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僕は真の勇者だ!その5

 アライエの町についた僕たちはすぐに武闘大会の受付をしにコロシアムに向かった。

 アライエの町についたのは武闘大会前日の昼過ぎだった。急いだこともあり、なんとか予定通りにつくことができた。まあ馬車で行っていたらもっと早くついたかもしれないけどね。

 アライエの町は、中心に町の端からでもかすかにだが見えるほど大きなコロシアムがあり、そこから円状に町が広がっている。コロシアムの周りには民家などは少なく、宿屋や武器屋、防具屋や道具屋などのコロシアムで戦う人や、それを観戦しに来る人向けの店が多く立ち並んでいる。

 8つの方角にある門からまっすぐコロシアムまで延びている道があり、その道に面している店は全て王都にも店を構えているような大商人の店で、コロシアムにつくまでに見た店はすべて王都で見たことがある店だった。これならどこの店に行けばいいのかよくわかるな。


 コロシアムにつくと、多くの人が列を作っていた。ぱっと見ただけで数十人はいるだろう。

 今ここに並んでいるのは一般参加の人たちだ。

 武闘大会は2種にわかれている。一般の部と使役魔物の部の2つだ。

 一般の部は予選と決勝で分かれており、予選は推薦された人数にもよるが、最大で16ブロックに分かれて全員一斉に戦い、残った1人、または2人が決勝に進むことができる。推薦された人数と予選を勝ち上がった人数が16人になるように調整するのだ。場合によっては全ブロック2人残してそこから予選の決勝を行うこともあるらしい。

 武器の持ち込みも魔法も毒も基本的に何でもあり(オールフリー)。禁止しているのは自分で戦わないことと武器、防具以外の道具を使うことだけだ。

 例えば、自分の従えているモンスターを召喚したり、初めからモンスターを連れてきて戦わせたり、金や権力などを使って脅してわざと負けさせたり、『従属の首輪』または『奴隷化の首輪』などのアイテムをつかったりすることは禁止。そもそも道具の使用は禁じられているのだが、時折首輪自体を手にはめて殴打武器として使うような変人もいる。そういった人がその力をつかわないように決められたルールであるらしい。

 コロシアムの戦闘を行う空間には特殊な結界魔法と魔道具がつかわれており、死んだ瞬間、入った時の状態となって場外に転移される仕組みになっている。これはこのコロシアムが作られた当時の勇者のパーティにいた魔法使いが創り出したものらしい。彼は他にもダンジョンコアを操る技術を確立したり、防壁をより強固なものへ変えるための魔法式を作ったりとさまざまな経歴を残していると聞いた。僕もいずれ彼のようにみんなから尊敬の目で見られることになるんだな。楽しみだ。


 使役魔物の部は従魔の部ともいい、というか最近では従魔の部と言われているのだが、こちらも予選と決勝にわかれている。ただしこちらは推薦は一切なく、8つのブロックに分かれて戦うことになる。

 こちらにも例の結界があり、死ぬことはないのだが、時折従魔ならではの事態が発生する。

 基本的に他の人の従魔がその種の上位種にあたるモンスターである場合などに発生することらしいが、そのモンスターに対して完全に屈してしまい、そのモンスターを主と認めてしまうのだそうだ。そうなってしまったらもともとの従魔の所持者とのリンクは完全に途切れてしまう。逆に、上位種のモンスターの所持者は契約したモンスターが増える。正確にはモンスターがモンスターと契約するのだが、その辺はよくわかってないようだ。別にこれはまったく違う種類のモンスターでも起こることらしい。

 このことで従魔の部に参加する人は契約書にサインを書かなければいけなくなる。その内容は、


『たとえ自分の契約しているモンスターが他者のモンスターに屈して、自分とのリンクが途切れたとしても、この町で、そのモンスターの所持者と一切諍いを起こしてはいけない。もしこれが破られた場合はこのアライエの町現領主、クライン・アライエの名において、権力の介入を認めず、奴隷としてオークションに出品するものとする』


 というものだ。しかも、当日、参加者には契約魔法が使われる。契約が破られたときに領主の奴隷として登録され、領主の館の地下牢に転移されるという魔法だ。一見厳しいようにも思えるが、これくらいやらないと万が一のことがあってモンスターが暴れだしかねないのだ。

 それにモンスターを取り返す方法はある。

 所有者と話し合ってモンスターを返してもらえばいいのだ。その時に、権力をつかおうとしたり、力で脅そうとしたら魔法が発動するので、注意は必要だ。基本的には金や魔道具を払って返してもらうらしい。貴族などであれば、お抱えとして契約することで返してもらったりもするようだ。中にはここでお抱えにする優秀なモンスター使いを見つけるような人までいるんだとか。


 ちなみに、このことを聞かされた時ヴァルミネは


「私のみぃちゃんが屈することなどありえませんわ!むしろあまりに多くのモンスターを屈させてしまうという未来がはっきりくっきり見えるくらいですわ!」


 と高らかに叫んですぐにサインしていた。まあみぃちゃんは上位種の中でも変異種にあたる高ランクのモンスターだ。そう簡単に屈しはしないだろうしね。


 従魔の部にはもう1つ特別なルールがある。

 それは、眷属の召喚が可能であるというルールだ。モンスターに対して屈して契約をしたモンスターは、契約したモンスターの眷属と位置づけられる。従魔の部では、モンスターがその眷属たちを召喚することは1つの例外をもって許可されている。例外というのはゾンビやグールなどのアンデッドは禁止という点だ。アンデッドには結界がうまく作動しないらしく、基本的に死亡時に転移が起こらない。アンデッドの中には結界を攻撃がすり抜けてしまうものもいるそうで、観客の安全のために禁止されているのだ。




「はい。これで古里様、バラーガ様の一般の部での参加登録と、ヴァルミネ様の契約しているみぃちゃんの従魔の部への参加登録が完了しました」


 いくつかの確認事項への回答を済ませ、問題なしと判断された僕たちの登録(エントリー)が完了した。


「古里様とバラーガ様は明日の朝8時の鐘が鳴る前にコロシアムの受付までお越しください。それにしても…」


「どうかしたのか?」


「いえ、皆様は勇者様のご一行ですよね? 推薦状か何かはお持ちではありませんか? お持ちでしたらお二方は予選が免除となるのですが」


「僕たちは今回トレーニングの一環としても参加するつもりなんだ。だから予選から参加する予定だよ」


「そうでしたか! かしこまりました。ではお二方は先ほど申し上げました時間に、ヴァルミネ様はその翌日の朝8時の鐘が鳴る前に同じく受付までお越しください。そこからは係の者が案内いたします」


「わかりましたわ。私のみぃちゃんの活躍を楽しみにしててくださいまし」


 受付を済ませた僕たちはコロシアムを後にし、王都でもお世話になった宿の系列の宿に泊まることにした。いよいよ明日は武闘大会だ。絶対に優勝してみせる!

 その思いを胸に僕たちは明日に備えて早めに休むことにした。



どうもコクトーです


前回、こいつ誰だっけ(笑)

といった感想が寄せられたので補足を。


彼の名前は『天上院古里』

詳しくは47~49話の『僕は真の勇者だ!』の回にて。


これで古里君の今回の話はおしまいですが、間章はあと1話続きます

そしたら第4章突入かな?


ではまた次回

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