アントホーム・奥です５
片腕になったやつの攻撃はより一層激しくなった。
噛みつき攻撃の最中にも殴り掛かってくるようになったのだ。正直噛みつきよりも殴ってくるほうが対処しやすいから問題はない。殴ってきたならうまくいけば受け流して攻撃ができるのだ。成功してないからはじくことしかしてないけど、それでも噛みつきと違って下とか横から攻撃できるのでやりやすい。
ただ、腕による攻撃が混ざってきたことで下手にスキルを使えなくなってしまった。攻撃してきたときにうまくコンボ５で噛みつきが来ていないとはじいて仕切り直しができないのだ。そのためどうしても剣術頼りでの防御になる。案外できているのが不思議だ。
俺が防いでいる後ろからマジックソードがやつに襲い掛かる。
俺がタイミングを合わせてはじいた腕をマジックソードが切りつける。黒色の血が噴き出るが、切りつけた側であるマジックソードが折れていた。頑丈になってないか？
「はああああ！」
ひるんだやつの顔面にヒツギの棺桶が直撃する。それによってやつは後ろに倒れこんだ。
「鬼の一撃・付与、一刀両断！」
倒れ始めてよけようのないやつにむかって力いっぱい跳んで剣を振り下ろす。
「キィィィアアァアアァアアアアア！！！！」
俺の剣がやつの目を切り裂いた。だが表面だけだった。
やつは後ろに倒れるときに、俺の剣の動きを見て頭を引いていたのだ。そのせいで完全に断つ気で切りかかったのだが表面を斬るだけに終わってしまった。しかし、あれならしばらく片目の視力は戻らない。
「たたみかけるよ！」
ヒツギがそう叫んで飛び上がる。両腕に持った棺桶を振り回しながら勢いをつける。俺とマナも援護するために魔法を仕掛ける。
「ダークランス！」
「マジックソード！」
俺の放ったダークランスが左右から、マナのマジックソードがヒツギの後を追うようにしてやつに襲い掛かる。
「これならさすがに無事じゃ済まねーだろ？ くらっとけ！」
直撃する直前、俺の目にかすかにやつの顔が見えた。その顔は……笑み？
ダークランスが直撃した。一部が地面にあたり土煙が上がる。その土煙の中に追い打ちをかけるようにヒツギが棺桶を振りおろしながら突っ込んだ。
土煙が晴れていく。その中に影が経っているのが見える。仕留めきれなかったのか…。
だが、その顔が見えた時俺は目を見開いた。
「マズハ１人ダ。残リ２人」
土煙の晴れたとき、やつの顔に傷がなかったのだ。それだけではない。その鋭い牙の部分には
「「ヒツギ！」」
ヒツギが力の抜けた状態でだらんとして捕まっていた。
その左右の牙を伝って真っ赤な血が滴っている。やつはおもむろに牙をヒツギから抜く。それによって支えを失ったヒツギの体が重力に従って落ち始める。それをやつは右腕で払った。避けようのないヒツギは、まともにそれを受けて吹っ飛んでいく。って見てる場合じゃねえ！
ワープを連続使用してヒツギの飛ばされる先に先回りして受け止める。
「マナ！ 回復を！」
マナのほうまでワープで移動してヒツギをおろす。この出血量はシャレになんねえぞ。
「３じゃあ足りないかも…なら、ヒール５」
光がヒツギを包みこむ。傷がある部分は特に光が強く包み、傷が癒えていく。
それを見て俺はひとまずマナにヒツギのことは任せてやつにむきあう。
「おい…」
「フフフ、人間トハ脆イモノダナ。アッサリト牙ガトオッタ」
「その腕はさっきお前が喰ったはずなんだがな…」
「何ヲ不思議ソウナ顔ヲシテイルノダ？ ココハ私ノ迷宮ダゾ？ 私ノ眷属タチガ持ツ『力』ヲ私ガモッテイナイハズガナイダロウ」
「ここまでであったやつが持ってたのは闇の耐性だ。だけどお前の腕は再生してるってことは闇吸収か闇再生のどちらかに成長してるってことだろ？」
「正解ダ。私ガ持ツノハ闇再生。モトモトハオ前タチガ来タコトニヨッテエルコトガデキタ『力』ダ」
「どういうことだ？ お前は、ダンジョンコアを吸収したことでその力を得たんじゃないのか？」
「タシカニソノトオリダガ、ソウデハナイトモ言エル。モトモト私ノ眷属ニ耐性スキルヲ持ッテイルモノナド１体もイナカッタ。ダガ数日前、オ前ノ放ッタ魔法ニヨッテ死ンダ個体ノ１体ガソノ『力』ヲ得タ。１体ウマレタナラ他ノ個体モ同ジヨウニナッテモオカシクハナイ」
「途中の階層で魔法をよけようともしなかったアントたちがいたのはそれのためか」
「カレラガ犠牲ニナッテクレタオカゲデ耐性スキルヲ持ッタ状態デウマレテクル個体ガ増エタノダ。ソレハ私タチニトッテ大キナ一歩ダ。ソノ『力』ヲこれガ昇華サセタノダ」
つまり、俺たちがここまで下りてくるときに使った魔法がここのモンスターを強化してしまっていたというわけだ。普通ならあり得ないんだろう。そんなことが可能なら攻略されるダンジョンなんてものはありえない。だって挑む人が多ければ多いほどどんどん耐性などを身に着けていって凶悪になっていくんだから。
「オシャベリハコレクライニシテオクカ。残リ２人。オ前タチヲ倒シテソノ力ヲ喰らい、私タチハ自由ニナルノダ！」
「お前がヒツギにしたことと、俺が不甲斐なさすぎることでだいぶきれてんだ。もう確実性なんか求めねえ。ダメージなんか気にしねえ。殴って殴られて、切って切られて、すべてを叩き潰す。そして」
魔剣ステュラの切っ先をやつに向ける。
「この迷宮もろとも喰らいつくしてやる」
俺は再びやつに向かってワープで接近した。
やつの顔の真正面にワープする。その手に持つ剣をぐっと握りしめてやつの目めがけて突き出す。不意打ち気味にはなった攻撃だが、やつの腕が俺との間に入り込んでそれを防ぐ。邪魔だな。
「ファングショット！」
空中に現れた半透明な牙でその腕を噛み切った。血が噴き出て俺の視界を遮るが関係ない。
俺はワープを使って後ろに下がり、剣に刺さったままの腕を喰らう。
『パラメータ：全上昇（極小）を習得しました』
頭の中に流れるそのメッセージを無視してすぐにやつの足元にワープする。
やつはそれを見越していたかのように蹴りを繰り出してきた。剣を盾にして防ぐが結構な距離を飛ばされる。
空中で体勢を整えて着地する。口の中がどこか切れたらしく口の中にたまった血の混ざった唾を吐き捨てた。鉄の味が口の中を駆け巡るのが一瞬でそれは消えた。
「『怒り』」
俺はスキルを使って攻撃力を高める。多少防御が下がるのはこの際いい。その前に潰してやればいいんだから。
どうもコクトーです
『刈谷鳴』
職業
『ビギナーLvMAX
格闘家 LvMAX
狙撃手 LvMAX
冒険者 Lv63/99
盗賊 Lv44/50
剣士 Lv46/50
武闘家 Lv41/60
戦士 Lv43/50
魔法使いLv49/50
薬剤師 Lv35/60
鬼人 Lv10/20
????の勇者Lv9/??
狙撃主 Lv20/70
獣人 Lv1/20
狂人 Lv1/50
魔術師 Lv1/60
ローグ Lv1/70
重戦士 Lv1/70
剣闘士 Lv1/60 』
まだまだ戦闘は続きます
ちょっと忙しくなるので次の投稿は４日後以降です
以降ってのが重要なポイントです
ではまた次回
