アントホームです10
ヒツギは今も棺桶を巧みに駆使して真キメラアントにたたきつけている。真キメラアントも腕でそれを確実に防いでいた。それでもヒツギの側で無事に残っているビショップアントの腕では防ぐには細いらしく、時折折れているナイトアントの腕を使って防いでいるといった感じだ。
俺はそんな様子を見て手に持った4つの塊を立て続けに投げつけた。
2つはそれぞれの頭、残りの2つは胴を狙って投げつけたものだ。
真キメラアントは胴に来たものを大剣を横にして弾き、頭に来たものは噛み砕いて防いだ。
だが、それを対処するために1秒にも満たないかもしれないが確実にヒツギが真キメラアントの視界から消えた。
次の瞬間、棺桶がビショップアントの腕を完ぺきにとらえ、メキメキと音を立てて折れた。
「―――――――!」
真キメラアントの声にならない声が響く。
その隙を逃さずにこちらもビショップアントの腕を折りにかかった。右手に持った棍棒に鬼の一撃・付与を使い、威力を高める。
「ブレイクショット!」
大きく跳んで、棍棒を両手でしっかりと握りしめて真キメラアントにたたきつけた。
高く跳びすぎてナイトアントの腕に当たってしまったが気にしない。そのまま叩き折る!
「うぉぉおおおお!」
棍棒を持つ両手に力が入る。棍棒からミシミシと音が聞こえてきてるからたぶん折れるのも時間の問題だろう。だが、
「りゃぁああああ!!」
その前に2本の腕を叩き折った。
ナイトアントの腕を叩き折ったとき、ついた勢いが殺せずにそのまま地面に直撃すると思ったのだが、ビショップアントの腕がたまたまその直線上にあり、叩き折れたのだ。これには俺も戸惑いを隠せなかった。だって1本折るつもりが2本持折れたんだよ? しかも折れるだけじゃ済んでないし。
2本の腕は折れた際にそこから先がちぎれていた。切らないために棍棒にしたのにダメじゃん。
それに棍棒はそのまま地面を叩き、あっさりと折れていた。
「「グゥゥゥゥガァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!」」
再び雄たけびが上がる。あ、片腕でもダメなわけなのな。これはまずいんじゃないか?
真キメラアントは全身をふるわせる。
それを俺たちはただ茫然と見ていた。
「「「「グルゥゥアアア!」」」」
頭が4つになった。
が、それも長くは続かなかった。
「ギィィイアアア”ア”アアア」
ポーンアントの頭がほかの頭を食らいはじめたのだ。他の頭は動かずにただ喰われるのを待っている。ぐろいな…。
そして1分もしたころには頭は1つになっていた。
頭が減った分弱くなったかと思えばそうではない。たしかに腕はないし、これまでのように複数の方向を見ることはできない。それでも以前より強そうに見えた。
「二人とも!鑑定!」
マナがそう叫ぶ声が聞こえて条件反射で鑑定を使う。
『真キメラアント・ポーン(アント種)』
さっきまでの名前の後に3文字ほど追加されている。ポーンアントがベースになってますよーってことなのだろうか?
さっきまでとは違い、切っても頭が生えてくることはないだろうと錆びまくった剣に武器を変える。まあこれで斬れるのかと聞かれたら『うーん』としか答えられないけどな。
俺より先にヒツギとマナは動き出していた。
マナの杖の先からは稲光が飛びだし、ヒツギは棺桶をすでに放っていた。遅れた!
「ギィィイアアア!!」
両方が直撃して苦悶の声を漏らす真キメラアント。あれ? もしかして…
俺も剣閃・十で十字の剣圧を放つ。そういや一閃と一刀両断のコンボで代用できないかなこれ……無理だろうな…。
真キメラアントは体をひねってよけようとするがまったくよけきれずに直撃した。
その体は半分くらいが切れて血がどくどくとこぼれてきている。うん間違いない。
「二人とも、こいつ腕なくなって攻撃を防ぐ手段なくなってる! たたみかけるぞ!」
二人に向かって叫ぶと二人は無言のままうなずいて攻撃を繰り出す。俺ももう一発剣閃で攻撃した。
3人の攻撃が直撃して真キメラアントは倒れこみ、粒子になって消えてしまった。
その場には1本の剣が残されていた。
『職業:冒険者がLv55になりました
狙撃手がLv43になりました
盗賊がLv39になりました
剣士がLv38になりました
武闘家がLv35になりました
戦士がLv36になりました
魔法使いがLv41になりました
鬼人がLv8になりました
狙撃主がLv12になりました
スキル:アイテムボックス拡充を習得しました
スキル:マッピングが自動マッピングになりました
スキル:遠距離攻撃威力上昇Lv1 アンロックLv1 曲撃 を習得しました
スキル:ブレイクショットLv2 分裂弾Lv3 コンボ4 偽二刀流Lv4を習得しました
スキル:武偽を習得しました』
たくさん手に入ったな。気になるスキルもいくつかあるけど後だ後。
「お疲れ様。けがは…ないな」
剣のところに自然と集まった3人だが、全員を見まわしてみてもこれといった怪我はなかった。俺はすでに再生で回復してるし、ヒツギもマナが回復魔法で先に治していたし、マナはそもそも遠距離から支援してただけなのでそもそもダメージはない。魔法も結局俺とヒツギにしか撃ってこなかったっぽいし。
「ねえ、これ鑑定したら魔剣ってなってるんだけど…」
「「へ?」」
慌てて鑑定する俺とマナ。これからはなんかあったらすぐに鑑定するようにしないとな。
『魔剣ステュラ:特殊な儀式魔法が施してあり、オリハルコン以上の硬度でなければ、折れることも曲がることも刃こぼれすることもない魔剣。ただし能力の上昇は一切ない』
これ超ほしいわ。
「これ俺使っちゃダメ?」
たぶん今の俺の顔はすげえ爛々と輝いているだろう。それこそ餌を前にした子犬のように。
「私はいいよ。剣なんかメイしか使えないし」
「私も剣は使わないな。棺桶があれば十分だし」
うんうん。二人ともよさそうだ。ありがたくいただこう。
「ありがと。………うぉぉ…」
魔剣ステュラは持ってみるとかなり重量があった。片手で持ち上げてみたがこれまで使っていた棍棒とはまるで重さが違う。ただでさえ切れ味よさそうなのにこれなら重さを生かして斧のように叩き斬ることもできそうだ。これでもう少し長ければ両手剣としても使えただろう。というか両手剣として使うことになっていただろう。
オーガ種を喰いまくって、オーク種も喰いまくって筋力をかなり上昇させている俺が重いと感じるのだから二人なら持ち上げることすらできない可能性もある。
「どう、メイ?」
「すげえいい感じだ。かなり重いけど十分扱えるレベルだし、筋力の上昇は割と手に入りやすいからもっと扱いやすくなるだろうし最高だ」
「壊れないならこれまでみたいに使い捨てにならないしね」
「まあそれは本当にそうなのかはわかんないけど使って確かめるしかねえよ。それよりさっさと移動しよう。なんだかんだかなり時間くっちまったからな」
俺たちがここに入ってから10分以上経過していた。まあ敵が多い分時間がかかったといえばそれまでだが、そろそろ後続が扉の前で待っていてもおかしくない。
だからあまり長居するのも良くないと思う。
「そうだね。当初の予定通り15層を目指す? それとも一旦戻る? 私は魔力も体力も十分あるけど…」
「先に進もうよ。ここだとモンスター消えちゃって素材はなんにも手に入んなかったし」
「だな。少しくらい稼がないと金が底をつくかもしれない。マナにはこっから頑張ってもらおう。俺らの休憩もかねて」
「まっかせといて!」
俺たちは足早に6層へ向かう階段に向かった。
そして階段を下り始めたところで扉が開くのが見えた。やっぱり次がいたようだ。さて、6層はどうなってんだろ。あとスキルもいろいろ確かめなくちゃな。
俺は2人の後を追うようにしてスキルの説明を見て効果を確認しながら階段を下っていった。
どうもコクトーです
『刈谷鳴』
職業
『ビギナーLvMAX
格闘家 LvMAX
冒険者 Lv55/99
狙撃手 Lv43/50
盗賊 Lv39/50
剣士 Lv38/50
武闘家 Lv35/60
戦士 Lv36/50
魔法使いLv41/50
薬剤師 Lv34/60
鬼人 Lv8/20
????の勇者Lv8/??
狙撃主 Lv12/70
獣人 Lv1/20
狂人 Lv1/50
魔術師 Lv1/60 』
更新済みだよ!
今日は祝日ってことで早めに更新
名前考えるのがつらいです
なんも思いつかない…
ではまた次回