アントホームです7
「で、反省はしましたか?」
「はい」
「ほんとに?」
「心から反省しております」
あのあと、俺の想像通りお説教が始まった。その内容は主に『あんな危ないことをするな』だったのだが、途中から話がおかしな方に向かっていき、なぜか『私たちに手もつけてないのに新しい女に手を出すのか』とか『さっさと私たちに手を出せ』とか反応に困った。
それまでは憐れむような励ますような顔をしていたムウルマルたちも怒りとか恨みの形相に変わっていった。言葉にするなら『視線で人が殺せたならば!』って感じだ。
お説教中に『瑠璃薔薇の太刀』の挑戦が終わったらしく、扉が開いたので『脱土工房』のドワーフたちは扉のなかに入っていった。
それからさらに数分経って彼らの挑戦が終わったところでお説教も終わった。
その間俺はずっと正座させられていた。そのためか、というか絶対そのためだが、足がしびれてまともに動けそうになかった。立ち上がるだけできついんだもの!
それでも俺の襟足を引っ張って連れていこうとする2人。足引きずるのはやめて! 痺れていたいんだから! 『麻痺再生』は仕事してないし!
俺の声にはださない心の叫びは2人に届くことはなかった。
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またあの冒険者が現れた。
今度は5層だ。
5層にたどり着くまでにけしかけたアントたちは変異しなかった。
魔法をあえて受けるように促していた。
なぜ変異しなかったのだろうか?
1層では普通に戦っていた。
なら今度も普通に戦わせればいい。
5層は彼らの見せ場。
それを奪うつもりはない。
戦果がまともにないとしてもだ。
ここはダンジョンの防衛線の1つ。
ここではただ時間が稼げればいい。
その間に下で準備ができるんだから。
ワープで来ようが関係ない。
16層にはたどり着いていないのだから。
6層から先アントは少ない。
すぐに進化してしまった。
すぐに淘汰されてしまった。
すぐに死んでしまった。
すぐに全滅させられた。
そこに住む彼らに。
現れる侵略者たちに。
弱い者はいなくなる。
それが6層以降。
彼らなら問題ないだろう。
私はただ変異を促すだけ。
さあアントたち。
さあポーンアントたち。
彼らとしばらく対戦できなくなるわ。
精いっぱい散りなさい。
力の限り。
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扉の中に入ってすぐは扉が閉まる以外は何も起きない。どうやってパーティを識別してるんだろうか?
扉が完全に閉まりきる。ここで数体のアントやポーンアントそして巨大上位種アントが一体でてくるはずだ。それくらいなら魔法なしでもいけるかな? 巨大上位種アントが危ないかもしれないな。やっぱ魔法はありでいこう。
「見て。きたよ!」
マナが最初にアントが現れるのを見つけた。さて、上位種はなんだろうな。
俺たちがいるのは扉のすぐ近く。というか扉を背にしている形だ。これなら後ろに現れることはないはずだ。
この広場において、アントたちは地面からはえてきたり壁から出てきたり天井から降ってくるわけではない。空中に小さな魔力の塊が生まれ、それがアントたちになるのだ。そう。言い換えるならば魔力の塊が生まれたところには何らかの種のアントが生まれるということになる。
「……これどうゆうこと?」
「数体って規模ではなさそうだね」
「体力的に厳しい……かも?」
今俺たちの目の前には黒色のカーテンができていた。もちろん比喩だが、これはまじでやばい。
俺たちがいる場所のだいたい半径5m前後を除いたすべての場所が黒くなっている。
「これ全部アントなのか?」
つまるところそういうことらしい。おい、アントとポーンアントが数体って言ったやつだれだよ。もしかしなくてもこのダンジョンって俺たちのこと殺しにきてない? 俺たちなんか気にくわないことでもしましたか?
そんなことを思う間にも最初の方に生まれた魔力の塊がアントへと変わっていく。正確にはアントとポーンアントだが、そんなことは些細な問題でしかない。アントたちが現れたところを見ても魔力の塊がなくなっていない。同じ場所にまた現れるということだ。
「マナ、できるだけ広範囲に撃てる魔法優先に使って。ここで魔力切れは洒落にならないけど、できるだけ多く倒してほしい」
「それはわかってるけど、ヒツギはどうするの?」
「私なら平気だよ。ただ私の周りには絶対に来ないでね。思いっきり振り回すから巻き込まれちゃうかもしれない」
ヒツギは既に棺桶を頭上で両方とも回し始めている。準備万端だな。
そんなとき、まだ全部のアントが生まれきっていないにもかかわらず先に生まれたアントたちがこちらに向かい始めた。それに従って、俺たちの周りのあいていた空間が少しずつ狭くなり始めた。
3人の視界にはアントとポーンアントしかいない。それが大量に迫ってくる。正直気持ち悪いな……。
「さて、広範囲の魔法……といいたいけど俺は貫通狙ったほうがいいかな」
俺は棍棒を構えたまま周囲にダークランスを展開していく。自重は一切なし。いまできる最大限まで数を増やしてやる。
俺が真ん中、ヒツギが左、マナが右から来るやつらの担当ということにした。これならそれぞれの攻撃の邪魔にはならない……はず。横目で見たらマナも杖を抱えて魔法を撃とうとしていた。俺の黒い球体とは違い赤色の球体。ファイアランスってところかな?
そして誰からともなく戦いが始まった。
どうもコクトーです
『刈谷鳴』
職業
『ビギナーLvMAX
格闘家 LvMAX
冒険者 Lv49/99
狙撃手 Lv38/50
盗賊 Lv34/50
剣士 Lv35/50
武闘家 Lv31/60
戦士 Lv33/50
魔法使いLv40/50
薬剤師 Lv34/60
鬼人 Lv7/20
????の勇者Lv8/??
狙撃主 Lv2/70
獣人 Lv1/20
狂人 Lv1/50
魔術師 Lv1/60 』
今回は少し短めです
キリまで書こうと思ったら6000文字超えてしまったのでここできりました
次はバトル(?)ですよ!
ではまた次回