アントホームです5
「えっと、マナ、ここで合ってるのか?」
「うん、この部屋だよ。宝箱どうなってるかな?」
「さぁ? こればっかりは実際に入ってみないとわからんだろ」
「宝箱の中身が復活するかどうかはランダムだからね。入ってるといいな」
そんなことを話しながら俺たちは小屋の入り口を開くために壁を軽くたたく。このダンジョンでは小屋が多くあるが、見た目はただの通路になっている。安息所のほか数か所は入り口があるが、基本的にはただの壁のようになっているのだ。衝撃が入り口となる部分にあると、そこの壁が開いて入り口になる。
だいたいの場所しかわからないのでコンコンと壁を等間隔に叩いていき、6,7回くらいでようやく入り口を見つけた。
部屋の中央に宝箱がぽつんと置いてあるだけのシンプルな部屋だ。
俺たちは部屋に入って宝箱の前まで来た。
「じゃあ開くねー」
マナが宝箱のふたをもって上に開く。宝箱はあっさりと開いた。
俺たちが宝箱の中身をのぞき込むとそこには何も入っていなかった。
「あー空かー」
「しょうがないよ」
「そんなもんだろ。次はトラップ部屋だな。道は覚えてるからさっさと行くか」
マナは名残惜しいのか時折ちらちらと後ろを振り返るがそれでも部屋を出て俺の後に続いた。
俺の選んだ部屋は割とあっさり入口が見つかった。今度の部屋もさっきと同じく真ん中に宝箱があるだけ。ただ先ほどの部屋よりは少しだけ広いかな?
俺たちはさっきと同じように部屋の宝箱の前まで来る。
「これは罠の宝箱だから気をつけろよ。何が起こるかわかんないから」
「うん。といってもメイの結界頼みだけどね」
「それでも注意はしてろよ。結界が壊されたり無効化されたりするかもしれないんだから」
「対応はできるようにしてるから大丈夫。これくらい浅い階層の罠で苦戦してたら下のほうまでいけないと思うよ」
「それもそうだな」
俺たちには罠を解除するすべがない。ならば罠を全て乗り越えるだけだ。
俺は宝箱の蓋に手をかけた。
「せいっ」
勢いよくふたを開けると、入り口がふさがった。そして四方の壁から3本ずつ矢が飛び出した。
だが、それはひどくゆっくりとしたもので、ひょろひょろと飛んできて俺の結界にあたって全部地面に落ちた。
「……拍子抜けだね」
「なんであんな弱い矢なんだよ……」
「あれならもし当たっちゃってもそんな大したダメージにはならなさそうだね。今後はだんだんと速くなるのかな?」
ヒツギはそう言ったが、少し気になった俺は地面に落ちていた矢を鑑定した。
『木の毒矢:先端に遅効性の毒の塗られた木製の矢』
毒つきかよ! しかも遅効性とかえげつねえ……。あれだろ? 喰らっちゃってもその時は特になんともないからと簡単に治療だけして先に進み、戦ってる最中にだんだんと毒が体に回ってアントにやられるんだろ? このトラップ性格悪すぎるわ!
「2人ともそれの先端絶対触るなよ。遅効性の毒ついてっから」
「ほんと? ……あ、ほんとだ。鑑定するまでわかんなかった」
「即効性じゃないのがまたあれだよね。これどうする?」
「武器にする……と言いたいとこだけど結構もろそうなんだよこれ」
言いながらそっと矢を拾って少し力を入れると、ポキッとあっさりと折れてしまった。これでは敵に投げつけようにもそも前に折れてしまいそうだ。よく地面に落ちた時折れなかったな。
「だから喰っとくことにするわ。たぶん毒耐性とかレベル上がりそうだし」
「毒耐性か……懐かしいな。たしか私が初めて身に着けたスキルだったんだ」
「900年前にってこと?」
「そ。まだ棺桶にどんな能力があるかいまいちわかんなくてね。とりあえず耐性を先に取ったの。今思えば間違いだったと思うけどね」
「なんで?」
「結局その後レベル上げなかったから。他にいいやつ見つけちゃって。それは今も残ってるんだよ」
「どんなのだ?」
「全耐性ってスキル。魔法は全て少し威力下がるし、毒とか麻痺とか混乱とか魅了とかも片っ端から効きにくくなるスキル。適当に耐性スキルをとっていったら統合されたんだ。でもなんでこれだけ残ってたのかな?」
「すげースキルだな。俺もいずれゲットできればいいんだがな」
「まあ残ってたなら運がよかったってことじゃない? 気にしないでいいって」
「この棺桶はよくわからないところがまだあるからそれなんだろうね。さ、次いこ! 次は私の選んだ場所なんだから!」
話を無理矢理切るようにしてヒツギが催促する。そうこうしてる間に集めておいた12本の矢を全部喰らう。毒のあるとこをつけるのはなんか嫌だから反対側をつける。これでも問題なく喰えるからいいじゃない。
『スキル:毒耐性LvMAXを習得しました。
毒無効Lv1を習得しました』
おお。耐性から無効になった。麻痺のときは回復だったんだけど毒は無効なのか。まあ麻痺と違っていつまでも続きそうだしな。
俺たちは用がなくなった部屋から出るために壁を軽くたたいて入り口を開く。すると、ちょうど目の前にアントがいた。問答無用でヒツギの棺桶の餌食になったけどね。
そしてヒツギの選んだ、階段のある部屋の隣の部屋に向かった。
「うー薬草かぁ……」
「あるだけましじゃない。私の選んだとこなにもなかったんだよ?」
部屋をあっさり見つけて中に入った俺たちが見つけたのは宝箱に入った薬草1束。とてもじゃないが利益とはいえそうもない。自分たちで使う分の一部がほんの少し確保できた程度だ。俺としては再生があるしいらないんだけどな。
俺たちは足早に部屋を出ると、その隣の階段の部屋に向かった。
階段がある部屋は初めから入り口が開いている。ここも宝箱のあった部屋と同じく真ん中に階段があるだけだ。迷うことなく次の階層に向かうことにした。
3層は1層に似たような感じだった。通路があって、天井や壁などそこかしこに穴が開いておりアントたちがどこからでも出てこられるようになっている。冒険者は常に襲われることを考えて全方向を警戒しないといけないという階層だ。
だが、俺たちはそんなこと関係ないとばかりにワイワイと進んでいた。しかもそのペースは早く、地図を見ながら最短ルートをどんどん進んでいた。そして3層についてからわずか30分ほどで4層に到着した。そしてその4層も、少しモンスターを相手にしていたため遅くなったがあっさりと突破していった。
なぜ急にペースを上げたのかというと、ただ単にもっと下のほうまで行きたいと感じたのだ。下のほうに行けばもっと強いモンスターがいると思うし、何より心配なことがあったのだ。
3層に降りてすぐに1体のモンスターと戦った。ポーンアントだった。はじめは何も感じなかったが、いざ攻撃をしたとき奇妙なことがあった。ヒツギが繰り出す棺桶はよけようとしたり迎撃しようとするのだが、なぜか魔法はよけようとしなかった。よけられなかったと考えればそれでいいのだが、その後に出てきた3体のポーンアントとアントも魔法はよけなかった。これに何者かの作為を感じたのだ。
そこで俺はアントを吸収したときに耐性系スキルを得たことを思い出した。もし何者かが魔法をあえて喰らわせてそれを繰り返させて耐性をつけさせようとしているのだとしたら。
マナは考えすぎじゃないか、と言っていたが、俺とヒツギはなぜかそれが気になって仕方なかった。だから先を急いでいくことにした。
15層の先。そこがどうなっているのか。それがこの疑問を解決してくれる気がした。
そうして俺たちは5層へと進んだ。
どうもコクトーです
『刈谷鳴』
職業
『ビギナーLvMAX
格闘家 LvMAX
冒険者 Lv49/99
狙撃手 Lv38/50
盗賊 Lv34/50
剣士 Lv35/50
武闘家 Lv31/60
戦士 Lv33/50
魔法使いLv40/50
薬剤師 Lv34/60
鬼人 Lv7/20
????の勇者Lv8/??
狙撃主 Lv2/70
獣人 Lv1/20
狂人 Lv1/50
魔術師 Lv1/60 』
ぎりぎり3日以内!!
睡眠欲には勝てないよね…
睡眠は大切にね!
特に本編に触れることはありませんでした
ではまた次回