成功
優輝「さあ!ここから死のコースを選んでくれ!」
蓮「えっと・・・。」
[首つりコース]
[釜ゆでコース]
[薬殺コース]
[斬首コース]
蓮「なんだよこれ・・・。」
優輝「今回だけ、君に新しいコースを作ろう」
蓮「どんなコースだ!?」
優輝「生き埋めと、銃殺と・・・。」
蓮「ああ、もういい。一番楽に死ねる方法は?」
尚輝「そんなものないさ。」
優輝「いや、あるね。うーん・・・首つりじゃない?」
尚輝「やめろ・・・やめろ!!やっぱり蓮は死んじゃいけない!」
優輝「うるさいなぁ・・違う部屋にやってくれない?迷惑。」
蛇鬼「ははあ!」
優輝「それに、蓮の死ぬところも見なくてすむし・・・ね?」
尚輝「・・・。蓮、恥をかかない良い死に方をするんだぞ。」
蓮「なんだよ、父さんみたいに。」
蛇鬼「おい!早く行け!」
そして、尚輝はドアをすり抜けて出て行った。
せっかく俺のために来てくれたのに・・。 なんだか悪いような気がする
優輝「ねぇ、コース選んだ?早くしないと・・・」
蓮「選んだ。薬殺にする」
優輝「お!意外だね!というわけで頭のよい青年に拍手!」
パチパチパチパチ・・・
蛇鬼「優輝様!用意いたしました・・。」
ドキドキドキドキドキドキ
何だよ今頃。すげえ緊張しちゃって。
そうだ。さっさと死んじまえばいいんだ。すぐに痛いのも終わるんだし
優輝「さあ、薬とコップを持って。もう君ともお別れか・・・。」
蓮「え?また会うんじゃないのか?」
優輝「あ!まだ死んじゃいけない。一つやり忘れていた!」
蓮「なんだよ・・・」ホッ
なんだか心の内がホッと暖かくなった。かっこ悪いな、俺。
優輝「ねぇ、君生まれ変わるなら何になりたい?」
蓮「俺か?えっと・・。魔法使い」
優輝「えっと、もっと現実的なことで・・」
蓮「犬?か人間かな・・。」
優輝「じゃ、人間になりなよ。幽霊だけどね」
蓮「じゃ、人間で。」
優輝「じゃあ、今度こそ飲んで。」
蛇鬼「3、2、1・・・」
蓮「ゴク。」
そうして俺は成功し、幽霊になった。もう、知り合いはいない。
尚輝のように、記憶がなくならなかったことだけが不思議だ。
まるで今は生きているみたい・・・。
また誰かと会って、誰かと一緒に遊んで、食べて、学んで・・・
きっとそんな願いは叶わないだろうけど。
『蛇鬼』は『じゃき』とよみます。