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なぜか戦います2

 煙の中からガラハムさんが出てきた。

 鎧はあちこち凸凹になっており、持っていた剣も半ばから折れていた。しかし、素肌の出ている顔と首の一部には火傷のあとが少しあるけれど、ぴんぴんとしていた。あれもしかしてダークランスでも平気だったんじゃねえの?


「ふう、なんだよありゃあ。あんな量の追尾弾なんかよけられるわけねえよ」


「褒め言葉として受け取っておく」


「褒めてるわけじゃねえよ。とりあえずあんたは合格だ。ギルドカードをあいつに預けてくれ。おーい」


 ガラハムさんが呼ぶと入り口で待機していた女性が歩いてきた。


「ではお預かりします」


「お願いします」


 俺はアイテムボックスからカードを出してその人に預けた。ランクなんか気にしないんだけどな…。


「あ、ギルドマスター、その鎧と剣の修理代は後から請求させてもらいますので」


「まあ覚悟はしていたが…」


「その状態ですと買い替えとなりますね。ついでにいくつか他のものも買わせていただきます。そちらもお願いしますね」


「はぁ!? なんで俺が」


「言い忘れていたのですが、本日その形の剣を訓練にて使わせてほしいと騎士の方から連絡がありまして、先ほどギルドマスターが壊したことによりその本数が足りなくなったんです。現在なんとか他の武器で代替できないかとお願いしているところなのです。まあ許可いただけるでしょうがその対応をさせたということで罰です」


「それを言ったら壊したのこいつだろ!?」


「『実戦で武器を壊した相手が直してくれるわけない』これってギルドマスターのセリフですよね?」


「ちくしょぉおおおおお!!!!」


 ガラハムさんは膝をついて悔しがりはじめた。その様子を見て心からうれしそうにほほ笑む女性。あ、この人たぶんSだ。

 そんなことを考えていると彼女は悔しがってるガラハムさんの肩に手を置いて呪文を唱えていた。すると火傷の跡がだんだんと癒えていく。おそらくヒールだろう。しばらくすると完全に消えてなくなった。回復魔法万能だな。


「くそ…この恨み晴らしてやる…。次はそっちの棺桶の姉ちゃんな。どの武器を使う?」


「これ以上修理代増えないといいですね」


「当たり前だ! これ以上増やしてたまるか!」


「あのーこれと同じやつありますか?」


 ヒツギは両手に持つ棺桶を示しながら言った。


「え? それ武器なのか? てっきり珍しいが持ち運びに使うものとばかり思ってたんだが」


「れっきとした武器ですよ。ないならそのままこれ使っていいですか?」


「んーそれくらいならよさそうだな。でもそれで戦えるのか?」


「大丈夫ですよ」


 もしかしなくても侮ってるだろうな。


「じゃあ始めるぞ。お前ら散った散った!」


 凸凹になった鎧のうち上半身を覆うものだけを脱いで新しい剣を持つと俺たちに散るように告げた。

 俺たちは何も言わずに壁際に寄った。

 するとマナがこそっと聞いてきた。


「ねえメイ、あの人大丈夫かな? 鎧脱いじゃったけど」


「大丈夫…じゃないだろうな。俺とやった時もそうだったけど攻撃を受けようとすることが多いから吹っ飛ばされるだろうな。けっこうあれ威力高いから」


 そんなことを話していると、俺たちの心配をよそに試験が始まった。


 最初に攻撃を仕掛けたのはガラハムさんだった。両手で剣を構えて上段からヒツギに切りかかった。対してヒツギは鎖でそれを受け止める。そのまま拮抗しているように見える。いやヒツギが若干押されてるな。

 その均衡はすぐに崩れ、ヒツギが力を抜いた。そのまま剣を絡めとると思いっきり引っ張った。それによってガラハムさんの体勢が崩れた。そのままヒツギはガラハムさんを放り投げた。

 ガラハムさんはあっさり体勢を立て直したが剣をヒツギに奪われていた。自分で言っていたのと同じ状態になってるしどうするか参考になるかな。

 足の止まっていたガラハムさんに続けて棺桶が飛んでいった。ガラハムさんはそれを腕を使って受け流す。あれはダメージもなさそうだし体術も鍛えてあるんだろうな。

 ヒツギは受け流された棺桶とは反対の棺桶で横からないだ。ガラハムさんはそれを上に跳んでよけた。ガラハムさんの下を棺桶が通り過ぎる。だが、最初に流された棺桶が反対からガラハムさんに直撃した。

 ガラハムさんは腕で防御していたがそれをものともせずに棺桶が弾き飛ばした。ガラハムさんは壁に激突して倒れる。俺の時よりやばくねえか?


「マナ、回復の準備してくれ」


「りょーかい。まあ彼女が治療できる範囲のほうがいいんだけど…」


「とりあえずいくか」


 俺たちはガラハムさんのそばに駆け寄った。


「ぐぐぐ…なんて威力だ…」


「大丈夫ですか? 『慈愛の光がその身を癒す』ヒール」


 彼女が回復魔法をつかってガラハムさんを治療する。その光が当たってガラハムさんの表面的な傷は治っていった。だがガラハムさんは立てそうになかった。


「どどどどうしましょう。ここのギルドには私しか回復魔法を使える人はいないのに…あ、そうだ、神官さんをお呼びして」


「落ち着いてください。私も回復魔法をつかえますので『我が願いここに叶えん、慈愛の光よその身を癒せ』ヒール5」


 彼女がやった時より一層強い光が当ガラハムさんを包んだ。その光が消えると、ガラハムさんはすっと立ち上がった。これまで立てそうになかったのが嘘みたいだ。


「おお! ありがとう! しかしすげえな。しばらく寝たきりなのを覚悟してたのに」


「私回復魔法得意なんですよ。まあこれ以上はできませんが」


「いや十分だ。さて、ヒツギと…それからマナ、お前さんも試験クリアだ」


 ガラハムさんの言葉に俺たちは残らずぽかんとなった。


「え? 私まだやってないんですけど」


「あの回復魔法だけで十分にクリアだよ。さ、カードだしな」


「は、はぁ」


 2人ともまだ若干ボーっとしながらカードを渡す。彼女はそれを受け取って訓練所を出ていった。

 それからしばらくもしないうちに戻ってくると俺たちにカードを渡してきた。


「これで皆さんはランクC+です。これからもよろしくお願いしますね」


 なんか釈然としない感じがしながらもそれを受け取った俺たちは宿に戻った。











 一方、ガラハムたちは訓練所に残っていた。


「彼ら強かったですね。ギルドマスターもランクAなのに」


「こっちも手加減はしてたけどな。だが、それ以上にあいつらは強い。2人とも手加減していたようだしな」


「え?」


「キングアントとか見たろ? あれの傷跡を覚えてるか?」


「ええ。たしか一撃で倒したって言ってましたね」


「まあ言ったのは俺だがな。あの傷跡をなにでつくり出したと思う?」


「? 魔法じゃないんですか?」


「お前の言う通り魔法だろう。じゃ、それを使ったのは?」


「それはもちろんマナさんかメイさんじゃないんですか? 2人とも魔法使ってましたし」


「あれをやったのはおそらくマナの方じゃない。彼女の回復魔法を見たろ? そこらの神官じゃ勝ち目のないほどの効果だ。あれほどの回復魔法をつかえるようなやつが攻撃の魔法まであれを作れるだけの威力を放てると思うか? いや、そもそも回復魔法に使う魔力を残させるために魔法をつかわせないと俺は思うんだがお前はどう思う?」


「たしかにそうですね…。私も弓を使えますし、私の師匠にも魔力を攻撃に使うなら1回でも多く回復を使えるようにしろって何度も言われました。…そうなるとあれはメイさんが?」


「そうなるな。でも俺に使った魔法でそんなものあったか?」


「! それは…」


「あんな威力を持つ魔法を持っていながらそれを隠しながらたたかってたんだよ。他にも隠してたと思うぞ。あいつ俺を殺さないような威力のものだけを使ってやがった」


「ヒツギさんがやったという可能性は?」


「あれを武器として使っていて魔法は使わねえだろ。あれだけで十分に威力が高いんだ」


「…彼らはなにものなんでしょうか」


「さあな。俺に言えることはあいつらが攻略できなかったらこの街のダンジョンが攻略されることは今後ないだろうということだけだ」


 その後ガラハムたちは何も言わずにギルドに戻っていった。





 その後の大量の請求書によってガラハムの貯金が大幅に減るのはまた別のお話。


どうもコクトーです


『刈谷鳴』

職業

『ビギナーLvMAX

 格闘家 LvMAX

 狙撃手 LvMAX

 冒険者 Lv63/99

 盗賊  Lv44/50

 剣士  Lv46/50

 武闘家 Lv41/60

 戦士  Lv43/50

 魔法使いLv49/50

 薬剤師 Lv35/60

 鬼人  Lv10/20

 ????の勇者Lv9/??

 狙撃主 Lv20/70

 獣人  Lv1/20

 狂人  Lv1/50

 魔術師 Lv1/60

 ローグ Lv1/70

 重戦士 Lv1/70

 剣闘士 Lv1/60 』

今回も戦いと言いつつ話メインでした

言っておきますがガラハムは十分に強いです

武器の力じゃなく己の力でランクAまで上り詰めています

まあ現役ではないですけど


ではまた次回

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