アントホームです11
-----------------------------------
彼らのところに集めたのは正解だった。
おかげで新たな能力を得た個体が生まれた。
火耐性
風耐性
闇耐性
思わぬ収穫の雷耐性も。
能力自体は低いが耐性はよい。
多く生んでおけばいずれ進化するだろう。
耐性もちの上位種なら心強い。
キングアントと戦わせて覚えさせるのもよい。
覚えるのかわからないが。
もし覚えたら私もやってみよう。
もしものことがあってはいけない。
ただ私は少し勘違いしていたらしい。
本当に狙うべきなのは彼ではない。
たしかに彼は新たな上位種のきっかけをつくるだろう。
ただ、彼より魔力の質も量も格段にいい人物がいる。
だが彼女を狙うのは厳しい。
今は待とう。
本格的に狙うのは16層以降だ。
あのトラップならそれができる。
早く来ておくれ。
我らのために…
------------------------------------------
俺は2人に遅れないように歩きながらスキルを調べていた。
先程得たスキルで初めて見たのは6こ。
アイテムボックス拡充、自動マッピング、遠距離攻撃威力上昇、アンロック、曲撃、武偽。
アイテムボックス拡充が無駄だということはすでにわかってる。だって俺のアイテムボックス容量すごいことになってたしさ。
遠距離攻撃威力上昇も名前でわかる。アンロックもなんとなくだ。魔法でできた鍵とか開けられるんだろう。
自動マッピングはさっきから視界の右上に表示されてるのがそうなんだろう。歩く度にミリ単位で更新されていく。あ、小部屋だ。これ地図要らなかったんじゃね? あとこれまでマッピングなんてスキルあるのすっかり忘れてたわ。後でスキル全部調べてみるか。
曲撃は名前通りなら弧を描くようにして遠距離攻撃を行う技だろう。ロックオンと組み合わせて使えばいいのか?
最後はほんとわからん。武偽? 読み方すら曖昧だ。たぶん『ぶぎ』でいいんだろうけど合ってるかわからん。えっと説明は…っと。
『武偽:武器を偽り、対象外の武器でスキルを使えるようになる』
あー俺が棍棒で一閃とか使ってたせいだなこれ。やっぱ対象外とかあるのか。まあマナが使うような杖で一刀両断とか恐ろしすぎるしな。でもメイスで一閃とか憧れる…。
「なあ2人とも、俺先頭行くわ。さっき自動マッピングってスキル手に入れたから」
「マッピングってゲームとかでよくあるやつ?」
「ああ。視界の端のほうに地図ができててな。今も通ってきた道を記録してる。しかも少しだけ小部屋もわかるんだよこれ」
「通った場所の周辺数mの地図ができるってこと?」
「そうらしい。壁伝いに行けば小部屋の位置もわかるし同じとこ通らないで済むだろ? 6層から先の地図はないからいまいちわかりにくいし、それに」
しゃべりながら歩いていたこともあってか、いきなり飛んできた矢が俺の腕に刺さった。罠のスイッチでもふんだんだろうな。
俺は刺さっている矢を抜いてアイテムボックスにしまう。有効活用しないと。
「こういう時俺のほうが安全だろ?」
再生スキルがあるから傷はもうほとんどなくなっていた。やっぱこれすごいな。
「痛くないの?」
「痛くないわけじゃないけど、別に平気だしあんまり罠を気にしすぎてゆっくりになってもいかんだろ? せめて罠の探知と解除に詳しい奴がいない間は俺が全部くらうわ」
「そんなの危ないって!」
「でも2人に被害がいくよりはいいだろ?」
「私の棺桶なら刺さらないしはじけるから私が前行こうか?」
「なら後ろを頼むよ。棺桶を背負っていけば後ろは万全だ。マナの方もカバーできればなおよし」
「それくらいならできると思うけど…」
「まあ少しくらいかっこつけさせろって。それにいきなり死にそうなやつが来るようになったらゆっくり行けばいい。矢だったりとか落石だったりする間は俺が前を行く。決定な」
無理やり2人にうなずかせて先を急ぐ。
まあ本音はさっき手に入れた魔剣ステュラの切れ味を強いモンスター相手に確かめたいだけなんだけどね。できれば10層のボス希望。あれ? 俺って戦闘狂だったっけ? いや違う…はずだ。
剣は常に片手で持っておく。いつモンスターが来ても大丈夫だ。
ハイペースで進んでいった結果、地図があった5層までと比べたら遅いが、だいたい1時間で1層のペースでどんどん進む。その途中でけっこういろんな種類のアントが出てきた。
筋力とか、防御力とか、器用さとか、魔力とか、初めて見た素早さとか、アントの上位種と思われる防御力もいた。
キラーアントはどうやら6層以降に登場するモンスターらしく、アントより素早かった。キラールークアントとかキラーナイトアントとかキラーアント系の上位種もいたが、やはり素早かった。
まあ俺戦ってないんだけどね。襲い掛かってくるのを見てただけだ。
俺が先頭を行くようになってマナが戦闘を積極的に担当するようになった。
前は俺、後ろはヒツギに守られてるから攻撃に専念できるとかで剣が届く範囲には1匹も来ていない。その前に魔法で死んでしまう。マジックソード・ノーブルの範囲広すぎるだろ! 空飛ぶ剣が俺の頭の上を通過して視界に移るアント種たちの首を掻っ切っていく。恐怖でしかねえよ!
時折マジックソード・ノーブルを防ぎきったりかわしたり耐えたりするやつもいる。まあだいたいがキラービショップアントなんだが、すぐファイアで焼き殺してしまう。途中からビショップアントかキラービショップアントがいるとマジックソード・ノーブルを撃ってすぐにファイアを撃つようになった。本格的に俺の出番がない。同時に異なる種類の魔法をつかうのは厳しいらしいが連続でなら使えるらしい。
7層の半ばくらいに差し掛かったころ、そんなにばかすか魔法をつかっていて魔力は大丈夫なのかと聞いてみたら、
「マジックソード・ノーブルは他の魔法に比べて消費魔力が少ないし、コロイドの街でたくさんオークを倒した後に魔力の回復量が上がったから大丈夫だよ」
と、とても心強い言葉が返ってきた。
俺としては少しつらいとか言ってほしかったんだが…。代わる理由がなくなってしまった。
他にもモンスターが出てくるのがそんなに多くないというのも理由らしい。
5層で多くのアントとポーンアントを倒したからかどうかはまったくわからないけどあんまり出てこない。8層なんか結局3回くらいしか戦っていない。いや殲滅していないだな。相手は攻撃してないわけだし。
その代わりと言っては何だが、罠は結構あった。ヒツギが防いだのは9回。俺がくらったのは49回。罠を見つけられないとこんなにひっかかるのか。つらいな。
罠自体は結構単純で、前方から矢が飛んでくるのが大半だ。飛んでくる場所はばらばらだが、できるだけ剣ではじくようにしている。あんなこと言ったけど痛いのは嫌なんだよね。
前後で合わせて50回くらい飛んできてヒツギが回収したのは9本、俺は20本だ。上々だな。ほかにくらった罠は、落石、下から槍、横から槍、上から槍だ。槍はだいたいよけられたから掠る程度で済んだ。全部回収できたしラッキーだ。
そして5層を越えてからおよそ5時間後、俺たちは10層のボスの下へとたどり着いた。
どうもコクトーです
『刈谷鳴』
職業
『ビギナーLvMAX
格闘家 LvMAX
冒険者 Lv55/99
狙撃手 Lv43/50
盗賊 Lv39/50
剣士 Lv38/50
武闘家 Lv35/60
戦士 Lv36/50
魔法使いLv41/50
薬剤師 Lv34/60
鬼人 Lv8/20
????の勇者Lv8/??
狙撃主 Lv12/70
獣人 Lv1/20
狂人 Lv1/50
魔術師 Lv1/60 』
このままのペースで行くと1月1日に更新することになる…
たぶんどっかでペースずらします
さすがに正月更新はきついです
6~9層はばっさりいきました
同じようなことの繰り返しですから
次回ボス戦(2度目)!
ではまた次回