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15層ボスです 1



-----------------------------------

 ついに彼らが15層にやってきた。

 彼らならすぐにでもここを抜けるだろう。

 彼の同種にまで至れればあるいは。

 でも私が力を貸しても来るのはきっと下位種のみ。

 彼はもう、倒されてしまったのだから。

 どこからか力が流れてきた。

 どこから来ているのかはわからない。

 でも、なぜかなつかしい。

 彼らの前に6人組がやってきた。

 武装はそれなり。

 でも、『そこ』の存在にはかなわない。

 これまでの冒険者とまるでかわらないから。

 『そこ』の存在が強大だから。

 6人は運がなかったから。

  彼らの目の前で入ってしまったから。

 ダンジョンコアが彼らを恐れているから。

 そして、『そこ』には蘇った『彼』がいるから。

 再び守護者として蘇った『彼』が。

 彼らは『彼』とどう戦うのか。

 あぁ、頑張ってほしい。

 『彼』は強い。

 でも彼らも強い。

 せめて勝てなくても、前みたいに後悔の残る死に様でないように。

-------------------------------------------------


 俺たち6人は割と昔からこのダンジョンに潜っている謂わゆるベテラン冒険者だ。さすがにギルドマスターの旦那たちよりかは遅いがそれでももう5年になる。その間奇跡的にも仲間は誰も死ななかった。

 二年前にはここのボスであるキングアントにも挑んだ。

 結果は敗走だったがなんとか全員後遺症とかもなく戻ることができた。ほんとに運がいい。

 あれから必死に戦い続けて俺たちはかなり強くなった。今ならキングアントも倒せるかもしれない! そう意気込んでボスに挑んだ。

 そう。挑んでしまった。


「…………こいつってほんとにキングアントか?」


 目の前にいるのはたしかにアント種のモンスターだ。甲殻の色もみせてもらったものと一致しているし、かつてみたあのキングアントと同じ色だ。あのときのキングアントははっきりと覚えている。

 だが、こんなに大きかったか?

 こんなに威圧感があったか?

 こんなに前にたつのが怖かったか?




 こんなに死の恐怖を感じたか?





「――――――――――――!」


 声にならない叫びがこだました。

 それと同時にやつが動き始めた。



 そして俺たちは永い眠りについた…………。










 俺たちが扉の前に並び始めてそんなに経ってないが、扉が少し開いた。

 しかし、そこからは誰も出てこない。どうやら先に入っていったであろう6人組は全滅したらしい。冒険者をやってればいつかは全滅するかもしれないという恐怖はあるがいざ目の前で全滅したのを見るとショックは大きいな。


「気を引き締めていこう。少なくともここまで来られるパーティが全滅してるんだ。俺たちとどっちが強いかわからないけどそれでもここのボスが強いということはわかった」


「でもキングアントって1層でも倒してるよね?」


「さすがにあのキングアントとはレベルも強さも違うと思うよ。あの程度のやつならずっと長い間ここを抜けた人がいないっていうのはおかしいもの。犠牲は出るかもしれないけど突破はできるはず」


「それにほんとにキングアントかわからないしな。あくまでそうやって聞いただけだ。進化してるかもしれないし、警戒は怠らないように」


「これまでは必要なかったけどエンチャントかけたほうがいい? ものによっては5分くらいできれちゃうけど」


「んー、戦いが始まってからでもできるか?」


「うん。遠距離からでも使えるから平気だよ」


「なら展開次第でマナの判断に任せるよ。できれば俺は近接格闘メインでやるからそれ系統のやつを使ってくれると助かる」


「りょーかい。でも最終的には私の判断で使うからね」


 そんなことを話して俺たちは扉の中に入った。扉は少ししか開いてなかったので閉じる音もそんなにしなかった。

 警戒態勢でじっと待つが魔力が集まるような感じはしなかった。


「あれ? こないのかな?」


「そんなことはねえだろ。もう少し進んでみるか」


 俺たちはどこからボスが現れてもいいように周囲を見渡しながら少しずつ中心に向かって進む。

 しかしいつまで経っても魔力の塊は現れない。しかし、奥には通路はない。その時、俺の視界の端をほんのわずかだが砂が見えた。


「上だ!」


 とっさに叫んで上を向く。

 すぐそこまで必殺の突きとでもいうべき攻撃が迫っていた。

 とっさに両腕をクロスさせて全方位結界を使う。しかし、結界はまるで存在しなかったかのようにあっさり砕かれ俺の両腕に重い感触が伝わった。ミシミシと腕にひびが入っていく痛みに襲われるがなんとか耐える。重さでなのか、衝撃でなのかは分からないが俺の周りの地面が俺を中心に半径5mほど沈む。

 すでに2人は俺とそいつから距離をとっており、当初の予定とは違うがマナの前にヒツギが構え、マナの護衛につくようになっている。マナも俺に向けて魔法をつかっておりその放った光が俺を包むと少しだが力が増した。エンチャントだろう。

 少しでも、今は十分だった。ひびが入った骨はすでに再生で治っている。今も巨大な拳で俺を潰そうと力を籠め続けているが初めについた勢いはもう止まっている。これならはじける。


「うぉおおらぁ!」


 俺は腕でそいつを上にはじく。少しだが浮いた。


「マジックハンマー・ノーブル!」


 その浮いた体をマナの魔法のハンマーが吹っ飛ばす。でも想像よりとぶ距離が伸びていない。俺も距離をとるために地面をけって後ろに飛ぶ。そしてようやくそいつの全体が見えた。

 1層で戦ったキングアントとはまるでガタイが違っていた。あいつは4mを少し超すくらいだったのに対してこいつはおよそ10m。腕の太さもほんとにアントかと疑いたくなるほどで、丸太ほどもある。甲殻の色はあいつとほとんど変わらないが、その表面には無数の傷がある。口元も先が異様にとがった牙をもち、禍々しく開閉している。

 纏う雰囲気も全然違っていて、こいつは正面に立つだけで相当威圧感がある。以前戦った白虎には到底及びようもないが、オーガキングほどの恐ろしさだ。

 武器は何も持っていなかった。いや、そもそもあの腕と牙そのものが武器だといえる。オーガやオークをたくさん喰らって筋力が相当上がっていて、さらにこのダンジョンを下ってきた最中に喰らったアントたちの防御力上昇もどちらも今俺の腕が折れていない要因だろう。普通の人があの腕で殴られれば余裕でこと切れる。少なくとも最初の一撃でぺちゃんこだろう。

 つか天井に潜むのとかありかよ。まったく気づかなかった。たまたま天井の砂がこぼれてくれたおかげで気づけたがガードできていなかったらと思うとぞっとする。

 少し遅れたが、こちらをにらみつけて俺の隙を窺っているそいつを『鑑定』する。俺の予想ではただのキングアントではないはずだ。少なくとも『真』クラスだと思う。


『エンシェントキングアント(アント種)』


 真ではなかったが名前がおかしい。エンシェントキングアント? つまりこいつは古代からいるってことか? でも確かあのてん…なんとかってやつの一行が一度倒しているはずだ。同じ個体が何度も出ているのか? そんなことまでダンジョンコアってやつはできるんだろうか?

 俺の体にさっきとは違った光が当たる。今度は素早さが上がった。マナの判断だろう。それでいい。とにかくまずは全員の強化だ。ヒツギもそのままマナの護衛についていてもらえばいい。たぶんだけどこいつにも知能はある。遠距離からマナが支援、攻撃しているのを何度も見れば先にそちらを狙うかもしれない。俺やヒツギは防いだりしのいだりする手段はある。俺は魔剣ステュラかアイテムボックスから使い捨ての武器を取り出してしのげばいい。最悪肉弾戦でもなんとかなりそうな感じはある。常に鬼の一撃状態でコンボも加えて攻撃すれば力では絶対勝てる。

 ヒツギも棺桶で防げると思う。でもマナは魔法特化とでもいうべきだ。身体能力はそこまで高くない。別に低くもないが、やはり前衛職に比べたらどこか劣ると思う。それを思うと俺が前衛、ヒツギが後衛寄りの中衛、マナが後衛が一番いいと思う。

 いかんいかん、今は戦闘に集中しないとな。


「ワレマモル。ワレタタカウ。ワレ、カツ!」


「しゃべるのかよ…。そんだけ上位種ってことか?」


「ジョオウ、ワレガマモル。ワレ、シュゴシャナリ!」


 エンシェントキングアントの体から魔力がふきだす。

 そして俺に向かって突っ込んできた。


どうもコクトーです

課題がつらいです…


『刈谷鳴』

職業

『ビギナーLvMAX

 格闘家 LvMAX

 冒険者 Lv57/99

 狙撃手 Lv44/50

 盗賊  Lv39/50

 剣士  Lv39/50

 武闘家 Lv36/60

 戦士  Lv37/50

 魔法使いLv43/50

 薬剤師 Lv34/60

 鬼人  Lv8/20

 ????の勇者Lv8/??

 狙撃主 Lv15/70

 獣人  Lv1/20

 狂人  Lv1/50

 魔術師 Lv1/60 』

ついに15層のボス戦が始まりました

メイたちの前に入った彼らは残念ですがここまでです



メイたちVSエンシェントキングアント!

ではまた次回

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