アントホームです8
俺が周りに展開したダークランスは全部で38。これ以上は制御できそうになかった。というかこれ以上だしたら暴発しそうな感じがした。それぞれに角度をつけてできるだけ多くのアントに攻撃できるようにする。一部は奥のほうにいるやつで、ほとんどは手前の奴に狙いをつける。できれば『ロックオン』を使えればいいんだが数が多すぎてどいつにやればいいのかわからないしこれだけいればたぶんしなくても当たる。
俺は全ての『ダークランス』を発射した。槍の壁とまではいかないが、相当な数の槍がアントに迫る。
アントたちはそれをよけようとする者もいたが、周りにもすべてアントたちがいたのでよけられなくなっており、全てくらっていた。
槍はアントたちを貫通して奥のほうにいるアントたちにまで被害が及んでいるようで、結構後ろのほうまでアントたちが倒れだした。倒れたアントは、その場にとどまることなく透明になって消えていっていた。
5層ごとにあるボス部屋では死体なんか残らない。唯一ボスのみは倒したら何かアイテムを落とすらしいのだが、ボスの取り巻きとして現れるモンスターはただ消えゆくだけだ。当然アイテムなんか残さない。だからボスだけを狙って周りの奴らを無視するような冒険者もいるらしい。ボスを倒せば取り巻きも消えるから時間短縮といえば時間短縮なんだろうが。
だが今回に限って言えばこの戦法は使えそうになかった。
理由は単純。ボスがまだ出ていないからだ。倒れたアントたちの分かどうかは定かではないがだいぶ奥の方でひときわ大きな球体が出来上がっている。4つほど。……おかしくないか?
アントが消えたスペースを埋めるように新たなアントたちが登場していた。さらに奥の方のアントも押し寄せる。面倒ったらありゃしない。
ちらっと二人の様子を見ると、ヒツギは鎖をつかんで棺桶をぐるぐると回して近寄れないようにしていた。ねえヒツギ、近寄れなくなってるアントの一部が俺のとこに来てんだけど。
マナは頭上に浮かぶ球体がメインで攻撃していた。そいつは定期的にアントたちの頭上に火の玉を吐き出す。それが~10こくらいに分裂して降り注いでいた。マナ本人も杖の先から魔法を放って攻撃してる。あの球体俺も使いたいな……。と、いけないいけない。集中せねば。
再び『ダークランス』を使う。数はかわらず38。さっきこれなら使った後しばらくアントたちが来られないことは実証されている。結構奥のほうまで攻撃できてたからな。そして確実にしとめきれることもわかっている。まあキングアントをしとめきれる威力なのにアントは倒せないとかありえんからな。
しっかりとひきつけたうえで再び発射した。さっき同様多くのアントやポーンアントを倒していく。
「まだいるのか……」
倒して消えていくアントたちを見ながら、おれはまだ魔力の塊として宙に浮いているのを眺める。まだまだ新手が来るということがわかっているのはつらいものだ。終わりが見えない。
『ダークランス』38発は、いくら回復力がそれなりにすごいと自負してる俺でもけっこう疲れる。具体的に言えばけっこう魔力の消費が激しいのだ。『ダークランス』はその威力は申し分ないが燃費が少し問題がある。そのレベルが上がるにつれてますます消費が激しくなっている気までする始末だ。まあ威力やら数が増えるのはいいことなんだけどさ。
そこで少し試してみることにした。手に持っているのは棍棒なのだが、これで『一閃』が使えないかと。軽く右手をふるって一閃をつかおうと試してみた。
すると、手前のほうにいたやつが後ろにのけ反った。一部では首が折れている奴もいた。どうやら使えるっぽいな。それがわかったならやることは決まった。低燃費でいこう。
「『鬼の一撃・付与』」
両手に握る棍棒に鬼の一撃の威力を付与してみた。以前武器に付与できるようになってからまだ試してなかったしちょうどいい。『鬼の一撃・付与』の効果かどうかはわからないが、棍棒が淡く赤色に光っている。なんかきれいだ。
ちょうどアントたちもでてきたっぽいな。よし、どうなるか実験開始だ。
「『一閃』、コンボ1!」
右手の棍棒をふるう。剣で使う『一閃』はどうにも相手を切り裂くような検圧とでもいうようなものが飛んでいく感じがある。しかし、棍棒で使ったものはまったくの別物だった。
『鬼の一撃』の効果もあるのかわからないがまさに衝撃波が飛んでいくのだ土煙を上げながらアントに迫り、数列のアントを吹き飛ばした。そのほとんどが空中にいる間に消えていく。見たところ体が折れてるやつとかつぶれてるやつもいる。結構強いな。でも
「『一閃』、コンボ2!」
まだ終わらないんですよ。コンボが続いたことで威力が跳ね上がる。さっきより多くのアントたちが消えていく。
「ラスト! 『一閃』、コンボ3!」
ノリで両手に『鬼の一撃』を付与しなおして同時に『一閃』を使う。
ドォォォォォオオオオオオンン!!
後ろの壁まで衝撃波が届いてしまった。大量の土煙が待っている。幸い揺れるなんてことはなかったがかなり威力高かったんだな……。
その様子に俺だけでなくヒツギやマナ、ヒツギたちのほうに向かっていたアントたちまで足を止めていた。
土煙がはれると、奥の方の大きな魔力の塊を除いて魔力の塊はなかった。殲滅完了なのか。でも結構いい戦い方が見つかった。これは収穫だな、うん。
はっとしたように動き始めたアントたちの一部は俺のほうに向かってきていた。出番終わりかと思ったのにな。
「ま、魔力も回復したことだし、まだまだ試したいことはあるんだよね」
もう少し付き合ってもらおうか。
アントたちは初めに比べるとかなり数を減らしている。魔力の塊もまばらにあるだけだ。終わりが見えてきた。
俺は棍棒をしまって次のスキルを使うおうと構えた。
手を大きく開いて少し指を曲げる。それを上下に重なるように構える。
「たしか連続で使ってたよな。俺もできるといいな」
一度手を放して再び勢いよく重ねる。その動きに呼応するようにアントたちのほうに半透明な牙が生まれてアントたちを噛み切った。『ファングショット』だ。それを連続で使おうと再び同じ動作を行った。
しかし、『ファングショット』は発動しなかった。こっちは連続でまだ使えないらしい。使えると思ったのに。あきらめて今度は剣を取り出した。数も減ってるしできる気がする。近接戦闘だ。
所詮はオークが持っていた錆びた剣であるので切れ味が悪いことは重々承知している。なのでどちらかといえば叩き斬ることを目的として『鬼の一撃・付与』を行った。棍棒と同じような状態になる。
それを確認したら俺は迫りくるアントたちの中に突っ込んだ。
殴ってこようとするアントの腕を叩き折り、反対の腕で胴を薙ぐ。そのまま勢いを殺さずに隣のアントを切り倒し、同時に襲ってくるポーンアントの腕を剣をクロスさせて防いではじいて続けざまに切りつける。
その際に背中に衝撃が走った。他のアントに攻撃されたのだ。
『再生』に回復を任せて攻撃を続ける。さすがに数が多く、何度も攻撃をくらうようになっていた。しかし、『再生』でなんとかなるレベルだ。防御力上昇をたくさんゲットしたおかげかな?
普通に切るだけではつらいと判断して攻撃にスキルを混ぜるようにした。『威圧』と『威嚇』で動きを止めて切りつけたり、『全方位結界』を使って攻撃をはじき体勢の崩れたアントたちに『一閃』をくらわせたりもした。
それが1分ほど続いていた時、目の前にいた最後のアントが横から現れた棺桶に吹き飛ばされた。あ、俺の獲物……。
「メイ、無茶しすぎ。まだこっからが本番なんだよ」
「ありがとヒツギ。そういやボスじゃなくてこいつらが取り巻きだってこと忘れてたよ」
「回復いる? 魔力はそれなりに残ってるけど」
「あー『再生』あるからいいよ。それより、いよいよボスが出てくるらしいぞ」
広場の奥で浮いていた大きな魔力の塊4つ。それぞれがアントの姿をなしていく。
鑑定を使うとそれらの名前がわかった。
『真ビッグポーンアント(アント種)』
『ビッグルークアント(アント種)』
『ビッグナイトアント(アント種)』
『ビッグビショップアント(アント種)』
全部いるじゃねえか。
だが、そいつらは完全に現れることはなかった。
ビッグルーク、ビッグナイト、ビッグビショップの3体のアントが真ビッグポーンアントに集まっていく。そして1体のアントになった。
『真キメラアント(アント種)』
上位種4体の合体? しかも真? ふざけんなよ。本気で殺しに来てんだろ。まだ5層だぞ。せめて15層でやってよ……。
新キメラアントは腕が全部で6本。たぶんポーン以外の3種のアントの腕だろう。見た目からしてすごい強そうだ。
「あれやばそうなんだけど」
「昔でも見たことない種だよ。新種かな?」
「たぶんね。どうする?」
「あー俺とヒツギが前衛、マナが後衛で。俺とヒツギはとりあえずはしのぐことに集中しよう。マナ、しとめるのは任せたから」
「了解。気をつけてね二人とも」
「「もちろん」」
「キィアァアアガァガァアアァアアアアア!!!」
その時、真キメラアントが吠えた。さて、5層のボス戦ラウンド2といきますか。
俺は棍棒を握りしめヒツギとともに真キメラアントに向かって駆け出した。
どうもコクトーです
『刈谷鳴』
職業
『ビギナーLvMAX
格闘家 LvMAX
冒険者 Lv49/99
狙撃手 Lv38/50
盗賊 Lv34/50
剣士 Lv35/50
武闘家 Lv31/60
戦士 Lv33/50
魔法使いLv40/50
薬剤師 Lv34/60
鬼人 Lv7/20
????の勇者Lv8/??
狙撃主 Lv2/70
獣人 Lv1/20
狂人 Lv1/50
魔術師 Lv1/60 』
今回も日付変更ギリギリになりました
お、俺は悪くない!課題の奴が悪いんだ!
冗談です。すべて自分のせいです
次もバトル!
ではまた次回