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アントホームです6

 5層は1本道だ。分かれ道も横穴も一切ない。ただ、まっすぐ進んだ先に大きな広場がある。ただそれだけだ。

 広場の手前は少しだけ広くなっており、そこには扉が付いている。その先が広場だ。

 その広場には5層を守るボスがいる。5層ごとにボスと戦わなければいけないのはどこのダンジョンも共通らしいのでおかしなことではないが、オーガがいたダンジョンでは1層ごとにボスみたいなのがいたのでなんとなく違和感を覚えていた。まあ真オーガキングとかプラチナコングとかが毎回毎回出てきても困るのだが。

 そんな風に考えながら俺たちは扉の手前の広場に到着した。

 広場には俺たちの他に3組のパーティがいた。

 1組は3層の安息所で見たパーティだった。全員男のパーティ。いつ抜かされたのだろうか? ゆっくりしてたのは3層だけであとはそれなりに早く来たんだが…。

 知らないパーティの1つは全員女の、3層でも見たパーティの対極に位置するようなパーティだ。後衛は杖を持った1人だけで後は全員剣を携えていた。しかも1人は大剣。身の丈ほどもある剣をかついでいる。力が強いんだな。

 もう1組は3人組なのだが、剣士の男と杖とローブのいかにもな魔法使いの男と弓を背負った女。前衛より後衛が多い、攻め込まれたらまずそうなパーティだ。でもなんだか強そうに見えた。

 今は扉が閉まっているので、他のパーティが挑んでいるのかもしれない。3組とも壁に沿うようにして並んで座っているので俺たちもその後ろに座る。俺たちの1つ前は全員男のパーティで、ボスとの戦いでどう動くかを石でシミュレーションをしていた。

 彼らの話を聞いている限り、ボスの名前はビッグナイトアントと取り巻きの上位種アントが数匹らしい。時々ビッグビショップアントだとかビッグポーンアントになることもあるらしいが、そうそうないことだそうなのでその時は一旦防御態勢をとってどうするか決めるらしい。俺たちは……全員遊撃だよな。いずれはきちんと作戦を立てて挑まないといけないやつが相手になることも考えてはいるが現状は大丈夫。まあいざってときは俺が前衛に立って時間を何とかして稼げば二人なら何とかしてくれるはずだ。あ、白虎とかそういうやつらは別だからな? あれは作戦なんか立てても意味がない。俺は運よく勝てたが、たぶんきちんと作戦を立てても簡単に超えてくるだろう。


「あのー、あんたら安息所で会ったよな? ずいぶんと早く来たんだな」


 前のパーティの一人が話しかけてきた。


「いやいやあんたらのほうが早いじゃねえか。もう少し手ごわい相手と戦ってみたくてな。急いできたんだが……」


「俺らに負けたってか? かっかっか! 俺らは何度もここに来てるからな。自然とは早くもなるさ。見ない顔だし初めて来たってところか?」


「ああ。初めてだが、あんたらは何回くらい来てるんだ?」


「10回ってところだな。基本的に1~4層と6~9層を行ったり来たりして生計を立ててんだが、週に1度ずつ5層のボスと10層のボスに挑むことにしてるんだ。そして終わったら思いっきり呑む」


「今日は5層ボスの日だからな。さっさと終わらせて飲みに行くさ」


「かー、話してるだけで飲みたくなってきたぁ! 今日もいつもの酒場だよな?」


「お前ら順番なんだからそう焦るな。焦ってもいいことなんかなんもねえんだから」


「いいこと言うな。焦って動いても碌なことにならない」


「そういうこった。おいお前ら、とりあえず今は体休めとけ。いざボス戦でミスったら酒抜きにすんからな」


「そいつは勘弁してほしいぜリーダー。俺らから楽しみを奪うんじゃねえよ」


「お前少ししか飲めねーだろうが。酒の飲めないドワーフとか聞いたことねえよ」


 どうやら彼はドワーフだったらしい。いや、正確には彼ら全員(・ ・ ・ ・)だ。その後に続いた会話のなかでわかった。酒の話題になったとたんに他のメンバーまで参加してきたのは驚いたがまあ好きなもんならしょうがない……のか?

 そんなとき、奥の扉が開いた。前のパーティがいなくなったらしい。あ、やられたわけではなさそうだ。一瞬ではあるが奥の方で転移したのが見えた。

 この3組で一番最初に挑むのは3人組のパーティだ。

 一人が入る前に3人全員にエンチャントらしきものをかけている。一瞬淡く体が光ったのだ。全員がそれぞれの武器を構えて扉の中に入っていく。

 3人が入りきると扉がゆっくりと閉じ始める。扉が完全に閉じるまで扉の中に何かが現れている様子はなかった。扉が閉じきると中から爆発音が聞こえる。中で魔法をつかったらしい。それからもちょいちょい軽い音が聞こえてくる。

 しかし、だんだんと音がやんでいき、完全に静かになった。それから数分後、扉がゆっくりと開き始めた。どうやら3人組はすでにいないらしく扉の中はとても静かだった。


「うむ、ちょうど扉は開いているようだな」


 その時、急に入り口の方から1組のパーティが入ってきた。彼らは2層で見た男一人とあとは女のパーティだった。1つ違うのはぼろい格好の女たちは皆体のどこかが傷ついており、そこから生々しく血が出ているところだった。きちんとした装備の女だけは別だったが。一方で男は兜はしていないが、高そうな全身鎧に身を包み、腰にもピカピカの新品と思われるような剣を差している。使ってないのではないかというほどきれいなそれは、周りの女たちのもっているぼろぼろの装備と比べて異彩を放っていた。

 男は俺たちに目をくれることなく扉に向かってゆっくりと歩き出す。いきなりやってきて挑む気か?


「ちょいと待ちな。ここは順番になってんだ。次はあたしたちの順番だ。きちんと待ちな」


 次に挑むことになっている女性だけのパーティのリーダーっぽい女性がその男に注意する。当たり前だな。俺もこの女性たちもさっきまで話してた男たちもずっと待ってたんだ。それなのにいきなり来たこいつらが先にやるのは理不尽だ。


「あ”ぁ? この僕に逆らうというのか?」


「きちんと順番を守れって言ってんだよ。あたしたちもそれなりに待ってるんだ。お前たちに順番を譲る理由がない」


「おい、ツーやれ」


「え、あの……」


「やれ」


「……はい」


 ツーと言われた少女が持っていたぼろぼろの杖を握りしめてぶつぶつと唱え始める。あれ魔法使おうとしてないか? なんかやばい!

 女性リーダーの方は気づいていないのか、さらに男に詰め寄ろうとする。


「いったい何を言って――」


「ファイア!」


「!?」


 少女の杖の先から火の玉が飛び出す。女性リーダーの方はとっさのことで反応できていなさそうだ。当たったら火傷どころではすまなさそうな威力のファイアが迫る。


「危ねえだろうが」


 あらかじめ駆け出しておいた俺はファイアと女性の間に立ち、右手を突き出してわざとそこに当ててファイアを喰らう。同時に棍棒を2本取り出して構えておく。


『スキル:火耐性Lv9を習得しました』


 俺のスキルが上がる威力のファイアをいきなり人に向かって撃つとか何考えてやがるんだよ。


「あんなもん当たったら俺じゃなきゃただじゃすまなかったぞ? どういうつもりだ?」


 俺は威圧を使いながら男を睨む。若干いらだっているのが自分で出した声からもわかった。


「僕に逆らうやつなんかこの世にいなくていいだろ? それともお前も僕に逆らうのか?」


 なんとなくわかったぞ。こいつ貴族だな。


「逆らう逆らわない云々じゃねえんだよ。こんなことして覚悟はできてんだろうな?」


「僕は偉いんだ。何をしても許される」


「ここはダンジョンだ。ダンジョンでは冒険者のルールに従え」


「ルールだって? 僕がルールなんだ。僕はいずれ王都の中枢を担う人物だぞ? 僕が何か言えばそれがルールになるんだ」


 あーどんどんムカついてきた。威圧を強くする。


「う、お、お前何をしている! おいおまえら! こいつを殺せ!」


「「「「はい」」」」


 男の背後にいた女たちが一斉に攻めてくる。長剣一人、短剣一人、弓一人、杖一人だ。だが


「遅い」


 不意打ちを使って棍棒で2人の剣を半ばからへし折り、順に蹴りをくらわして後ろに吹っ飛ばす。その際長剣使いの方は弓使いの女の視界を遮るように飛ばす。弓使いはしゃがんで長剣使いをよけた。俺はそこにエアロを放つ。しゃがんで足を止めている状態なんか格好の的でしかない。

 俺があっさりと3人を下した中、杖を持ったツーと呼ばれていた少女に目を向ける。まだ呪文を唱えていた。俺は棍棒を片方そいつに向かって投げつけ、自身も走る。

 棍棒が当たっては大変だと思った少女は棍棒のほうに今まで唱えていた魔法を放つ。見たことない魔法だった。俺のほうに撃ってくれればいいのに……。そんなことを思いながらも肉薄して、次の呪文を唱えようとする少女の腹に一撃入れて気絶させる。

 ほんの30秒にも満たない間だったがあっさりと全滅させた。これなら上位種アントたちのほうが苦戦した気がする。

 後はお前だけだといわんばかりに男のほうを向いたら、目の前に光を放つ剣が迫っていた。男は気持ち悪い笑みを浮かべていた。後ろからとか…。


「油断大てきぃぃいい!」


「いや、油断してねーし」


 剣の腹を棍棒で殴って折り、あえてその顔面に拳を叩き込む。男は回転しながら吹っ飛んでいった。そのまま地面にがしゃんと鎧がぶつかった大きな音を立てながら倒れる。これで攻撃してきたやつは全滅だな。


「え? ちょ、まじ?」


 残る女がうろたえる。


「お前もやるか?」


「あ、あんた、イースター家の人間敵に回して無事でいられると思わないでよ!」


 女は指につけていた指輪を天に掲げると男と女たち含め転移した。そういうアイテムなのか。


「イースター家……あんた、礼は言うが大丈夫か?」


 さっきの女性リーダーさんが話しかけてくる。


「まあ大丈夫だろ」


 イースター家とか知らないし。


「それより準備できてるなら早いとこ挑んじゃってくれ。俺たちもいつまでも待ちたくないし、おっさんたちの酒も遅くなっちまう」


「おいおい、おれたちは別に酒飲みだけじゃねえぞ?」


「あれ? 違ったか?」


「おう。飯も食うぜ!」


「やっぱ間違いないってさ」


「坊主ぅうう!?」


「あ、ああ。ありがたくそうさせてもらうよ。あたしはパーティ『瑠璃薔薇の太刀』のリーダーをやってるカーマスだ。あんたは?」


「メイだ。パーティ名は……まだないや」


「ついでに言うと俺はドワーフでパーティ『脱土工房』のリーダーのムウルマルだ」


「個性的な名前だな」


「俺らの思いは1つだからな。ドワーフが全員鍛冶仕事できると思うなよぉ!」


 なんか叫んだムウルマルをほっといてカーマスと握手を終えてマナたちのところに戻る。




 お説教だろうな……。





どうもコクトーです



『刈谷鳴』

職業

『ビギナーLvMAX

 格闘家 LvMAX

 冒険者 Lv49/99

 狙撃手 Lv38/50

 盗賊  Lv34/50

 剣士  Lv35/50

 武闘家 Lv31/60

 戦士  Lv33/50

 魔法使いLv40/50

 薬剤師 Lv34/60

 鬼人  Lv7/20

 ????の勇者Lv8/??

 狙撃主 Lv2/70

 獣人  Lv1/20

 狂人  Lv1/50

 魔術師 Lv1/60 』


人物の名前を考えるのが苦手です


ではまた次回

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