悪の洞穴です3
少し先の広場に追加された新たな人を追うように追加されたモンスターたち。それに対する反応によって広場で戦うパーティの正体が判明した。ユウカとキャラビーが世話になった相手。それだけで助けに入る理由には十分だ。
「ユウカ、知り合いの方がいい。声掛けは頼んだ」
「了解した」
「黄龍、キャラビーを守れ。キャラビーは広場に残った罠の解除を!」
「がんばるのだ!」
「……」
まだ残っていたらと思って頼んだが、既にキャラビーの認識範囲に入っていたらしくこくりとうなずくだけだった。俺の『罠察知』何も反応ないんだけど?
全員に『スピードエンチャント』をかけて広場に向かって走る。次第に戦闘音が聞こえてきた。
「『アーキテクト』! 介入はいるか!?」
広場の様子が見えてきたところでユウカが声をかける。
「いるいる! 超いる!」
「よっしゃ届いたこの想い! サイッコーな人に届いてくれた!」
「こんな状況で何叫んでんだ馬鹿って思ってごめん!」
ユウカの声に即座に反応して言葉が返ってきた。俺たちに気が付いていたというわけではなく誰か来てくれたらいいなというくらいだったのだろう。
「そのまま壁際にいてくれ。数を減らす!」
『探知』で『アーキテクト』の面々が広場の壁際で固まって戦っているのはわかっていた。壁の向こうから襲われる可能性が0ではないが、それ以上に広場の全方向が敵という状況よりはましなのだろう。
広場に入るとモンスターの一部がこちらに向いた。巨体がいるせいで全体を把握することはできないが、見えている範囲だけでもエルダーリッチが4体にスケルトンとゾンビ両方のサーペント、スケルトンウルフ系のモンスターが山ほど。そして空を飛ぶオウル系やホーク系のスケルトンにゾンビ。隙間からうっすらとではあるがゴースト系のモンスターも見える。
「吹き飛ばすのはなしじゃぞ!」
「わかってるよ。『サンダーブレス』」
『龍化』は狭くなりユウカの邪魔になるから素のまま『サンダーブレス』を広範囲に吐きつけた。『不死殺し』の乗った雷が射線上にいたアンデッドたちを貫き殺していく。
「「「『カカカ、カカ、カカカカ』」」」
他のアンデッドを盾にしてダメージを抑えたエルダーリッチたちの詠唱が聞こえてきた。すぐさまユウカが斬撃を放って妨害を図るが、支配下に置かれているのか他のアンデッドたちが続々と盾となり阻まれてしまった。
詠唱が完了し、宙に浮かび上がった氷や炎の塊が発射される前に、周囲に展開した『サンダーレーザー』で撃ち抜く。ブレスの範囲から逃れていたゴーストたちもまとめて雷の餌食だ。
「活路が見えたよ! まずは合流! 射線に入らないようにね」
「「「了解」」」
ブレスとレーザーの攻撃が途絶えて、一気に敵の戦力が減ったのを機に、攻撃の射線に入らないようにと一カ所に固まって、弾き飛ばすか遠距離からの攻撃に徹していた『アーキテクト』が動き出す。
「ユウカ、あんま前に出るなよ」
「ならあのアンデッドサーペントたちを先に落とすのじゃ。あれが落ちれば遠距離がメインじゃ」
ユウカが指示したのは広場の中央付近を位置取り、攻撃の隙を伺う2体の大きな蛇だ。『鑑定』の結果はサーペントゾンビ・ボスとサーペントスケルトン・ボスというコンビで、まだ確認できていないがリッチキングがいないのであればあれがこの群れの中心なのだろう。
先ほどの『サンダーブレス』でダメージを負っているはずだが、アンデッドに痛覚はないからわからない。『不死殺し』の効果が乗っていたのだから大ダメージでもおかしくはないが、少なくとも骨が折れている様子や肉が崩れ落ちる様子はなさそうだ。
「ちょっと強めのいくぞ」
「『アーキテクト』の連中のことは任せるのじゃ。ぶちかませ」
ユウカにサポートを頼んで攻撃に集中する。大物を蹴散らすならやっぱちこっちだろう。
「『ダークネスランス』『死龍のブレス』」
アンデッドサーペントたちが逃げないように左右に『ダークネスランス』を撃ちこみながらまっすぐにブレスを吐きつける。先のブレスとの違いに気づいてなのか、単純にブレスを脅威と思ってなのか、向こうも同士討ちを気にせずブレスを吐きだしてきた。
2体が吐いてくるブレスで背後から撃たれることになった数体のアンデッドはもちろん、俺がやつらを狙うためのブレスの範囲に入ってきた相手も軒並み呑み込む。そして2体のブレスと衝突すると、そのまま押し切った。
「ご主人様! 広場の罠は全部解除しました!」
「よくやった、戻ってこい!」
『死龍のブレス』が2体のアンデッドサーペントたちを粉砕し、奥の壁まで突き刺さるのを見てすぐにキャラビーから声がかかった。みぃちゃんに乗っての移動していたことを考えても、広場全体の罠の解除って早すぎるな。
「派手にやりますね! 助かります!」
ユウカの援護もあり、アンデッドたちの壁を正面突破してこちらに合流した『アーキテクト』の面々も俺たちの側に並ぶ。遠距離攻撃の手段を持たない2人は、ユウカと共に壁を越えて襲ってくるモンスターがいないか警戒に周り、他の面々は固定砲台と化した俺に近づくモンスターが出ないように牽制に徹し始めた。
実はあのサーペントたちが親玉ではなかったらどうしようかと警戒しつつも大量の『サンダーレーザー』をばらまく。魔法を使おうと魔力を高めるリッチ系がいたらすぐさま狙い、盾持ちのスケルトンには数の暴力。雷属性の攻撃に耐性があると思われる個体も『不死殺し』が乗っているためにダメージを押し付けることはできるし、『アーキテクト』の面々も察しがよく、そうした個体がいれば優先して落としてくれていた。
全員が合流し、殲滅戦へと移行してからはあっという間に広場中にいたアンデッドたちは瞬く間に数を減らしていき、5分とかからず最後の抵抗を続けていたエルダーリッチが光属性の込められた矢によって撃ち落とされた。
「今ので最後かの?」
「……『探知』に反応はないな。そちらは?」
「タイプ白。こっちも敵正反応なし! あー疲れた! 本当に救援ありがとうございました!」
「「「ありがとうございました!」」」
戦闘の終了をお互いのパーティで確認し合い、追加がないとわかった途端に緊張が解ける。『アーキテクト』の面々も揃ってお礼を言ってきた。
「なに、冒険者同士助け合いは大事じゃからな」
「ユウカとキャラビーが世話になったみたいだからな。助けられてよかったよ」
「ほんとに助かったっすよ」
「しかしモンスターハウスにしては様子がおかしかったが何があったのじゃ?」
「単純な話、擦り付け失敗というところですね。訓練目的でリッチの群れとの戦闘中に敵の増援があって追加。そのタイミングでリッチたちがアンデッド召喚を行ってさらに追加。かと思ったらどこぞのパーティが広場に群れごと突っ込もうとしてバックアタックで全滅。その際にモンスター召喚のトラップを踏み抜いて追加ともう散々」
「途中で反応が増えたのは感じたが、召喚トラップまで踏み抜いていたとは……」
「奥の方にトラップがなかったのは既に発動した後だったからだったんですね」
「キャラちゃんあの戦場で罠解除して回ってたんね。ありがとー!」
キャラビーの動きも把握できていたらしく、お礼と共にキャラビーがもみくちゃにされる。ほどほどにしてやってくれ。
その後、ユウカと『アーキテクト』のリーダーの話し合いの結果、広場のモンスターたちが残した素材の一部と、1,2層の地図の写しをもらうことになった。個人的には地図の写しだけでも十分な気がするが、単独パーティでもダメージ覚悟で全力で逃げれば突破自体はできたが、殲滅はできなかったということだ。
『探知』と『自動マッピング』頼りではあるがいずれ地図は出来上がる。今日明日ですぐに次の層に行くような想定はしてなかったが、次の層への道がわかっているのは非常に大きいし、もらえるのであればありがたくいただこう。
『アーキテクト』は疲労の色が濃いということで今日は帰るとその場で別れた。彼女たちから頂いた地図は大いに活用させてもらおう。
「それじゃあ先がわかっておらん通路を一つ二つたどったらわしらも帰るかの」
「宝箱とかあるといいですね」
「気楽だな……まあ行くか」
『アーキテクト』の作った地図を見ながらどの道を行くのか話し合うのだった。
どうもコクトーです。
『刈谷鳴』
職業
『最大
ビギナー(10) 格闘家(50) 狙撃手(50)
盗賊 (50) 剣士 (50) 戦士 (50)
魔法使い(50) 鬼人 (20) 武闘家(60)
冒険者 (99) 狙撃主(70) 獣人 (20)
狂人 (50) 魔術師(60) 薬剤師(60)
神官 (50) 剣闘士(60) 重戦士(70)
龍人 (20) 死龍人(20) ローグ(70)
魔導士 (90) 精霊使い(40)舞闘家(70)
有効職業
聖魔??の勇者Lv23/?? 大鬼人 Lv26/40
上級獣人Lv18/30 魔人 Lv15/20
探究者 Lv42/99 狙撃王 Lv15/90
上級薬師Lv10/80 上級龍人Lv4/30
死霊術師Lv24/100 アーマーナイトLv1/99
剣闘騎士Lv1/99
非有効職業
呪術師 Lv1/80 死龍王Lv1/30
盗賊王Lv1/100 大魔導士Lv1/100
上級精霊使いLv1/50』
ちょっと夜勤が続いたのもあって体調崩すことが増えてました。季節の変わり目もあるんでしょうけどね。皆さんは気を付けましょう(n敗)
ではまた次回




