アントホーム・奥です3
18層への階段を降りた俺たちの前には、大きな扉が重々しい雰囲気をまとって存在していた。
「ここ…なんだろうな」
「たぶんそうだね。見るからに怪しいもん」
「昔似たようなのを見たことがあるよ。ダンジョンのボスの部屋に間違いない」
扉はだいたい高さが10mくらいで、幅が6mくらい。中心に大きな魔法陣が描かれているが、光がともっていない。
「マナ、今回はエンチャント全部頼むわ。全員にかけ続けてくれ。絶対に切らさないように」
「それだと攻撃に参加できない時間が定期的に来ることになるんだけど…」
「私とメイでフォローするよ。それより、ダンジョンクリアの経験者として言っておきたいことがあるの」
「なんだ? 心構えとかか?」
「まあそんなところ。いい?ダンジョンの最下層に存在するボスをこれまでに出てきたようなフロアボスと一緒にしたらダメだからね」
「それくらいはわかってるさ。俺も最初から全力で行くつもりだ」
「そうじゃなくて、最下層のボスはそのダンジョンの主ともいうべき存在なの。そのボスが敗れることはそのダンジョンの消滅を意味すると言っても過言ではないの。実際になくなるわけじゃないけど、ダンジョンコアがなくてはダンジョンはもう発展することができない。それはすなわち死を意味する。だから、ボスはそのダンジョンにおいて最強でなくてはいけないの。ダンジョン内に存在する数多の生物たちの頂点に立っているのがボス。それだけは頭に入れておいて」
ヒツギが言っていることを俺ははっきりと理解していた。俺自身1つのダンジョンを突破している。その中で出会ったフロアボス、オーガキングとプラチナコング。あ、オーガキングはダンジョン違ってたっけ。まあいいや。それら以外にも多くのモンスターと戦った。でも、白虎はそれらすべてを超越していた。空腹でかなり弱っていてもなお、おそらくオーガキングやプラチナコングが数十匹ずつくらいならあしらえるかもしれない。15層にいたエンシェントキングアントも十分強かったが、あれが数体束になってかかっても勝てないような存在がこの扉の先にいるということだろう。
「なんか燃えてきた」
「なんで燃えてるのよ…。まあいいか」
「さて、扉を開けるがいいか?」
「「もちろん」」
俺たちは、警戒しつつも重い扉を開けた。
中に入ると、そこはけっこう広い部屋だった。見た感じ立方体のようで、1辺は20mくらいはありそうな気がする。つかなんで立方体?
そして、その部屋の中央には禍々しい何かを揺らめかせながらそびえたつ巨大なアントがいた。
『真アンセスタークイーンアント (アント種・?種)』
これまでのとはまた違っていた。初めて見るクイーンアントで、かつ初めて見るアンセスターアント系。それでもどちらの種類も厄介そうだという感じはする。
だが…
「…あの禍々しいオーラ的な何かはなんなんだよ」
その体からあふれ出ているのは黒と紫の間のような色をした、炎のように揺らめく何か。おそらく、あいつの魔力が多すぎてあふれてるんだろうと思うがそれほどの量の魔力なんてもう一瞬でやばいとわかる。
体の大きさは2m前後。これまでのと比べるとだいぶ小さい。禍々しいオーラが出ていること以外はアントとあまり変わっておらず、大きな違いとして背中に、首の後ろの付け根くらいから地面すれすれまでまっすぐに伸びた羽があるくらいだ。大きな漆黒の瞳に、いかにもするどそうな口、手も細いのだがそれでいてとても鋭そうな印象を受ける。甲殻には傷一つなく、ここいたどり着いたやつがいないということを物語っていた。そして、その手には何も持っていないが、額にティアラのようなものが付いている。鑑定してみたら『女王蟻のティアラ』という名前だった。そのままじゃねえか。
「ヤット来タカ。待チワビタゾ」
「しゃべれるのかよ。まあ当然か」
「フフフ、オ前タチガ15層ヲ越エテカラ随分時間ガアッタ。オカゲデ私の新シイ『力』ニモ慣レルコトガデキタ。コレデ私ハマタ一歩先ニ進ムコトガデキタ」
「俺らが15層を越えてから特訓でもしたのか?」
「ソウデハナイ。取リ込ンダダケダ。幸イ、イイ力ノ源ガスグソコニアッタノダ」
「力の源ね…」
そんなに都合よくパワーアップアイテムみたいなものがあるものだろうか………あ、オーガキングのとこにあった玉座みたいなものがここにもあったのかもしれないな。
「力の源?……まさか!」
ヒツギがなにか思い当たるものでもあったのか、はっとしたような顔になった。
「もしかして、ダンジョンコアを取り込んだの!?」
「「!!!!」」
ヒツギの言葉はおそらく正しい。俺が想像してたのよりもよっぽどそっちのほうがありえそうだ。
「ソノトオリダ。コノ『力』ハ素晴ラシイ。ナゼ今マデコウシナカッタノダロウカ。コレホドノ『力』ガズット傍ニアッタトイウノニ。コノ『力』ガアレバ私タチハ外ヲ支配スルコトモデキル」
「それはないな。今ここで俺らに倒されるんだから」
「ナニ?」
外、つまりダンジョンから出て地上を支配するという言葉についつい言葉が出てしまったけど実際倒せるかどうかはわからない。まあ勝つつもりではいるけど実際に戦ってみないことには何とも言えない。
真アンセスタークイーンアントがいったいどんな力を持っていて、どんな戦い方をして、どれくらいの能力があるのかはまったくわからない。戦闘の中で把握して対処していくしかないのだ。…あれ? いつも通りだ…。
「ともかく、お前はここで倒してここのダンジョンは今日をもって攻略してやる」
「私ニ勝ツツモリデイルノカ? 確カニオ前タチは強イ。だが、私ハモット強イ」
「それでも俺たちのほうが強いさ。いくぞ、マナ、ヒツギ。戦闘開始だ」
「「りょうかい」」
「愚カナ…オ前たちを倒シテ、私タチハ自由ニナルノダ!」
俺が駆け出し、やつの瞳の色が漆黒から燃えるような赤に変わった時、戦いは始まった。
どうもコクトーです
『刈谷鳴』
職業
『ビギナーLvMAX
格闘家 LvMAX
狙撃手 LvMAX
冒険者 Lv63/99
盗賊 Lv44/50
剣士 Lv46/50
武闘家 Lv41/60
戦士 Lv43/50
魔法使いLv49/50
薬剤師 Lv35/60
鬼人 Lv10/20
????の勇者Lv9/??
狙撃主 Lv20/70
獣人 Lv1/20
狂人 Lv1/50
魔術師 Lv1/60
ローグ Lv1/70
重戦士 Lv1/70
剣闘士 Lv1/60 』
気が付いたら日付変わってました…
今回は少しだけいつもより短めです
ちょうどいいきりがつかなくて…
次回いよいよボス戦!メイたちは打ち勝てるのか!?
ではまた次回