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青年、便利屋を経験す

「ここが依頼斡旋所になるわ」

椿に紹介されたのはウエスタンの酒場を連想させるものであった。木製のそれは管理が行き届いてないのか、所々欠けておりインパクトは強い。中から大勢の人の話し声が聞こえる。

「マスターさーん、帰りましたよー」

「おお、椿ちゃん。済まないね、この時間は昼時で人が多くてな。貴方方が親御さんですか?いやずいぶんとお若い」

老齢の男性がツヴェルフ達に向かい軽く会釈をする、その間も手を止めることもなく仕事をしている。

「お忙しい中すみません、また出直しますね」

「ああ、いいっていいって。忙しいけど席は空いているからそこで待っていてください」

「では、お言葉に甘えて」

ツヴェルフ達はバラキエル、椿とともに空席だった場所をとる。

「マスターさん、いい人なんだよ。人当たり良いから結構慕われてるみたい」

「そうみたいね、ここで食事している方殆どが彼を慕っているのでしょう」

「僕は無理だな、圧力に負けちゃうよ」

「もー、さっきから弱気ばっかで。主人なんだから少しはちゃんとしてよ」

「ご、ごめん」

バラキエルの指摘も最もだ。ツヴェルフは先程の戦闘でしか良い所を見せていない、それ以外は唯のヘタレでしかない。事実中の青年はヘタレであった、他人に会えばどもり、何かすれば失敗が殆ど。

「パパは不安定だよね〜それくらい出来そうなもんだけど」

椿が机に顎を乗せ、頭をガクガクしながら言う。

「過大評価だよ。まあ、でも、ありがとう」

「ふへへ♪」

頭を撫でると椿はだらしない声を上げる。

「椿ばっかり、ズルイ。たまには私も可愛がってっ」

「あ、バッちゃんは今度な。人前でやる事じゃないから」

「何しようとしてるんですかー」

イヤーンと身体をくねらせながら頬を赤くしていると

「いやすまない、待たせた。お取り込み中だったからな?」

椿の言うマスターが対面に座った。既に30分は経っており、人もだんだん疎らになっていた。

「構いません、それより貴重なお時間を使わせてしまって申し訳ありません」

「先程もおっしゃいましたが気になさらないでください。しかしほんとに腰が低いですな、椿ちゃんの父親と聞いて恥ずかしながら傲慢なのかなと予想してしまって」

マスターは人差し指で頬を掻く。

「ああ、なんかそう思われる事は昔多かったですよ。どうも鬼って粗暴者ってイメージが強いらしくて、よく怖がられました(主に初心者に)」

「そうなんですか、なかなか大変な時代に生きたモンですな」

軽い話題を続けていくうちにマスターはおそらく本題であろうことを切り出す。

「時にツヴェルフさん、あなたに倒していただきたい物・・・いえ、物というのは失礼ですね。方がいるんです」

「倒していただきたいというのは本当の殺害なんですか?それは受けたくないのですが」

「ああいえ、あなたがそういうのに肯定的でないのもわかっています。今回はお灸をすえる祖言う意味合いが強いです。こちらとしてもいなくなったら困るし調子に乗られたらそれも困るみたいなもので」

マスターが一枚の紙を取り出す。そこには詳しい内容が記されていた。

「一応古代からいる竜なのですがね、最近暴れまわっているようでこちらも応戦したのですがなかなかに手ごわく」

「(レベル差なのかな?)そうなんですか、殺しでないなら受けることにやぶさかでもないですが・・・」

ツヴェルフは左右前の席に座っているバラキエル、椿に目をやる。

「あなた、私は自由にしていいと思いますよ。極論困るのは私達ではありません」

「お父さん、私は受けてみたい。もっと強くなりたいし」

「そちらの家内さんはばっさり言ってくれますな」

「はは、気が強いのは確かかもしれません」

「ではどうします?」

「そうですね・・・」

ツヴェルフ自身この世界で自分がどの位置にいるかを知りたい。先ほどの一般人はともかくそういう存在が多いのであればバラキエル、椿に戦わせるわけには行かない。

「受けようかと、色々確認したいこともありますし」

「そういっていただけると、いつぐらいにたたれますか?」

「そうですね、明日か明後日でも」

少し考えながらセリフを言う。準備にも下調べにもそれくらいの時間があればよいとおもったツヴェルフはそう返した。

「わかりました。それではそういうように依頼を進めさせていただきます」

「お願いします。椿も問題はない?」

「え?ぜんぜん無いわ。なんかいつものお茶らけたお父さんとは違うからびっくり」

「おちゃらけたって・・・さっきの戦闘もそうだったけどそんなにぼろは出てないと思うんだけど」

「嘘言わないでよ、傍から見ればすきだらけの男の人よ」

「椿、それはお父さんの戦い方をわかってないからよ」

バラキエルがそう笑い椿に返す。それが不服だったのか椿は頬を少し膨らまして

「なによー私は確かにお父さんの型を知りませんよー」

顔をそらしてしまった。

「ははは、それではマスターさん僕達はこれで。椿、バラキエル、行くよ」

そういってツヴェルフは二人を斡旋所から連れ出した。

「もし、そこのお方」

出てから数分歩くと修道女に声をかけられるツヴェルフ達。この辺に教会何ぞあったのかと考えていると

「どうでしょう、劇団を崇める教会なのですが見ていかれませんか?」

「・・・いきますぅ」

自分達がどのようになっているか気になるツヴェルフにとって一番の魅惑の言霊だった。

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