アントホーム・奥です4
最初に仕掛けたのはマナだった。
俺の体に四色の光の球が連続して当たる。パワーエンチャント、スピードエンチャント、ガードエンチャント、マジックエンチャント。瞳の力で四つともスキルとして吸収した。だけど効果自体は失われてなかった。効果まで瞳に喰われてたらどうしようかと思った…。
続いてヒツギとマナの体も同じように光る。全員分のエンチャントが終わったようだ。
その間にも俺と真アンセスタークイーンアントは確実に距離を縮めていた。そして向こうの射程範囲に入った。
やつは体を倒して俺に噛みつこうとしてきた。それを、一刀両断で迎え撃った。
ガギィィィン
俺の持つステュラとやつの牙が鈍い音をたててぶつかる。
拮抗しているのはほんの1,2秒だった。
すぐにやつは頭を引いて再び噛みつきに来る。それを剣閃を連続で使って凌ぐ。一回やるごとにコンボが繋がり、コンボ5になると同時に大きく弾くことに成功した。
しかし、それも一時的なことで、すぐに噛みつこうと迫ってくる。一度はじいたことであいた時間でコンボが途切れて起こった硬直もなくなっていたため、再び剣閃を使って防ぐ。ただし、今回はただの剣閃ではなく、剣閃・十を使っている。理由としては、少しでもはじく回数を増やすためだ。
この剣閃・十というスキルは、横凪に放つ剣閃と、振り下ろす形で放つ剣閃の2撃で1つのスキルという形になっている。本来は二刀流の時に使うものだが、今の俺には武偽というスキルがあるため剣を1本しか使っていないときでも問題なく使えるのだ。
コンボによって普通の剣閃だと5発まで放つことができる。さっきは5発の剣閃を連続で使ってその5発目で弾き飛ばすことに成功したが、それがいつまでできるかはわからない。5回連続で使えると考えるか、最大で5回までしか連続で使えないと考えるか。個人的には後者が俺の考えに合致する。多いに越したことはないのだ。
俺が攻撃を防ぎ続ける一方で、やつの上から大量の針が降り注いだ。
しかし、やつはまったく気にも留めずに俺への噛みつきを続ける。そして、それはやつの甲殻にあたり、甲高い音を立てながらはじかれる。傷一つついてないのを見ると甲殻がいかに固いかがわかる。後ろのほうから「嘘!?」という声が聞こえてくるから何本かは刺さるかもしれないとか思ってたんだろうな。
でも、牙のみとはいえ、実際に剣をぶつけている俺には想像の範囲内だった。めちゃくちゃ硬いうえに速い。それでいて力も申し分ない。攻撃を防げば防ぐほどに厄介だと感じる。
コンボ5の剣閃で再び大きく飛ばすと、再び向かって来ようとするやつに向かってマジックソードが飛来した。
やつは、突撃の姿勢を一旦崩し、マジックソードを迎え撃った。
マジックソードめがけて払われた腕は、ピタっと空中でいきなり止まったことで空振りに終わるが、すぐさまそれめがけて繰り出されたパンチで消滅した。
「『鬼の一撃・付与』、『怒り』!」
その攻防はほんの4,5秒のことだったが、準備には十分だった。俺はワープを使ってやつの目の前まで移動すると一気に剣を振り下ろす。
「『一刀両断』」
完全に隙を突いたと思った一撃だったが、すぐに戻されていた腕に防がれた。腕の半分くらいまで剣がめり込んでいるが、断ち切れそうにない。ここ甲殻じゃねえんだぞ!?
その時、ふいに体が下がった。やつがわざと腕を下げたのだ。
とっさのことで俺の体からも力が抜ける。それによって、スキル後の硬直が始まってしまった。
すぐに防御不能の攻撃が俺の体を打ち抜いた。
俺はなんとか剣を離さずにいたが、壁まで飛ばされる。
壁に背中を強く打ち付け、肺にたまっていた空気がすべて持っていかれた。体のあちこちの骨が折れてるようで、全身が痛い。
「メイ! ヒール5」
地面に落ちる俺を、すぐに光の珠が包み込んだ。再生も相まってあっという間に痛みが引いて、折れた骨が治っていく。
手の中に剣があるのを改めて視界の端に確かめ、地面を強く蹴って奴の下へ向かった。
壁まで飛ばされている間に、やつはヒツギを標的にしていた。容赦のない連打を必死に棺桶を盾にして防いでいるが、1発受けるたびにすこしずつ後ろに下がっている。ヒツギじゃあれを何度も受けられそうにない。
「ヒツギ、すぐ行く! ダークランス、20連!」
走りながら周囲に展開したダークランスがやつを狙う。
やつはバックステップの要領でそれをかわしていく。その間に俺はヒツギを越して奴めがけて走る。それを追いこすようにしてマジックソードがやつを狙うも、ダークランス同様にかわされていた。そしてダークランスがなくなったと同時にそれも壊される。切りつけた腕は使ってないからたぶんダメージはあったんだろうから、それだけはよかったといえる。まあ腕半分くらい断ち切ってダメージなしだったらいやだけどね。
やつは、マジックソードを壊したその場でいきなり体をそらした。この動きのあとに何が起こるかはこれまでの経験からわかっている。蟻酸だ。
想像通り俺たちの頭上に蟻酸が降り注ぐ。範囲広すぎるだろ…まあ対策は考えてるけどね。
「『全方位結界』」
俺の周囲に結界が張られる。蟻酸は、結界にはじかれて地面にしみこんでいく。ヒツギもマナもそれぞれ、棺桶に入ったり、クエイクを使って壁を作ったりして防いでいた。壁というかかまくらみたいになってたけどね。
その間、攻撃を受けないように剣とか槍とかを投げつけて近寄らせないようにしていたが、蟻酸が地面にしみこんでいったのを確認すると投擲をやめた。
すると、すぐに俺に殴りかかってくる。結界を壊されてしまうと、すぐには展開できなくなるので即行解除する。だって蟻酸から身を守るすべがなくなるんだもの。
向かってくる拳に対して俺も『鬼の一撃』で迎え撃つ。一瞬均衡したのち、向こうの腕が折れた。よく見るとさっき切った腕だった。切れた腕で殴ってくるなよ。
「ァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」
やつが叫び声をあげる。折れた腕を押さえながら暴れまわる。ワープで少し距離をとって様子を見る。
隙をうかがいながら構えていると、そこにマジックソードが飛んでいく。まったくよけるそぶりを見せないやつの腹のあたりを切りつけた。そこから真っ黒な血が噴き出し、さらに叫び声をあげる。
俺も魔法で攻撃しようとすると、唐突に奴が腕を引き抜いた。
それに驚く俺たちをよそに引き抜いた自分の腕を喰い始めた。
すごい勢いでどんどん喰っていくと、奇妙なことに胸のあたりから禍々しい黒色の光が出て腹の傷と腕の付け根を覆っていった。
そして光が消えると、そこにはもう傷はなかった。自分の一部を喰ってそのエネルギーを使って回復したのだ。何度もできるようなものではないとわかってはいるものの、回復手段があるというのは十分脅威になりえる。再生や自動回復といった回復手段がある俺が言うのだから間違いない。
やつは片腕になったことを全く気にしていないかのように再び俺に攻撃を仕掛けてきた。
どうもコクトーです
『刈谷鳴』
職業
『ビギナーLvMAX
格闘家 LvMAX
狙撃手 LvMAX
冒険者 Lv63/99
盗賊 Lv44/50
剣士 Lv46/50
武闘家 Lv41/60
戦士 Lv43/50
魔法使いLv49/50
薬剤師 Lv35/60
鬼人 Lv10/20
????の勇者Lv9/??
狙撃主 Lv20/70
獣人 Lv1/20
狂人 Lv1/50
魔術師 Lv1/60
ローグ Lv1/70
重戦士 Lv1/70
剣闘士 Lv1/60 』
今回は戦闘のみでした
次回は…どうでしょうね?
ではまた次回




