アントホームです15
コンドーが涙を浮かべながら叫んだ。俺たちのことをにらみつけながら。その眼はまるで俺たちを恨んでいるかのようだ。
「なんでもっと早く来なかったんだよ! あんたらがもっと早く来ていればカーランは腕をなくさずに済んだじゃないか! それにあんた、なんでカーランの腕を治してくれないんだよ! 回復魔法の使い手ならカーランの腕だって治せるだろう!? どうしてやらないんだよ!」
「おいコンドー、言っていいことと悪いことが」
「だってそうだろうが! はじめに2体倒したときだってかなり離れたところから攻撃していたんだ。カーランが腕を斬られる前に攻撃だってできたはずだ!」
「たしかにそれはできたと思うけど…」
「ほら! こいつらがもっと早く来たらカーランは腕を斬られることはなか――」
「黙れコンドー!」
マナにすごい剣幕で詰め寄るコンドーの顔面を槍使いの男が殴りつけた。
「てめえなにしやが」
「お前こそ何を言ってやがんだ! 彼らのせいにしてんじゃねえぞ!」
「だってこいつらがもっと早くこれば…」
「そもそもそう言うのが間違いだって言ってんだこのバカが! もっと早く来てれば? そんなもの甘えでしかねえよ!自分たちの力不足を他人のせいにしてんじゃねえぞ!」
「サイオフもそれくらいにしなよ…と言いたいところだけど、今回ばかりはあたしも同感だよ。カーランがやられたのは2体を同時にずっと相手どらせてたあたしたちのせいだ。ルクスがやられたのも力が足りなかっただけ。あんたもあたしたちも助けられた身なんだよ。あの傷で生きてるだけで十分奇跡的。贅沢言うんじゃないよ」
「…2人とも俺が弱いと言いたいのか?」
「その通りだ。お前だけじゃない。俺も、お前も、カーランもルクスもマリーもヒューイも全員がまだ弱かった。もっと努力するべきだった。こんな階層まで来ていい実力じゃなかったんだよ」
サイオフは悔しそうに、それでいて強い意志を感じられるようにコンドーに言い聞かせ、俺たちに向き直った。
「不快な思いをさせてすまなかった。改めて俺たちを助けてくれてありがとう。心から感謝する」
「気にしなくていいよ。もっと早く来られたっていうのは事実だし…」
「それについては気にしてない。あのまま全滅せずに1人も死んでないんだ。十分間に合っていると思う」
「…ありがと」
「お礼を言うのはこっちですよ。えっと、あたしはマリー、それから」
「ああ、話を聞いて誰が誰だがは理解してる。それより、これからどうするつもりだ?」
「…10層まで戻ります。2人は怪我を治してもらったとはいえ動けませんから」
マリーの視線は一瞬意識を失ったままのカーランとルクスに向いたが、すぐに俺たちのほうに戻した。
「まあ戦闘になれば苦しいだろうがなんとかするさ。ヒューイが無事だから罠にかかることはないし武器も壊れていない。うまくやりすごしていけばいい」
彼らは口ではそう言っていても表情はどこかあきらめを感じている様子だ。
もともと彼ら全員が無事な状態での戦闘でやられそうになっていたのだ。俺たちの経験上では、あの規模の群れはそんなに珍しくもない。2人かけた状態で出会ったら確実に全滅だ。
「なあ、俺たちの護衛をしてくれないか? あんたらが護衛として来れば俺たちは安全になる」
「コンドー! いきなりなにを」
「さっきのことは俺が悪かった。頭に血が上ってたんだ。もちろん護衛してくれればお礼はする。金なら俺が全財産出してもかまわない。だから頼む、いや、お願いします!」
「コンドー! 彼らには彼らの予定があるんだ。無茶を言うな!」
「頼むよ! せっかく助かった2人を死なせたくないんだ…」
必死になって頼み込んでくるコンドー。俺の服をつかむその手は震えている。それだけ力が入っているんだろう。
「少し話し合っていいか? 俺だけじゃ決められないことだし」
「あ、ああ! 頼みます!」
俺の服を離して下がったコンドー。
俺たちは一旦彼らと距離をとって小さな声で話した。
「どうする?」
「護衛は別にいいと思うけど、10層まで戻るのは嫌だよね?」
「15層まで進めばいいんじゃない? たしか15層はボス部屋の前に転移できるところがあるらしいし」
「俺たちだけなら罠も俺がくらったりヒツギが防げばいいけどあの人数全員かばいきれるのか?」
「まあこれまでみたいにメイが腕にくらって回収していくようなのは使えないよね」
「あ、彼らに任せちゃえばいいんじゃない? モンスターは全部私たち対応して、罠の発見と解除は彼らに任せちゃおう。ついでに罠の見つけ方のコツとか教えてもらえば十分私たちにもプラスじゃない?」
「モンスターを喰ったり吸収したりはできなくなるが…そこは森に行ってやればいいか。アイテムボックスにモンスターまるごと入れるのってあり?」
「なしだよ。絶対なし。普通の人のアイテムボックスには1体まるごとなんか入らないんだから」
それじゃまるで俺が普通じゃないみたいじゃないか。まあ『普通だと思ってたの?』的な目で見られることだろうとわかっているので言わないが…。
「解体してしまっていくか。解体したものをいれるのはいいだろ?」
「それならいいかな。アイテムボックスはメイだけが持ってるってことにするからね。3人全員アイテムボックス持ちだなんて知られたら絶対絡まれるし」
「「りょ-かい」」
彼らのもとへ戻り、話し合って決まった結果を伝えた。
「わかった。護衛の件は引き受ける」
「おお!ありがとうございます!」
「いいのか? 今来たところを戻ることになるんじゃあ…」
「そこに関してはこっちに考えがある。10層に戻らなくても15層のボス部屋の前にも転移するところはあるだろ?そこまで進む」
「あたしたちは2人かかえてるんだよ? それができるとはとても…」
「戦闘に関しては俺たちが全部対応する。それに地図もあるし最短ルートで行けばいい。ここは13層の中でも後半だし、10層に行くより早くつけると思う」
「いいのか?」
「ここまで来て戻りたくないし、それに1つ教えてほしいこともあるんだ」
「教えてほしいこと?」
「罠についてなんだが、俺たち全員罠を見つけるのも解除するのも苦手なんだよ。罠の発見と解除だけはお願いしたい。ついでにそのやり方も教えてほしいしな」
「…ヒューイ、いけるか?」
「ここの罠はけっこうわかってるのでなんとか。地図にある程度の罠は書いてありますし行けると思います」
「なら護衛をお願いしてもいいか?」
「あ、報酬はさっきからそこらじゅうに散らばってるこいつらの換金部位と少し食料を分けてほしい」
「それくらいならなんとかなる」
「なら成立だな。15層までよろしく」
若干無理矢理サイオフの手を握って話をつける。
これで罠の問題も解決できるといいんだけどな…。
俺たちは彼ら6人を強制的(?)に連れて15層を目指した。
どうもコクトーです
『刈谷鳴』
職業
『ビギナーLvMAX
格闘家 LvMAX
冒険者 Lv56/99
狙撃手 Lv44/50
盗賊 Lv39/50
剣士 Lv39/50
武闘家 Lv36/60
戦士 Lv37/50
魔法使いLv43/50
薬剤師 Lv34/60
鬼人 Lv8/20
????の勇者Lv8/??
狙撃主 Lv15/70
獣人 Lv1/20
狂人 Lv1/50
魔術師 Lv1/60 』
メイたちは同行者を手に入れた!!
って感じです
オルルさんたちと違い彼らは1回きりではありませんよ!
ではまた次回