アライエの町です
遅くなりました。
この話から第4章が始まります。
「もう間もなくアライエの町に到着します。お忘れもののないようお願いします」
イリアスの町を出て、馬車で揺られること丸一日、俺たちはアライエの町についた。
アライエの町の入り口は東西南北とその間の計八つ。それぞれからまっすぐに町の中心まで道が延びている。
馬車は南東の門から入ってすぐのところで止まった。
「ついたみたいだな。そっちはすぐに登録しに行くのか?」
俺は馬車の中で意気投合した冒険者のポールと話していた。
ポールは片手剣と片手で持てる盾を使う戦士職の男だ。でも弓も使えるらしく、先制攻撃は弓を使うことも多いらしい。体つきはごついわけでもヒョロヒョロなわけでもなく、それなりに筋肉のついたちょうどいい感じで、顔も優しげで話してみるとけっこういい人だった。
「いや、僕は先に食べ物でも買ってくるよ。バルの調子も確認してから受付をしたいしね」
彼には火鼠という、文字通り火を操る鼠のモンスターを使役している。大きさは50cmしかないヒメよりさらに小さく、ヒメの背中に余裕で乗れる大きさだった。なんでも探知能力に優れていて狩りにものすごい重宝するらしい。その小さな体に似合わず、戦闘力は結構高いらしい。バル自身も戦闘は好きなようで時折ポールに知らせずにモンスターに先制攻撃を仕掛けて倒してきたりもするらしい。失敗することもあるらしいが、成功したときの誇らしげなポーズがかわいくて許してしまうと語っていた。
「そっか。じゃあここでお別れだな。俺たちは先に受付済ませてくるから」
「じゃあまた大会で会おう!」
ポールは頭にバルをのせて元気よく歩いていった。
同じ馬車に乗っていた人たちはばらばらと別れていくが、数人は街の中心に向かって歩き出していた。格好から察するに全員出場者なのだろう。
「俺たちも行くか。それとも俺だけで行ったほうがいいか?」
「私たちも行くよ。今は特にいるのものもないしね」
「食べ物とかは十分に買ってきたしね。しいて言えば服を何着か買っておきたいけどメイも一緒にも選んでほしいしね」
「あ、それいいね。じゃあ受付済んだらみんなで行こうか」
「…それ俺いる?」
「「当然」」
「メイが興奮するような服を」
「買わんでよろしい」
「まあいいじゃない。まずは受付済まそうよ。この道をまっすぐ行けばいいらしいし」
「ヒメも先に呼んでおくか。来いヒメ」
「かああう!」
魔方陣が俺の前に展開し、中心にヒメが現れる。ヒメは元気よく声を上げると、すぐに俺の頭の上に駆け上がった。もう完全にお気に入りの場所となっているのだ。それなりに重いんだが…。
頭の上から降りる気のないヒメを乗せたまま、俺たちは街の中心にあるコロシアムに向けて歩き出した。
馬車を降りてから30分ほど道なりに進むと、ようやくコロシアムの入り口が見えた。
コロシアム自体は街に入った瞬間からずっと見えていたのだが、近づくにつれその大きさに圧倒されていた。ここに連れてこられる前に首都圏のビル群を見ることがあったがそれ以上だ。
入り口につくと、そこには先に向かっていた人たちと、他の門から来た人たちとで列ができていた。ここにいるだけですでに30人くらいはいる。受付は、8か所の入り口で行われており、他の場所が混んでいてここに来た人もいるのか、外周を回っている人も何人か見かけた。
並んで順番を待っている間にも、俺の後ろに列ができる。まあ遅いほうだったから20人前後だったけど。
「お次の方どうぞ」
いよいよ俺の順番が来た。俺は二人に外で待ってもらい小屋の中に入った。受付は小さな小屋の中に机が置いてあるだけだった。そこに男性の職員らしき人物が座っていた。
「ようこそ。えっと…今日は使役魔物の部の出場登録ですか?」
「一般の部と使役魔物の部の両方の登録がしたいんだが場所が違うのか?」
「いえ、ここで両方登録できますよ。出場なさる方の名前と、招待状などをお持ちであればその提示もお願いします」
「出場するのは俺だけだ。招待状は持っていない。少し聞きたいんだが…」
「はい?」
俺は男性の耳元に顔を持っていき、小声で尋ねた。
「ここは偽名を使うことはあるか?」
自分は訳ありだと言っているようなものだ。俺の心臓は今バクバクなっているだろう。
偽名を使おうと思った理由はいくつかあるが、この武闘大会は世界の各国からかなり大勢の人が集まる大会らしい。定期的に行われているこの大会に毎回出るためにこのあたりの町に拠点を移す冒険者も多いと聞く。貴族も結構来るらしい。へたに目をつけられてギルドでの登録名からたどられでもしたら嫌だし、何より二人にも迷惑がかかる。それは避けたいのだ。
「別にかまいませんよ。よくあることですし」
返ってきた答えは意外にもさっぱりしていた。
「よくあることなのか?」
「はい。よくあることですよ。ここには賞金を目当てにあれな人が来ることもよくありますし、どこぞの国の騎士が訓練のために参加するようなこともあります。貴族のお子さんが、正体を隠して参加することも結構あるんですよ」
負けた時に外から何か言われないようにってことなのか。
「冒険者の方も時々ですが偽名を使って参加されますよ。貴族のお抱えになるためにこの大会に参加するような方は絶対にしませんが、すでに名前の売れている方で、そういうのを嫌う方などは偽名をつかったりします。まあ顔が売れてるのだけはどうにもならないですけどね。そういったこともありまして、偽名は何も罰則はありませんし、こちらも理由を詮索することもありません」
「そうか。なら俺の名前はシャドウで頼む。一般の部での出場だ。あと、こっちのヒメは使役魔物の部での登録してくれ」
「はい。そちらの魔物の種類は……ホワイトタイガーの変異種でよろしいですか?」
「かう!」
「ああ。ちっこいだろ? これでもなかなかやるんだ」
白虎で登録しようかとも思ったが、ホワイトタイガーの変異種ということで登録した。馬車の中でポールに聞いたことのない種だと言われて、変異種だと言ったら納得していたのでまあ大丈夫だろう。
「たしかに小さいですね。他の方に取られないか心配ですね」
「? 他の奴の魔物をとることがあるのか?」
「あ、説明がまだでしたね。使役魔物…従魔の部では他の魔物に屈してしまい、所有者との契約が切れることがあるんですよ。キング種やリーダー種を扱う方が大会に出ているときに起こることが多いですね」
「なるほどな。その場合はもう返ってこないのか?」
ヒメ、万が一のことが起こったとしても何が何でも取り返すからそんなこの世の終わりみたいな顔をするな。
「基本的にはそうですね。ただ、その魔物の契約者の方のところにご自分で行っていただいて、交渉によって返していただくことはできます。ただ、その時に権力や武力の介入があった場合は相当重い罪になりますのでご了承ください」
「具体的に言うと?」
「強制転移で魔法等の一切使えない牢屋に転移したのち今度のオークションで奴隷として売ります」
「それはまた…」
「本来ならこんなことしなくてもいいことが理想なんですがね。こうでもしないと危ないんですよ。例えば、契約者を殺して取り返そうとして、もともと契約していた魔物は従えることができても殺された方が契約していた魔物を扱える保証はありません。もし失敗して暴れられたら被害は甚大ですから。あえて厳しく言っておくことでそれを防ごうということです」
「実際にそれが行われたことは?」
「あります。王都に居を構える大貴族の次男がこの制度によって奴隷になりました。ここの領主は良くも悪くも平等な方なので、特例でもない限り権力の介入は認めませんよ」
「特例ってことは認める時もあるのか?」
「さすがに王直筆の書類を出されたりでもしたらお手上げですよ。ただ、王にそういったのを認めるのは全部で3回までという契約をしてますけどね。まあ使われたことはないそうですし、大丈夫でしょう」
「何かほかに禁止されていることは?」
「一般の部に関しては武器や防具として使うもの以外の道具の使用の禁止ですね。首輪を鈍器として使ったりするのはありです。まあ過去に1人いただけですけどね」
俺の周りに棺桶を武器にしてる人がいるからそんなに気にならないな。
「従魔の部では禁止事項は特にありません。魔物自身が行うのであれば召喚なども構いません。ただ、魔物以外を召喚するのは禁止です。主に奴隷や道具類ですね。あと、アンデッドの召喚も禁止です。なぜか結界がうまく作動しないことがわかってますので」
「それだけか?」
「あとは当日契約魔法をかけさせていただきます」
「さっき言ってた力づくで取り返すのを防ぐためのものか?」
「ええ。これの解除方法はただ一つです。『この町から出ること』。ですので、一度ここから出てしまったら魔法の効果は消えますので、十分に注意してください」
「わかった。他に何か注意することは?」
「ございません。以上で受付は完了となります。一般の部のある2日後の朝8時の鐘が鳴る前にコロシアムの受付までお越しください。従魔の部はその翌日となりますので、その日も一般の部と同様になります。遅刻した場合は出場できなくなることもありますので遅れないようにお願いします」
「わかった。ありがとう」
「御健闘をお祈りします」
そうして登録を済ませた俺は、少し離れたところで待っている二人のところに向かった。
どうもコクトーです
『刈谷鳴』
職業
『ビギナーLvMAX(10)
格闘家 LvMAX(50)
狙撃手 LvMAX(50)
盗賊 LvMAX(50)
剣士 LvMAX(50)
戦士 LvMAX(50)
魔法使いLvMAX(50)
冒険者 Lv69/99
武闘家 Lv47/60
薬剤師 Lv35/60
鬼人 Lv18/20
????の勇者Lv10/??
狙撃主 Lv32/70
獣人 Lv8/20
狂人 Lv1/50
魔術師 Lv1/60
ローグ Lv1/70
重戦士 Lv1/70
剣闘士 Lv1/60 』
レベルマックスが何レベルなのか()表記で書くようにしました
変更するかもしれません
納得がいかなくて遅くなってしまいました
始めたからにはいつものペースで行きたいと思います
あくまでも予定です
次はまだ大会は始まらないです
ではまた次回