、意外にも少年だった。


超加速・三連の型(ブースト・サード)!!」


少年が、まだ高い声で何かを詠唱する。

豚人ノ王(オークキング)は人間の言葉が分からないが、それが強力な魔術の詠唱であることは、周囲のマナの様子で理解できる。


またあの、突然加速するものだろうか。

あの程度、俺には見えているというのに。


そう、頭の中で少年を哀れみ、そして嘲笑した。

死に瀕した人間が、最後の最後で放つ魔術だ。せっかくだし受けてやろう。そう考え、来る攻撃に構えようと身体を動かそうとした時だ。


少年が、目の前にいた。


「ぶぉるら!?」


それは、彼の目には瞬間移動のように見えただろう。

有り得ない程の加速。あまりに突然の事で身体も反応せず、ただ呆然とするばかり。


当たり前だ。

ついさっきまでの加速とはレベルが違う。


ありえない状況に、彼は足りない頭で必死に考える。だが当然、何か出来るわけでもない。ただ唯一分かるのは、あの存在がさっきまでとは完全に「別」のなにかであること。

そしてーーー


「〈土弾(アースバレット)三連の型(サード)〉!!」


再びの詠唱と共に、少年の鉄の剣が振るわれる。

先程の加速の勢いも乗った剣撃に、オークキングの肌が僅かに裂ける。それは、長年培ってきた彼の強者としてのプライドも引き裂いた。


そして、僅かに血がふきでるそこに、今度は無数の土弾が降り注ぐ。それは並のオークならひとつ当たればミンチになるほどの強力なものだったが、さすがに王ともなればそこまでは行かない。


故に、彼は自分の体を犠牲にする。

完全に回避は不可能。ならば、致命傷を避ければいい。


それは、オークにしては有り得ないほどの適切な判断。

長年の経験が彼の命を救ったとも言っていいだろう。


結果、彼は全身ボロボロで、無数の穴が空いた無惨な姿となったが、心臓などの急所を守ったおかげで息は続いていた。


そして彼は、最後の力を振り絞って叫ぶ。


「グオオオオオオォォォオオ!!!」


仲間たちを信じた豚人ノ王(オークキング)は、結果的にいえば正しかった。


「ブルごぉぉおおお!!」


王の呼び声に反応し、次々とオークが周囲を囲んでいく。そして、数体のオークが倒れたオークキングを運ぼうとするのが見えた。


「させるものか、〈超加速・三連の型(ブースト・サード)〉ッ!」


少年は詠唱し、〈硬質化〉のスキルを一瞬だけ使う。

視界がほんの一瞬奪われ、解除した時にはオークキングの元へ……


「な、にっ!」


俺の身体は、2体のオークリーダーにより受け止められていた。

周囲には、オーク達が立ち並んでいる。


数の暴力。それは時に、個の武威を鈍らせる力を持つ。


「もう、3分が経つ……せめて、周囲のオークを掃討しなければ……」


そうして決意を固めた少年が、捨て身の覚悟で次々とオークを薙ぎ払っていく。


血で血を洗う大乱闘は、最後に残ったオークリーダーの首を叩き落として終わった。

オークに囲まれていた視界が開け、やっと周囲の状況が見えるようになる。


「くそ、もう、3分か……」


全身傷だらけの少年は、開けた視界の中に求めていた物が無いことに気づく。

そしてそれを惜しみながら、彼の意識は深い闇の中に吸い込まれ……


やがて、入れ替わった。





戦闘回なので、ほんの少し短いです。申し訳ない。


ブクマしたり、評価つけてくれると嬉しいです。


あと、1000PV達成しました。みなさんのおかげです。

1週間前まで30PVだったのが信じられません。今後もよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ