平安の安泰の為に。
私は春宮神社の娘、春宮柚葉。
この春高校を卒業する。
高校卒業後は、大学へ進学し、何処か無難な会社に就職できればいいなと思っている。
うちの神社は兄が継ぐ予定だから、気楽なものだ。
けれど毎日手伝いはしているけれど……。
「柚葉。掃除が終わったら境内の葉っぱを掃いてくれ。桜の花びらは綺麗だが、なにぶん多くてなぁ。その後は巫女の踊りの練習だ。後継でないにしろ、お前も立派な一員なんだから、頼むよ」
「はーい」
毎日父からそう言われている。
まぁ、家族が助け合っていくのは当然なんだけど。
私は箒を持ち、境内を掃き始めた。
「見事な桜だ。卒業式も満開だといいなぁ……」
うちの桜は参道沿いに咲いており、毎年綺麗に花を咲かせる。
けれど掃いても掃いてもキリがなく、本当に骨が折れる。
でも掃除しないと花びらで足を滑らせてしまうから、大事な作業だ。
「階段上から掃いていこう」
一人呟き、拝殿前の階段から掃いていった。
そして徐々に下へと掃き、参道沿いも掃く。
一旦チリトリで花びらを集め、ゴミ袋へ。
「裏手まで舞ってるな……」
神社の裏手は竹林になっている。さして広くはないけれど。
「竹の子獲れないかなぁ」
鼻歌交じりに竹林の前を箒で掃いていると……。
『私の声が聞こえますか? 聞こえるなら返事をして下さい』
何処からともなく声が聞こえてきた。
「な、何!」
持っていた箒を手放してしまった。
『聞こえるのですね? ではこちらへいらして下さい』
「どなたですかぁ……?」
誰かのイタズラだろうか?
おそれつつも、声がする方、竹林の方を見遣った。
「やだ、誰も居ない? 何なの?」
『恐れずとも大丈夫です。早くこちらへ……』
箒を拾い、強く握り意を決して竹林に足を踏み入れた。
「何処から聞こえたんだろ」
辺りを見回し竹林を進む。
と、真ん中辺りが光っている一本の竹が目に入った。
「何これ! 何かのおとぎ話⁈」
『やっと来て下さいましたか。積もる話は後にして、一緒に参って頂きたい』
「竹が喋った! 」
『厳密には違うのですが、まぁ良いです。さ、もっと側へ』
やだやだやだ!怖い怖い怖い!
でも身体が自然と光る竹の方へと進んでしまう。
一体何なの!
私は大きな光に包まれた。