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7話『市場調査(後編)』

商業ギルドの商談室にて、購入した10キロメルの石炭袋を前に使う魔術についてイメージをする。

この世界にも地球と同じ物理法則は存在する。魔法や魔術の存在する世界なために、経験則としての物理法則は皆知っているが、理解はしていない。


魔法や魔術を行使するにも物理法則の関与は大きい。炎を燃やすを例にしてみよう。強引に魔力だけで行う場合の消費魔力を100とした際、火種を灯し酸素を送り込み燃やす方法では50しか消費しない、と言った感じだ。物理法則を利用、または物理法則を騙したりして行った場合の方が効率が良い。


ちなみに、『魔法』と『魔術』で言葉を使い分けているのには、理由がある。物理法則を利用したりと知識や技術などを盛り込んだ物が『魔術』であり、強引に魔力でゴリ押したのが『魔法』だ。以前に生産職のレシピブックの話をしたことがあったと思う。あれは、登録した物を材料がなくとも、魔力の消費のみで作り出す方法なので『魔法』に当たる。魔力消費は嵩むので効率は悪いが・・・


話がそれたね。金策を始めようか!終わったら衣の調査もしないとダメだしね。


石炭に行うのは『乾留』簡単に述べるなら蒸し焼きだ。

この処理によって『コークス』を作る。火力が上がるため鍛冶屋等は一度使うと、やめられない止まらないの某お菓子になるだろう。


石炭を結界で囲い『乾留』を行う。石炭内部の揮発性の物質を蒸発させる。暫しの間、焼きムラがでないように一定の温度で焼くのだが、コントロールが難しい。魔力操作の良い訓練になる。


待つこと暫し、コークスが完了する。『解析』を使用し性能と品質を確認する。

品名:王炭(コークス)

品質:B

性質:石炭よりも高温を発する。その火力は2‚000℃にも達する。『王炭』とも呼ばれ、過去のドワーフ王が作り上げた伝説の石炭。


おうふっ!伝説の品を作ってしまったようだ。どうする?売れると思うが大事になるか?これだけの量を持って帰るのもアレだし・・・。


うん、売ろう!


「すいません、商品を売りたいのですが」


「はい、何をお売りいただけますか?」


「王炭です。」


「おうたん?ですか?どの様な物でしょうか?」


「これです。」


「石炭ですね。鉱石関係の担当者をお呼びしますので、少々お待ちください。」


「石炭の買取は10キロメルで銀貨1枚だぞ」


現れたのは、ずんぐりとして背の低い体躯、豊富な顎髭を蓄えた、theドワーフである。


「いや、商品を良く見てください。普通の石炭じゃないですから!」


ドワーフは石炭を一つ手に取り睨む。たぶん『解析』か『鑑定』でも使用しているのでしょう。


「こっ、これは!伝説の王炭じゃねぇか!坊主お前が作ったのか?どれぐらい作れる?10キロメルか?100か?1000か?頻度は?毎日か?」


「ちょっ、ちょっと待ってください。まず、この量でいくらですか?」


「あぁ、すまん。10キロメル袋一杯だな、金貨1枚でどうだ?伝説の王炭だから価値はもっとあるが、あくまでもコレは燃料だからな、高すぎては誰も買えん。金貨1枚が妥当だ。昔もその値段だったしな。」


えっ!?そんなに?3万円が100万円に化けるの?美味し過ぎない?イヤイヤ売るよ、ちょー売るよ。楽勝だし、千でも万でも作れるけど・・・。

いや、売り渋ろう。細く長く稼がせて貰おう。


「週に70キロメルですかね?1日10キロメル袋1つの計算で。」


「分かった商談成立だな。しかし良いのか?坊主。生産ギルドに持ち込んで納品すればギルド貢献度が上がってランクアップできるぞ。」


「良いんです。職の等級で差別するような人の居るギルドの利益にはしたくないので!」


「ワッハッハ、うちの嬢ちゃん連中に感謝だな。そして、生産ギルドご愁傷さまだ。ほれ、金貨1枚。また明日も作ってくれるのか?」


「いえ、普段は学園での生活がありますので、休みの時に此処に来て作る感じでしょうか?なので、休みの日に70キロメル、10キロメル袋7つを購入して作るので、来週分のお金を先に支払っておきますね。」


上手く行った。これだけでも十分楽に生活出来るけど、続いて金策2へ移ろう。


「すいません、卵と酢、食用油を購入したいのですが。」


「あら、もしかして、マヨネーズですか?」


「えっ?!マヨネーズってあるんですか?」


「えぇ、1年程前に隣のイスカニア帝国で商品登録されて爆発的な売り上げを記録してますね。帝国の商業ギルドが得意満面でしたわ。」


そうなのか、異世界定番のマヨネーズで金策は先を越されて出来ないのか・・・。いや、他の転生者の足跡が分かったから喜ぶべき?


「じゃ購入は辞めときます。」


「いえ、イスカニア帝国で流行しているだけで、ここソーンディル王国にはまだ広まってませんから作っていただいて良いですよ。私も食べたことはありませんし。」


「じゃぁ、お姉さんにはこれからもお世話になりますし、個人的にってことで。」


材料を少量だけ購入し、脇に退く。周りから見られないように死角へ。


「よし、『撹拌』そして、完成!」実に簡単である。


「じゃあお姉さんどうぞ!お代は結構てす。」


「まぁ、ありがとうございます。私はナタリーと言いますので、困ったことがあれば気軽に相談してくださいね。」


ほわっとした笑顔だ、おっとり系美人さんです。

ナタリーさんとの親密度が上がった!って冗談です。


さて、金策2は潰えたので、衣の調査をして金策3へ方向転換しますか!


調査の過程は飛ばして、結論を言おう。べ、別に手抜きとかじゃないんだからね!って冗談はさておき。


衣類関係の調査の結界だが、機械製品じゃないから結構な値段がする。と言っても高過ぎはしない、職業『裁縫士』がミシン縫いのような早さで作れるからだ。だが、手縫いには違わないのでそこそこの値はする。一般的に出回っているのは古着だ。新品はオーダーメイドで、買うのはもっぱら富裕層だ。ポリエステルとかの化学繊維を作って売ろうかと考えていたのだがやめた。魔物素材で有用な物があるからだ。こうして金策3も潰えた。


職業の特性を行かし、他の転生者が有してない知識に関することじゃないと金策は難しいと知れたので良しとしよう。

金策1でも十分に儲けは出るしね。


こうして休みは慌ただしくすぎさるのであった。


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