予選終了です
観客席からマナとヒツギを探そうと思った俺だったが、20分くらい探して、結局諦めた。
よく考えてみればばかでかいコロシアムを埋め尽くすほどの観客の中から二人を見つけ出すことはほぼ無理だ。どの辺りで見てるとか、合図でもあれば別だけど、そんなもの決めてないし、さすがのヒツギも今日は棺桶を持っていない。棺桶はヒツギのアイテムボックスでもあるから、今はマナのアイテムボックスに入ってるようだ。
「よーしよーし、ヒメ、お前はやっぱもふもふだな~」
俺は宿にもどって時間を潰すため、ヒメをよんでもふもふしていた。
はじめはコロシアムで試合を観てようと思ったが、どうしても空いてる席が見つからず、ようやく見つけた席も奴隷を複数人連れた貴族の隣だとかで座りたくなかった。かといって、立ってみているという気にもなれず、宿でアナウンスを聞くことにしたのだ。
この町には、一定の間隔ごとに、スピーカーのような魔道具があり、コロシアムのアナウンスを町の中にいれば誰でも聞くことができるようになっているのだ。ほんとこの町にある魔道具の魔力ってどうしてるんだろう。
ヒメと遊ぶこと一時間。第5試合の終了のアナウンスがあった。これから第5試合のインターバルにはいる。俺もコロシアムにいかなきゃな。
「そろそろ行くぞヒメ。テントに入ってくれ」
「かううう」
そんな悲しそうな寂しそうな目で見ないでくれ! 終わったらまた遊ぼうな?
なんとかテントに戻ってもらい、俺はコロシアムに向かった。
コロシアムにつく頃には第六試合が始まっていた。
さっさとあの部屋に行こうかとも思ったが、どうせなら大会を見ようと観客席の方に行ってみた。
なんで俺は立ってでも試合を観なかったのかとあのときの俺を殴り飛ばしたい。
第六試合は、第一試合のように二人が突出してるわけでもなく、第三試合のようにあっさり終わっているわけでもない。よく言えば乱戦、わるく言っても乱戦だ。
一人が魔法で三人を倒せばその一人は別のやつの剣でリタイア。一人切って振り返り様に剣を振るうとすぐ後ろに誰かがきてる。殴られて地面に倒れれば近くのやつの武器が降ってくる。
まさにバトルロイヤルといった状態だ。まさか第四試合や第五試合もそうだったんじゃないか? それぞれで注目選手は5、6人は紹介されていた。まったくないのはここがはじめてだ。それでも決勝に進んだやつの中には紹介されてなかったやつもいた。絶対なんか見所があった試合だったはずだ。
それが頭に浮かんでしまった俺はその場で壁に手をつけた。なにやってんだよ俺…。
結局決勝に残ったのは毎回のように参加してるらしいムキムキのおっさんだった。服は破れて体は傷だらけ。まさに激戦の覇者って感じだ。
彼が広場から出いくのを見て、俺も集合場所に向かった。
集合場所に行くと、先ほどの男が話を聞いているらしく、扉の前で待つようにとのことだった。その時点で俺以外に集まっているのは2,3人で、全員見たことがなかったのでおそらく第二、第四、第五試合の勝者だろう。
そんなことを考えているとワグーサがやってきて、それから扉が開いた。
「決勝進出者の皆様お入りください」
係員に促されて中に入る。中にいるおっさんは興奮している様子で、どこか落ち着きがなかった。
それからしばらくするとアナウンスが聞こえて第七試合がはじまった。だんだんと試合が進むにつれてポツリポツリと決勝に出る選手が集まってきた。そして第七試合が終わるころには11人で、第七試合と第八試合の勝者を合わせて予選を勝ち上がって決勝に行くのは13名だったはずだから人数的には全員揃った。しかし、巨人種の男がいなかった。その代りにここに入れないので代理の者が来ているらしい。どの人なのかはわからないけど。
俺はできるだけあいつの近くに行かないように端のほうにいた。あの騎士団長はまだいないから第八試合なのだろう。第七試合の決勝進出者は女だったはずだ。
それから、これまでと同じように20分のインターバルがあり、その間に第七試合の勝者と思わしき女性が来た。これから話なんだろうか。
その女性が中に入って扉を閉めると、係員が話し始めた。
「えーここに集まっていただいた皆様と、違う場所に集まっておられる推薦された方々と、これより行います、第八試合の勝者1名の合計16名で明後日に決勝トーナメントを行っていただきます。何か質問はありませんか?」
誰も何も言わない。ここまでで質問することなんかあるのか?
「では続けさせていただきます。皆様には、第八試合が終わり、その方に説明が終わり次第広場に出ていただきます。アナウンスがかかりますので、名前を呼ばれた方から順に広場にお願いします」
「広場やったらあいつも直接出たらええな。むしろそうすべきや」
「はい。そうしていただけますか? できるならそのほうがよろしいですし」
「ほな、そうさせてもらいますわ。わいが出る直前で呼び出すさかい、少し時間かかってまうかもしれまへんが」
「大丈夫です。あらかじめアナウンス担当の者に伝えておきますので」
「頼みますわ」
「他の皆様は大丈夫ですか?」
後の人は問題ないようで、みなうなずいていた。その時、アナウンスがかかり、第八試合が始まった。
と思った1分後、試合が終わった。
第八試合に出場していたのはやはり騎士団長だった。しかし、彼だけでなく、もう一人他の連中よりも相当強い人がいたのだ。その人はけっこう若い魔法使いで、その中でも広域殲滅魔法を得意とする魔法使いだった。
まず最初にその人が魔法をつかい、残った人とその人をまとめて騎士団長が狩りつくす。あっさりと耐える人がいることも、それを利用して残りを全員倒し切る人がいることも想像していなかったのだろう。まあそれくらい想像つきそうなもんなんだが…よっぽど強い人とは戦ってなかったんだろうな。
それから他のところで説明を受けてきたのか、それともここに来る最中に済ませたのか、騎士団長が入ってくると同時に俺たちは移動になった。
『さあ皆様、お待たせいたしました! 先ほどの試合ですべての参加者が出そろいました!』
「「「「わぁあああ!!!」」」」
『それではさっそく紹介していきましょう! 一人目は第一試合勝者、勇者は常に勝者であり続ける、天上院古里!』
あいつがまわりに手を振りながら広場の中央まで歩いていく。キャーキャー歓声があがり、めちゃくちゃ目立っている。
『続いては、同じく第一試合勝者、その巨体から繰り出されるは圧倒的力、アブサーラム!』
アナウンスに応じて代理人の男が魔方陣を展開してそこから雄たけびをあげながら巨人が現れる。改めて見るとでかいな。
『さぁてどんどん行きましょう! 次は第二試合勝者、ともに今大会が初参加の2人組、喧嘩するほど仲がいい? 冒険者コンビ、ハイスとルーブ!』
「「一緒にするんじゃねえよ!!」」
「「あぁ!? 真似してんじゃねえよ!!」」
喧嘩しながら中央まで歩いていく二人。やっぱり仲がいいんじゃないの?
『さてどんどんいきましょう! 次は第三試合勝者、ローブの下に隠された素顔はいかに? シャドウ!』
俺はとくになにかすることなく中央まで歩いていく。それでも決勝進出者が広場に向かって歩いているというその一点だけでも盛り上がれるのかワーワーと歓声がやむことはなかった。少しうれしいと感じたのは秘密だ。
『さて、次も第三試合勝者、あの圧倒的な攻撃の中でなんと無傷でいたこの男、それが意味するのは一つしかないか!? ワグーサぁぁああああああああああ!!!!』
「「「「「「「うぉぉおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!」」」」」」」
これが始まってから一番じゃないかと思うくらいの大歓声が上がった。つい耳をふさいでしまったよ。
ワグーサ本人はなんか顔が真っ青になっており、首を左右に振りまくっている。
その後も第四試合勝者、第五試合勝者、第六試合勝者と次々紹介されていき、そして予選参加者の最後の一人になった。
『第八試合勝者、なんとなんと、勇者様のパーティメンバーでもあるこの男、バラーガ・グーテン!』
騎士団長改めバラーガは俺と同じように何もすることなく中央まで歩いてくる。なんでもありませんよーといった雰囲気だが、口元がにやついているのを俺は見逃さなかった。やっぱうれしいんじゃねえか。
『予選を勝ち上がったのはこの13人。残るは推薦を受けたものたち! 彼らもまた推薦されるにふさわしい強者たちだ!!』
やはりおこる大歓声。俺はというかここにいる全員がいったいどんな人物が推薦されているのかわからない。どれくらいの体格なのかとか、どんな戦い方をするのかとか全然わからない。
俺はだれが相手でもいいように少しでも対策を考えようと、次に紹介される選手がやってくる予定の通路に視線を向けた。
どうもコクトーです
『刈谷鳴』
職業
『ビギナーLvMAX(10)
格闘家 LvMAX(50)
狙撃手 LvMAX(50)
盗賊 LvMAX(50)
剣士 LvMAX(50)
戦士 LvMAX(50)
魔法使いLvMAX(50)
冒険者 Lv69/99
武闘家 Lv47/60
薬剤師 Lv35/60
鬼人 Lv18/20
????の勇者Lv10/??
狙撃主 Lv32/70
獣人 Lv8/20
狂人 Lv1/50
魔術師 Lv1/60
ローグ Lv1/70
重戦士 Lv1/70
剣闘士 Lv1/60 』
騎士団長について、これまでの話でとんでもないミスをしていました。
詳しくは活動報告で書いてますが、騎士団長の名前が4つあるというご指摘をいただき、すぐに確認、訂正しましたが、まだ訂正しきれてない場所がある可能性もざいます。もし見かけた方はお手数ですが感想まで報告お願いします。
今後はないようにメモをわかりやすくするなど対策を考えます。
ではまた次回