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誰かの詩(うた)
二週間前までは一緒に住み
訳もわからず出て行かれ
いまはまた隣を歩く
過去に戻りたいと思ったこともある
彼女は実際に戻ってしまっている
その彼女が言う
戻れてやり直す「時間」は
どこか味気がない、と
過去をやり直すよりも
未来を作りたい、と
戻れた君が羨ましい
でもそれはないものねだり
彼女は言う
でも馬鹿正直に私を信じていた
あなたの強さこそ羨ましい、と
ついこの間までは一緒に住み
自分を変えに出て行かれ
一つ乗り越えまた隣を歩く
過去に戻りたいと願った自分
彼女は本当に戻ってしまっている
彼女が言う
それならこれでおあいこだね、と
そう笑って振り返り
また彼女が言う
過去を受け止めるために
不意にキスをしたい、と
変わった君が羨ましい
でもそれは多分勘違い
彼女は言う
そう馬鹿正直に私を愛していた
あなたの強さで変われた、と
<了>
お読みいただきありがとうございます。




