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戻ってきました

 俺たちは転移陣からダンジョンの外に出た。

 ダンジョンの外の転移陣は入口からさほど離れていない場所にあった。俺たちが出てきたときにすぐとなりの転移陣から他のパーティも出てきていた。そしてそのすぐとなりではダンジョンに入ろうとしているパーティーもいた。武器とかが新しそうだ。最近新調したんだろうな。

 外は夕方くらいで、ヒツギに尋ねたら3日目の夕方らしい。そう考えるとたぶんコンドーたちは昼くらいに出たんだな。

 街に向かおうとすると、向こうからやってきた冒険者に声をかけられた。


「お、メイじゃねぇか。今帰りか?」


「ムウルマルのおっさんか。けっこう進めたからそこで帰ってきたんだ。おっさんたちは今からか?」


「おう。今から潜って明日の昼過ぎまで入る予定だ。つかあの後もずっと潜ってたのか? 頑張るなぁ。ま、そんだけ潜ってりゃ(10層)までは行っただろ?」


「あぁ。(15層)を突破して1つ降りて戦ってきたんだがやばそうなやつがいっぱいいたよ」


「俺らもそっから先はいってないからな。あっさり抜かれちまったよ。かっかっか!」


 なんとなく話が食い違ってる気がしなくもないがほっとこう。


「俺たちは強いからな」


「かっかっか! 言うじゃねえか。今度軽く手合わせでもしようぜ」


「リーダー、もちろん飲み比べ(これ)ですよね?」


 脱土工房のメンバーの1人がコップを傾ける動作をする。俺酒のめねえんだが…。


「あったりめぇだろうが! つーわけでメイ、そっちの二人もつれて明日酒場にこいよ」


「いや俺ら酒のめないんだよ」


「なにぃ!? 酒が飲めないだとぉぉ!?」


「し、信じられねえ」


「そんなやつがこの世にいたなんて」


「お前ら何を楽しみに生きてるんだよ!?」


 酷い言われようだ。酒飲めないのがそんなにいけないことなのか?


「それじゃいけねえよ。よし、明日で飲めるようにしてやらぁ! お前ら、明日は大飲みまつ、くぺっ、!?」


「たく、メイたちに迷惑かけてんじゃないよ」


「なにすんだよカーマス。これは俺たちに与えられた神からの試練なん――」


「そんな試練あってたまるか。メイ、こいつらの言うことは真に受けなくていいよ。あたしらのなかにも飲めないやつはいるしね」


 俺たちに助け船を出してくれたのはカーマスさんたちだ。彼女たちもこれから入るのだろうか。


「カーマスさんも飲めないですもんね。聞いてくださいよメイさん。カーマスさんってばあれから毎日のようにメイは無事か、怪我してないかって1人で呟いて」


「おい、ケセラお前今日ずっと前衛な。後衛はほか5人でつとめるから」


「ちょっとカーマスさん! 私弓使いなんですけ――」


「なに? そうか。そんなに前に出たいのか。いいよ、許可する。まずはモンスターハウスにいこうか」


「カーマスさん、私が悪かったです! メイさんに変なこと言ってすみませんでした!」


「たく、はじめからやるんじゃないよ。メイ、さっきのはケセラの冗談だからね。わかったね?」


「は、はい」


 カーマスさんの後ろに鬼が見える。おかしいな、鬼人はむしろ俺の方なのに。


「メイ、そろそろいかない?」


 それまで蚊帳の外だったマナから声がかかる。そういやギルドに行くんだった。


「そうだな。あ、そういや二人とも紹介してなかったな。俺のパーティーメンバーのマナとヒツギだ」


「よろしくな。嬢ちゃんたち明日酒場で」


「ムウルマル、お前は懲りろ。行かなくていいからね。このおっさんに飲まされそうになったらいつでもあたしらを頼ってくれていいよ」


「そうします。まぁ夜は忙しいんで時間ないと思いますけどね」



ピキッ



 あ、カーマスさんが固まった。マナはしてやったりといった感じのいい笑顔だ。ムウルマルはもう脱土工房のメンバーとともにいなくなってた。俺らも急いで離れよう。


「じゃあ失礼します!」


 二人とすぐに町に向かって歩き出す。後方からなんか叫び声が聞こえてくるけど気にしな「あたしはいき遅れなんかじゃなぁぁい!!」うん、気のせいだ!カーマスさんが叫んでるなんてきっと気のせいだ! 少し体が重いけどきのせいだ!!!!

 俺たちは町の門に向かった。






「おう、おかえり。ダンジョン探索はうまくいってるか?」


 門まで戻ると、入ったその日に門番をやっていたおっさんがいた。


「かなりうまくいってるよ。あんたはずっと門番やってるのか?」


「ああ。東西で交互にやってる。楽な仕事だよ」


「そんなもんか?」


「そんなもんだ。それより、素材を売りに行くならさっさと行ったほうがいいぞ。今ギルドはけっこう暇してるらしいんだよ。忙しくしてやれ。依頼もほとんどないらしくてな。ま、常注依頼だけはあるけどな」


「そうするよ」


 俺たちはギルドに向かった。









 ギルドに入ると、さっきの門番のおっさんの言う通りなんか人が少なく、暇そうに見えた。実際にはたぶん裏で仕事をしているんだろうが、それでも受付のところで冒険者と受付嬢がのんびり会話している程度には暇そうだ。

 依頼が張り出される掲示板の前にも人は2人いるだけであとはギルドの中にある机のところで雑談してる数人くらいしかいない。さて、あいてる受付は…と。


「あ、メイさん。素材の持ち込みですか?」


 前と同じ受付嬢さんだ。なんだかこの人ばっかだな。まあ慣れてる人のほうがいいことは確かだけど。


「その予定。ギルドマスターに話をつないでもらえないかな? 持ってきた素材が素材だから」


「…またキングアントですか? すぐにお通しします」


 驚いてたけど一度深呼吸して落ち着かせて冷静に対応していた。前はすごい驚いてたんだけどな。

 俺たちは彼女の後についてギルドマスターの部屋に向かった。


 ギルドマスターの部屋に入ると、ガラハムがいた。椅子に座って資料みたいなものを見ているようだった。


「またキングアントを倒してきたのか? 今度は売ってくれるとありがたいんだが」


「その予定なんだがそれより重要な報告があるんだ。前に行った訓練所でしたいんだがだめか?」


「かまわん。ちと外すからなんかあったら呼びに来てくれ。いくぞ」


 ガラハムに先導されて前にも言った訓練所に向かった。







「で、重要な報告ってなんだ? 1層でキングアントが出た話なら前回聞いたぞ」


「いや、15層のボスを倒したんだけどな」


「?」


 ぽかーんとしている。あいた口がふさがらないとはこのことだろうか。


「いや、だから15層を突破したんだが、その先に――」


「ちょっと待て! お前今15層を突破したって言わなかったか!?」


「ああ、言ったぞ。エンシェントキングアントを討伐してこいつを手に入れてきた」


 俺はキングアントの甲殻を取り出す。エンシェントキングアントの甲殻ならもっと良かったんだけどな。


「待て。…………たしかにキングアントの甲殻だな。で、ダンジョンコアは?」


「は?」


「15層を突破したんだろ? ダンジョンコアを持ってきたってのが報告じゃないのか?」


「違う。16層の存在(・・・・・・)を確認した。それが報告だ」


「…16層? バカ言ってんじゃねえよ。ここのダンジョンは15層で終わりのはずだろ? 16層なんてものがあるんならなんで15層だけあんな風になってるんだよ」


「それはしらん。少なくとも俺らは5層も15層も強敵だったけどな」


「ははは。ありえねえ。アントホームは15層で終わりだ。16層なんて…」


 絶望といった感じの表情を浮かべて笑い出した。


「現実を見ろよ。16層で1回だけ戦闘をしてきた。それで倒したのがこいつらだ」


 俺はアイテムボックスからキングアントたちを取り出す。5種のアントたちが並ぶ。その1体1体を鑑定していくガラハムだが、そのたびに絶望の色が濃くなる。


「こいつらは群れで行動していた。降りてすぐのところでこれだ。さらに下に行けばもっといると思う」


 俺の言葉を聞いて一瞬ぐらっとしたガラハムさんだったが、ブンブンと頭を振って冷静になった。


「…お前らはいったい何者なんだ? この街に来た冒険者で勇者を除くと15層を突破できるような奴はいない。あそこだけはあきらかにランクが違うからだ。そこを突破した報告の2例目ができたのはいいことだ。だけど、これはないだろう?」


「ガラハムさん。私はいくつかダンジョンを見たけど、15層で終わるのなんてできてそんなに時間が経ってないようなものしかなかったと思う。おかしいとは思わなかったんですか? 何十年も15層のままだってことに。ダンジョンだって多くの冒険者の亡骸や倒されたモンスターたちの死体の回収されなかった部分を吸収して成長するんだと聞いてます。ならここも成長していてもおかしくないんじゃあ…」


「考えなかったって言えばうそになるが、ほんとにあるなんてな…。まあともかく、重要な情報をありがとうよ。あれは全部売ってくれるのか?」


「その予定だ。キングアントにもなんか亜種っぽいのがいるからそれも考慮してくれよ?」


「もちろんだ。あとでとりにきてくれ。それと…」


 ガラハムさんは5体の死体を見るためにそれぞれのそばまで行くと、俺のダークランスであけられた穴を触り、全部見たところで戻ってきた。


「あれ全部一撃で仕留めただろ? 損傷が少なすぎる。これでも見る目はあるつもりなんだ。経験もあるしな。あれはランス系の魔法だろ? こいつを貫ける威力はなかなかだぞ。お前ら名前は何て言ったか?」


「俺がメイでこっちがマナとヒツギ」


「ランクは? Bってところか? 実力はそこらのAより高そうだが」


「俺とヒツギがFでマナがC-だぞ」


「は? すまん、聞き間違いか?」


「俺とヒツギがFでマナがC-」


「聞き間違いじゃねえのか…。お前らちょっと俺と手合わせしろ。これを別に疑うわけじゃないが一応やっておく。場合によってはランクを俺の権限でできるだけ上げてやるから」


 なんかラッキーな展開になった。

 ガラハムさんは武器と防具を取りに行くから待っとけと俺らを残して走っていった。別にランクこのままでもかまわないんだけどな…。

 俺たちはアイテムボックスに入れてあった食べ物を食べながらガラハムさんを待った。




どうもコクトーです


『刈谷鳴』

職業

『ビギナーLvMAX

 格闘家 LvMAX

 狙撃手 LvMAX

 冒険者 Lv63/99

 盗賊  Lv44/50

 剣士  Lv46/50

 武闘家 Lv41/60

 戦士  Lv43/50

 魔法使いLv49/50

 薬剤師 Lv35/60

 鬼人  Lv10/20

 ????の勇者Lv9/??

 狙撃主 Lv20/70

 獣人  Lv1/20

 狂人  Lv1/50

 魔術師 Lv1/60

 ローグ Lv1/70

 重戦士 Lv1/70

 剣闘士 Lv1/60 』

今回は街での話でした

カーマスとムウルマルは5層であった人たちです

覚えてますか?


次回はガラハムVSメイかな?


ではまた次回

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