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六歩目

「変わらぬな、ユキラ」


面白そうにユキラを見ながら、御簾をくぐる。

衛兵も次期王の態度を察し、すぐに下がった。


「だが急すぎるぞ。

いくらお前とて、この戦の折に来られては我もどのように口添えしてよいか。


…いつかのように影の下についてくれば良いものを」


くりくりとした大きな瞳は可愛らしい印象を受けるが、口調はもはや王の威厳に満ちている。

菜々と同い年か一つ上か、それとも大人びて見えるだけなのか。


「今回は僕一人じゃあないもので、影は使えないんですよ。

陛下にお願いしたことがあって、この方を連れて参りました」


「ほう…?そなた、名乗ってもよいぞ」


ガミューオ次期王は少し高いだんに座り込み、菜々の姿を見つめる。

菜々はこれでも一応王族。自分の名乗り方を心得ていた。


「…私は宮ノ内国第一皇女、若・菜々姫。


この度のご無礼の数々をどうぞお許しください。

しかしどうしてもお尋ねしたいことがあり、突然ではありますがこちらに参りました」


ユキラはすでに後ろに下がっている。

ガミューオ次期王は菜々の態度に壇から降り、向き合った。これに驚いたのは側仕えの少年。


「ガミューオ様!

お言葉ですが王座の壇から降りられるなど…」


「我が前に居られるのは、隣国の皇女であるぞ。

対等の立場であるものなれば、壇に登る必要はないであろ。


…そなた、菜々姫と仰られましたの。

我に答えられる物ならば、どうぞ」


丁寧な態度。逆に菜々は委縮してしまった。

こんな立派な心得を持っている王族と、自分が同じなどと、考えるのもおこがましい。

自らその場に膝をつき、頭を垂れた。


この態度に、ユキラはまたうすく笑う。


「私は王族であれど、未だ心持ちも定まらぬ未熟者です。

素晴らしい心得をお持ちの貴方様であれば、

私の生半なまなかな考えを正して頂けるでしょう」


「…菜々姫様…」


面食らう次期王だが、菜々は続ける。


「私は…間違っている。

ですが、どこがどう違うのか、なにを間違えているのか。

焦点が分からないのです。

私は…彼らに、どのようにして願えばよかったのでしょうか?」


菜々のこれまでの事情と疑問点を聞いた次期王は、つぶっていた瞳を、静かに開けた。


「それは……」


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