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神器遣いと竜姫の闘舞(ダンス)!!  作者: いぬぶくろ
豪結
38/42

10

「ちょっと聞きたいんだけど」


 目的地――港まで飛んでいる最中に、堰神が問うてきた。


誘拐(さら)われた人って、本当はどんな関係なの?」

「クラエスか? 父さんの知り合いだよ」

「なら、なんで竜人なんて呼ばれているの?」

「知るか。誘拐犯に聞いてくれ」


 クラエスと連絡が途絶えた時は、焦りから冷静に考えることが出来なかった。しかし、今はクラエスの行方も大よそ掴むことができ、方針も決まっているためだいぶ落ち着くことができた。

 そうなると、なぜクラエスが竜人として誘拐されたのか、という考えに至る。

 クラエスが来てから、俺がクラスで上位成績を収めるようになった、とは言っても、そこからクラエス=竜人という考えは成り立たないだろう。


 なら、どこかから情報が洩れたと考えるべきだ。その場合、洩れるとしたら宮川さんか――如月さん……?

 父さんの部下だったという松島のあの話のせいで、如月さんの姿が一瞬、頭をよぎった。それをすぐに、頭から吹き飛ばす。

 あんな奴が言った言葉を信じることはない。第一、如月さんは俺たちの心配をしてくれていた。


「獅童君……?」


 俺が突然、(かぶり)を振り出したからだ、堰神が心配そうに聞いてきた。


「大丈夫だ。とにかく、話は後にしてくれ。今は、目の前のことに集中したい」

「うっ、うん、分かったわ」


 先ほどまで主導権を握っていた堰神は、気圧されたようにあっさりと引き下がり、飛ぶことに集中した。

 そして、海に出る――港で目的の船を見つけた。着陸して間もないのか、それとも空港へ戻るためなのか分からないが、デッキの上でローターを回した状態で待機しているヘリコプターを載せた船が見えた。


「よし、日本船籍よ。これなら、問題なく止められる」

「んで、どうやって止めるんだ!?」

「乗り込めばいいのよ」


 船の名前は『OASIS』というらしい。堰神が使用しているパッドには、船がどこの国の所属か書かれているのか、外観だけでは俺に判別できなかった。

 堰神は宣言通り、乗船許可を取ることなくそのままヘリポートへ着地した。俺もそれに続き着地する。

 さてこれからどうするか、と堰神を見ていると、目の前にオープンチャンネルを現すウィンドウがポップした。


「こちらは、神代学園所属の神器遣いです。誘拐犯がこの船に乗り込んだという通報があり、近くを警邏していた我々が来ました。ただ今より、この船を調べますのでご協力をお願いします」


 堰神が言ったことは全て嘘っぱちだ。それらしいことをそれっぽく言っているだけで、通報を受けた訳でも、俺たちが担当となったわけでもない。

 しかし、俺にとってはそれがありがたかった。


「でも、フェリー会社は信じるか?」

「信じるも信じないも、神器遣いが来たのよ。遊びでやって来たわけじゃない。蔑ろにしたら、何が起こるか分からない、と相手は考える。まともな会社であれば、考える」


 なるほど、と納得したところで、通信が入った。

 船長からの通信かと思ったが、後ろで待機していたヘリコプターの機長だった。


「この機体には、私と副機長以外、誰も乗っていない。件に関して、我々は関与していないため戻らせてもらう」

「いいえ、それはできません。事件が解決するまで、全員、下船は許可できません」


 ヘリコプターの方を一瞥することなく、堰神は静かに言った。しかし、オープンチャンネルなのでヘリコプターの機長はこの通信が聞こえているはずなのに、ローターの回転数を上げ始めた。


「おい、あのヘリコプター、離陸するつもりだぞ!?」

「信じてもらえなかったのは、たいへん遺憾ね」


 ため息を吐くと、堰神は肩に帯刀していた刀型の粒子刃(フォトンブレード)を引き抜くと、振り向きざまにヘリコプターに向かって一閃した。


「うわっ!?」


 オープンチャンネルからヘリコプターの機長たちからの悲鳴が聞こえると共に、続いて、ガランゴン、と堰神によって切り落とされたプロペラが船体にぶつかりながら、海へ落ちて行った。


「勝手な行動は許可されていません。全員、我々の指示にしたがってください」


 あまりにも滅茶苦茶な行動だったが、逆らわない方が良いと判断したのか、先ほどプロペラを切り落とされたヘリコプターから文句が飛んでこず、船長からも通信が入らなかった。


「では、我々の――」


 と言いかけたところで、堰神が黙った。それに釣られるように振り返ると、堰神が一点を集中してみていた。

 何か来たか、とそちらを見ると、大きく開かれた扉から歩いてくる人影が見えた。

 影となっている時は見辛かったが、その顔が日に晒されることで輪郭がはっきりとした。


 その見覚えのある顔を見て、俺はため息を吐いた。


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