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すべての道は一つになる

ユキラの処分は菜々に任された。

菜々に力を貸してきたとはいえ、魔法使いで世界征服が目的だったなど詐欺どころではない。背徳行為だ。

だが菜々はショックが大きかったのか、ただ泣いていた。

ガミューオは城内の庭で一人泣く彼女を気遣う。


「ユキラに裏切られて心痛むかえ」


頬を濡らす菜々。

美しく、なったものだ。

ガミューオは一瞬たじろぐ。

最初に見たときより、どこか大人っぽくなった。

菜々は成長している―――ユキラのおかげで。

そう浮かんでは、かき消す。


「ごめん、なさい。

しばらく、一人で考えたいの」


気丈にも軽く笑って、涙を拭う菜々。

ガミューオは仕方なく、背を向けた。



ユキラも考えていた。

これで、うまくいく、と。


――――そう、すべて彼の筋書きどおり。


菜々はおそらくユキラを処刑するか追放する。

そして想いを寄せているガミューオが婚姻を申し込んでくるだろう。

そうすれば―――この国は、強くなる。

菜々は、魔女の危機から脱することができる。


妹は殺さずに魔女界へ転送させた。

『魔女界は諦めて、人間界を手に入れるから――失せろ』と。


嘘だ。嘘ばっかりついている。

魔女界にも人間界にも、ユキラは興味はない。

ユキラが大切にしているのは、


……最初から菜々だけだった。


ユキラと菜々は一度だけ会ったことがある。

菜々は小さかったし、ユキラは名乗らなかった。


たいしたことはない。

習いたての転送術ワープで人間界にきたとき、偶然城内の庭で菜々と遇って―――普通に遊んだだけ。


菜々に、ユキラは初めて人の温もりに触れ、

優しさとか純粋とか真っすぐさとか、

ひっくるめてすべて嬉しかった。


だから、護りたくて。

彼女を、支えたくて。



「……ユキラ、貴方の処分を言い渡します。

王族としてしなければならない決断を、下します」


菜々の声に瞳を向ける。

目が赤い、だが強い意志にあふれていた。

強い、瞳。


ユキラは、菜々の役に立てて嬉しかった。


……これで、うまくいく。


静寂。

静寂。


菜々は、言った。



「これから死ぬまで絶対的危機が起こっても、

一度たりとも、魔法を使うことを禁じます…


そしてこれからずっと、


私のそばを、離れないことを命じます」


ユキラは絶句する。周りも声を失った。

菜々は続ける。


「…へへ。だって

ユキラが誰よりも最初に力になってくれたんだもん。

どんな気持ち故だったとしても、最初に味方になってくれたもん」


ガミューオは、驚いたが苦笑している。


「私の背中を押してくれて、私を支えてくれたのは

ユキラだったから。


世界がほしいなら、あげるよ。

平和であれば、みんなが笑える世界なら、私はいい」


菜々は笑う。

ユキラの思い出のなかの少女と同じように。

……真っすぐに、温かに。


「魔法使いを傍に置くなんて、異端なんだぞ俺は」


自嘲する。菜々は甘い。

どこの世界に行っても、俺は許されない存在。


「いいの、決めたの」


笑顔。なんてことないように笑う彼女。

菜々は、それでいいのかもしれない。

ユキラもつられて笑ってしまった。






『魔女界にも捨てられたお前を、誰がほしがる?!

はは、淋しいの?お兄ちゃん?』


そう、だから世界を征服する。

彼女の笑顔が曇らないように、温かい世界にするために。


「よろしく、ユキラ」


「はい、姫様」


菜々の王の道は、ここからはじまる。


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