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10話『武具作成(後編)』

あけましておめでとうございます。

年末年始の休暇中、しかもステイホームな状況にも関わらず執筆が進みませんでした。

ごめんなさい。

休暇があると、体調を崩しがちになるのが不思議です。

気が緩むからでしょうか?

やって来たのはお馴染みの商業組合。勝手知ったる我が家のごとく販売カウンターへ


「今日は、ナタリーさんが窓口ですか?」


「ええ、そうですよ。今日サバスさんは王都へ出かけてますので」


サバスさんと言うのは、最初に販売カウンターで応対してくれた、the執事の風貌を持つダンディー紳士である。名前を聞いた時に心の中で盛大に『惜しい』と叫んだのは言うまでも無い・・ ・


「今日はどうしたんですか?」


「ブロワさんはいますか?」


ブロワさんは王炭を鑑定してくれたtheドワーフさんのことだ。単純に同じドワーフなら腕の良い鍛治士を知っていると思ったからだ。期待してますよ、ドワーフネットワークに!!


「少々お待ちくださいね」


待つことしばし・・・


「坊主、儂に何の用じゃ?」


「この都市で、一番腕の良い鍛治士を紹介してもらおうと思いまして」


「そう言うことは生産者組合で聴くものだと思うが?」


「前にも話したと思いますが、生産者組合はちょっとね」


「まぁ良い、南の工業区で南門の西側に路地を3本程越えた先に『鋼鉄の腕』って言う名の店がある。店主のザカルドってヤツを尋ねるといい。無愛想じゃが腕は恐らくこの都市一番じゃろうて」


「『鋼鉄の腕』のザカルドさんですね。ありがとうございます。」


やってきました南門、ここに来るのは初めてですね。西側へ路地3本先って言ってましたけど、もの凄く暗いですね。攫われて連れ込まれる場所って感じです。工業区なだけあって、そこら中で鉄を打つ音や師匠が弟子を怒鳴る声が聞こえてきます。攫われた時に叫んで助けを求めても周りには聞こえませんね。


そんな事を考えつつも路地を歩き目的の場所へ近づく、3本目の辻に来たので辺りをキョロキョロと見渡す。

鍛治士の工房のはずだけど、近場からは鉄を打つ音が聞こえない。不思議に思いつつ看板を探す

鍛治工房なのだから、ハンマーや鉄床の看板だろうと思い見て回る。しばしの間うろうろしていたら、ある看板が目に付いた。


まさかの鉄で出来た力こぶを主張した腕の像が軒先にぶら下がっていた・・・


「確かに『鋼鉄の腕』だわな」


腕の像を見る限り細部まで作りこまれており、腕は確かなようだがデザイン力はアレかも知れない、装飾類は口出しさせてもらった方が良いだろうと心に刻み込む。


「すいませ〜ん。ザカルドさんはいっらっしゃいますか?」


「おう、ちょっと待ってな」


奥より声が聞こえてくる。鍛治仕事の音が聞こえて来ないので留守かと思ったけど、不在でなくて良かった。でも鍛治工房なのに何も音が聞こえないのは何故であろうか?

現れたのはやはりドワーフ。頭巾を被り如何にもな鍛治士スタイルだ。


「すまんな坊主、今は作成依頼は受け付けていないんじゃよ。ありきたりな武器の作成依頼が続いたせいで、どうも意欲が湧かんでのぉ」


「あ、いえ僕の依頼はコレの研ぎなので」


ポーチの中からナイフと槍の穂先を取り出し見せる。


手に取り隅々まで眺め、驚いた表情を見せる。次に手のひらに乗せ、軽く上下に揺する。重さを確認するそぶりを見せた。


「ふむ、坊主これには儂の知らない技法で作られているようじゃな、鋼鉄にしては比重が違う。誰が作った物か教えてくれんかね?」


凄いですね、持っただけで違いが判るんですね。これは凄腕の期待大ですねー


「それを作ったのは僕ですよ。」


「なに⁉︎坊主が?坊主は鍛治士なのか?・・・いや、鍛治士なら研ぎが出来ないのはおかしいからのう」


「僕は錬成士ですよ。」


「錬成士じゃと?ふ〜むこれほどの物が錬成士にも作れるとは・・・。坊主、これは儂の様な上級鍛治士ハイスミスが作る様な一品じゃぞ」


「そうなんですか?(この人上級鍛治士なんだ)」


これは嬉しい誤算です。地球の知識で作った物が、こちらの世界では上級鍛治士レベルとは、今回のことで専門職と同じことが出来ることが分かったのは大きい。

本来なら熱し、槌で叩いて鍛える事で素材の粒子を均質化して靭性を強くしたりさせるのだが、錬成術では叩く必要はなく、知識さえあればそれこそ、原子レベルで均質化を行なったりも出来るだろう。専門知識が無いので原子レベルで均質化してどうなのか?は分からないけど・・・時間があれば要検証だな。


「えっと、研ぎの依頼と革鎧が欲しいのですが、防具は作るのが難しくて」


「そうか、皮鎧は見繕っててやるから、コレのつくりかたを教えてくれんか?勿論報酬は払う。鍛治士として未知の技術は是非とも知りたいのでな。報酬はそうだな、金貨600枚でどうじゃ?」


「そんなに貰えるんですか?」


「当たり前じゃ、秘伝を教えてもらうんじゃから報酬は多くなければならん」


「分かりました、お教えします。」


「まず、刃の部分と芯の部分で・・・」


リンゴォ〜〜〜ン、リンゴォ〜〜〜ン


夜の鐘2つ、20時のを告げる鐘の音が鳴り響く。


「むっもうそんな時間か。今日はコレまでだな、良い知識を得ることが出来たわい。皮鎧と報酬金は用意しておくので明日にでも取りに来てくれ。」


「分かりました、それではまた明日」


学園の寮へ向かって僕はダッシュする。寮の門限は18時だからだ。

学園の塀をよじ登り寮へ向かうと玄関口に仁王立ちする人影が見える・・・


や っ ぱ り お こ ら れ た ・ ・ ・



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