アントホームです13
11層に降りた俺たちは、階段のすぐ隣に腰掛けて休憩していた。
念のために俺が結界をはって休むことにしたのだが、仮眠をしていたり飯を食べたりしていてかれこれ2,3時間は経っているが、モンスターの襲撃はなかった。おかげでしっかり休めたけど。
「さて、出発しますか」
「たぶん今は入ってから3日目の朝くらいかな」
「そんなにいるっけ? 丸一日はいたと思うけど…」
「俺は今ここに入った日の翌日の夕方くらいだと思ってたんだが…」
「ダンジョンの中だと時間がわからないから感覚が狂っちゃうんだよ。昔には中と外で時間の進みが違うダンジョンもあったんだよ。私が入ったことがある所は中の1時間が外の30分だったかな?」
「そこにずっといれば1年たってもまだ外は半年ってことか。年齢とかどうなってんのそこ?」
「体の成長は外の時間だったよ。どこかの貴族が奴隷を使って確かめてた。子供のうちにダンジョンに入れて、中の時間で30年経ったころに発狂して死んじゃったって書いてあった。外では20歳になるころだったんだけどね」
「感覚的には35歳でも外では20歳だったってことか。たぶんだけどその時間のずれが大きくなりすぎて精神がいかれちまったんだろうな…」
「ここのダンジョンはそんなことないらしいけど、時間の感覚は養っておいたほうがいいよ。これ私の体験談」
「頭に入れとくよ」
「それでよし。今日の目標は15層到達?」
「15層クリアじゃないの?」
「そんな簡単にいくもんか? このダンジョンってこれでも数十年単位でクリアされてこなかった場所だろ?」
「受付の人も話してたじゃん。15層のボスのところを除けばダンジョンランクはD-だって。15層のボスはもっとランクが上らしいけどね」
「D-っていうとマナよりも下か」
「私はC-だからね。でもランクは戦闘力とギルドへの貢献度で決められてるから一概にランクが高い人はみんな強いって思わないほうがいいと思うよ。二人ともランクFだけど強いじゃん。それにあのなんだっけ…そうだ! クロウってパーティいたよね?彼らランクC-だけど弱いし」
「つまりあいつらはギルドへの貢献度は高かったってことか」
「そういうこと。依頼を多く受けていたとか、なにか難しい緊急依頼をこなしていたとか、いろいろ考えられるよ」
「よく考えてみれば俺ら依頼1つしか終わらせてないしな。貢献度でいったら相当低い部類になると思う…」
「コロイドの街で戦ってたのも街の騎士団と一緒にやってただけだからギルドとしては何もないしね。依頼を出してたわけでもないし」
「依頼にしてたならメイもヒツギもランクDまでは余裕でいったと思うよ。私ももしかしたらCになれたかも」
「今更どうにもならねえよ。それにあんまり俺らのこと言わないでほしいって言ってる身でランク上げろなんて言えないしな。まぁランクだけで判断するなってことだろ?」
「そういうことだね」
「あ、そこの左のとこ小部屋になってる。入るか?」
「先に行こうよ。素材は結構集まってるし」
「でも宝箱あるかもしれないよ?」
「宝箱からこいつ出ちゃってるし見たくないとは言えないよな…」
3人の視線が魔剣ステュラに集まった。
「…行く?」
「…行こうか」
「だな」
行くことになりました。一回いいもの拾っちゃうとまたあるかもって思いますよねー。
マップ上で小部屋がある所の壁を軽くたたくと、壁は消えて入り口になった。ただ、見たところ中には何もなく、折れた矢が1本無造作に置かれているだけだった。
「はずれだな」
「いいものあると思ったんだけどなー」
「そんなに甘くはないってことだね。先にいこっか」
少しテンションの下がった俺たちは再び階段を探して歩き出した。
「あれ? あれれれれ? おいおい、杖もち発見! もしかして魔法使い発見?」
後方からいきなり声をかけられた。正確には声が聞こえてきた、だな。
見るとそこには1人の男。真っ赤な髪の毛をオールバックにして固めてある腰に2本の剣を携えた軽装備の男だ。
「ほんとじゃーん。ねえねえ君って魔法使える?」
「え? 使えますよ?」
「マジラッキィイイイ!」
「ホント俺たちチョーついてるぅ!」
「お前たちは3人か? 他に仲間は?」
なんかさらに後ろから初めに来た男のパーティメンバーと思われる4人がやってきた。弓を抱えた1人だけはなんか違和感というか浮いている感がすごいするんだが…。
「なんなんだあんたらは?」
「オレら? オレらはぁ、未来のAランクパーティィィッ『ベルーガ』だ!」
「サインがほしけりゃあげなくもないよ? 3万で!」
「すまんな騒がしくて」
なんか弓もちだけすごいいい人そうなんだけど…。なんであんたこいつらとつるんでんの?
「ねえねえ、魔法使いちゃんも棺桶ちゃんもそこの男と別れて俺たちのパーティ来ない?」
「あ! それチョーいいんじゃね? あーもうこれ決定!」
「ちょうど魔法使いいなくなったとこだしぃ? これで戦力補充もカンペキッ!」
「ちょっと待てよ。なんで2人があんたらのパーティに入るのが前提で話進めてるんだよ」
2人は激しくうなずいていた。
「あ、オトコにはキョーミないから。帰っていいよ。しっし」
「これまでごくろうちゃーん。新しいパーティ探してねーん」
これケンカ売ってんのか? 買ってもいいのかな? いくら出せばいい?
「おいおーい、この男とそっちの棺桶ちゃんはランクF! 男はまさにザコまっしぐら! そっちの子はランクC-。俺たちと1つしかかわんなーい。これきたんじゃね?」
「なんだよなんだよチョーザコかよー! 下手にでて損したわー!」
今までに下手に出てた要素が1つでもあっただろうか?
つかランクで強さを判断してるやつらか。なんとなくあの3人組とかぶってしょうがないんだが…。
「つーわけでー男はこのままバイッチャ!」
赤髪オールバックがいきなり両手で剣を抜いて切りかかってきた。イライラがすごかったからとりあえず両方へし折って腹に1発重いのを入れる。あ、折れた感触。
「ぶっへぇえええ!!!」
男は奇声をあげながら吹き飛び、壁に激突した。目が白目だしたぶん意識とんでるな。
「ちょいちょいちょーい、何するわけ―? いきなり攻撃とかマジありえねぇええ!」
「いや、今攻撃仕掛けてたのあいつじゃ」
「いいからーオルルは黙ってなってーの! オレらのがランク上じゃん? だからさー、オレらが正義。オレらが正しい。オレらが神。これあ・た・り・ま・え」
「…」
いや黙んないでよ弓使いさん!
「つーわけでーお前いきなり攻撃仕掛けてどうなるかわかってるよね? 女の子たちはオレらがかわいがるからー、お前はここのアントにでもかわいがられチャイなよ!」
弓使い以外の3人もとびかかってきた。短剣、鞭、拳が迫る。全然速くないんだが…。
「結界」
全員の攻撃が結界にはじかれる。傷一つつかない。あそこのオーガたちのがよっぽど強い。
俺は3人に向けてエアロ、アクアボール、ファイアを放つ。
「ぴぎゃ!」「ぐは!」「きゃ!」
3人仲良くオールバックの下へと吹っ飛ばした。
これで完了だな。
「ふぅ、二人ともなにもされてないよね?」
見ていた限りなにもなかったのだが念のために確認を入れる。
「うん。なにもなかったよ。対応は基本メイがしてたし」
「なにかしてきててもすぐに防げたしね」
なんともなかったみたいだ。安心した。
「あいつらがすまなかった」
弓使いさんが近くまで来て頭を下げた。たしかオルルって呼ばれてたよな。
「いえ、オルルさんはなにもしてないですし」
「何もしてないのが問題だとも言えるんだ。あいつらは責任もって連れて帰る。それにお前たちに手出しはしないように言っておく」
「帰れますか?」
「道は覚えてるしこう見えて力は強いんだ。あの4人を担ぐくらいなんてことない」
いや、人4人担ぐのってけっこうきついよ?
「あ、あとお詫びとしてこれも渡しておく。たぶんしばらく俺たちはここまで来られない。使ってくれ」
そう言いながら15層までの地図を渡してくれた。
「いいんですか?」
なんかつい敬語になってしまう。なんでだろう…。
「ああ。では失礼する」
オルルさんはダッシュで4人のもとまで行くと、話していた通りに軽々と4人を両腕に2人ずつ抱えて走って行った。方向は10層へ続く階段がある方向。ほんとに覚えてるんだ…。
「なんだったんだろうな、あの人たち」
「わかんない…」
「まあ地図くれたしいい人……………じゃない…かな?」
なんかやるせない感じになりながらももらった地図をもとに俺たちは階段を目指した。
どうもコクトーです
『刈谷鳴』
職業
『ビギナーLvMAX
格闘家 LvMAX
冒険者 Lv56/99
狙撃手 Lv44/50
盗賊 Lv39/50
剣士 Lv39/50
武闘家 Lv36/60
戦士 Lv37/50
魔法使いLv43/50
薬剤師 Lv34/60
鬼人 Lv8/20
????の勇者Lv8/??
狙撃主 Lv15/70
獣人 Lv1/20
狂人 Lv1/50
魔術師 Lv1/60 』
今回会話ばかりになりました。
会話って書いてるとすぐに文字数が埋まっていきます…
戦闘が短い?
気にしないでください
言っておきますが、彼らは2度と出ません。
もう一度いいます。彼らは2度と出ません!
次も会話多めになる予定
ではまた次回