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3話『学園生活の始まり』

翌朝、本日から授業が始まるのですが初っ端から大変です。


****************


「おい、劣等生!お前は授業を受けなくて良い。」

こんな事をのたまうのは、この科の教諭である『ダンタール子爵』だ。爵位が男爵だったら多少は笑えるのに・・・ 無難に返しておこう。

「何故でしょうか?」

「貴様の職業は『錬成士』製作の前段階が仕事だ。この授業は製作の授業なのだから、貴様ができる事など何も無い!大人しく資材倉庫で我々のために素材を錬成しておけ!」

中々の物言いですが、スジは通っているようです。

確かに錬成士では、魔力を込めてポンッとポーションを作ったりは出来ないので半分は正解なのですが。

「『錬金術士』の方々でも最初から魔力だけでポーションは作れないでしょう?レシピに登録するためにも手作業で製作するのですから、私も同じ授業を受講しても良いと思いますが?」

「多少物事を知っているようだが、そんなことは関係無い。貴様は受けなくて良い。以上だ!」


横暴ですね。


このままでは留年でもさせて肩身の狭い思いからの自主退学とかでも画策してそうなので、保険をかけておきますか!

「では確認させて頂きたい点があります。授業の単位はもちろん貰えますよね?後、年次末の製作課題テストは受ける事ができますよね?」

「チッ、生意気な!あ〜分かった、それぐらいは保証してやる。」

「いや〜良かった。これらも受け入れられないなら、学園長に直訴するつもりでしたので!それでも聞き入れてくれなければ、王様に嘆願するところです。良かった良かった!」

「さっさと行け!!」 (コヤツめ〜今に見てろよ。)


****************


さて!言質も取った事だし、素材倉庫へ向かいますか!!


と意気込んでは見たものの素材倉庫の場所がわかりません。

そりゃそうです、昨日入学したばかりなのですから。とりあえずかなりの距離がありますが、学内案内板の地図で確認しましょう。

歩く事15分・・・地図を確認してみたのですが、倉庫らしき物は見当たらず、途方にくれている僕がいますよっと。

「あの、どうかしました?」

こんな授業時間中に、こんな所で声をかけられたもんですから、思わずビクッてなりました。

「ごめんなさい、驚かすつもりは無かったのですが・・・」

「いえ、こっちが勝手に驚いただけですから!」(勝手に驚いたとは変な返しをしたな)と思いつつも、振り返り相手を視界に入れた瞬間、時が止まった。


長くしなやかにカーブしたまつ毛、ハッキリとした目鼻立ちだが、少し垂れた目尻がキツイ印象をなくし可愛らしさを印象付ける。白磁の肌、緩くパーマのかかったハニーゴールドの金髪、ミディアムボブの髪型がよく似合う。そうタップリと時間をかけて見惚れるほどに・・・


「綺麗だ・・・」無意識に呟いていた。

「いえ、その、ありがとうございます。」そのはにかんだ笑顔と共に向けられた言葉で我にかえる。

やってしまった!放心状態で本音が出てしまったようだ、何とか取りつくろう。

「いえ、錬魔学科の倉庫は何処かと思いまして・・・」


************************


やって来ました倉庫です。

錬魔科鍛治科の倉庫が共用で、まさか鍛治科棟の1階が全て倉庫だとは・・・案内板で探しても見つからないわけだ。

アレから何とか立て直し、倉庫の場所を聞き出し、無難に別れたのだが、あんな美少女が居たんだな。


ヨシ! 気を取り直して倉庫の物色だ!


まず、教室1部屋ずつに分類別に素材が収納してあるようだ。この部屋は鉱石類が置いてあるよだ。

銅、鉄、銀・・・。流石に金鉱石や宝石類は別に保管しているようだ、鉄鉱石が山のように積み上げられている場所に向かい手に取ってみる。

「これだけあればスキル鍛え放題だな、『地金化』。」淡い光を放つ魔法陣が現れ、手の中の鉄鉱石が消え、代わりに鉄のインゴットが現れる。僅かな魔力を消費して製品を作り出せる。魔法は便利だ。

この『地金化』の魔法だが構成される魔法スキルは、『範囲結界』『炎熱操作』『固体操作』『組成変化』と初期魔法にも関わらず中々にテクニカルだ。さて製品を確認しないとな。

「『解析』」『鉄のインゴット:ランクC日本製に比べて品質が悪い』ランクCでも日本製の方が高品質とは、改めてメイドインジャパンの凄さを実感するな。鉄鉱石をインゴットにしては解析を行う。少しずつ含有炭素量を調整し日本製の鋼を目指す。


魔力枯渇しては回復して、また作業に戻る。三時間ブッ続けで錬成を繰り返し、やっと日本製の鋼と同品質の物が作れたのでレシピスクロールに登録する。


レシピスクロールとは、生産職に共通して持っている基礎スキルであり、登録する事で素材は無くても、魔力のみで登録した品質の物を作り出す事ができる。地球の生産者からすれば余程のチート能力だと思うが、こちらの世界では常識だ。この価値観の違いが厄介でもあり武器でもあるんだろうな。


「さあ、他にも色々試して作って、錬成魔法スキルを鍛えるか!」超速再生と並列処理スキルをフル活用して、時間の許す限り作って作って作りまくってやりますか!気合いは十分、こんな感じで異世界学園生活はスタートするのであった。






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