悪の洞穴です2
『悪の洞穴』に足を踏み入れた。その瞬間から、どこかおちゃらけた様子もあった俺たちの雰囲気も真剣モードに切り替わる。『探知』も察知系のスキルも全開だ。
「じゃあ決めた通りに」
「はい」
「うむ。後ろは任せい」
マナとヒツギのいない『マツノキ』。いろいろ話した結果、狭い道の多い『悪の洞穴』では俺とキャラビー、それからみぃちゃんを前に置き、バックアタック警戒でユウカが構える形を採用した。他の従魔達は戦闘時に必要に応じて出していくことになる。まあ館の防衛のために残っているアンナとカルアは除くし、ヒメとカルアのちびっこたちは勝手に出てくることもあるから一応ってだけだが。
「来るぞ」
通路を進み始めてすぐ、『探知』に反応が出た。だが、その方角はどう見ても壁だ。
「壁の向こうだ。気づかれて……いや、補足されてる『全方位結界』」
「さっそくとはの」
「周囲に罠はありません!」
反応のある方角に構えていると、壁をすり抜けて骨が飛び出してきた。爪の先をこちらに向けて突撃してくるが、事前に貼った結界に阻まれて弾かれる。
「オウル系のスケルトンじゃな。1匹か?」
「だな。追加の反応はない。掴むぞ」
このままでは結界を破れないとみたスケルトンバイオウルが結界から離れようとするところに『ダークチェーン』を伸ばす。スケルトンの軽い体を活かした激しい空中機動で鎖から逃れようとするが、キャラビーが牽制に放った短剣に気をとられたところを捕まえた。
スケルトンバイオウルもすぐに風の刃を放って鎖を断ち切ろうとするが、その前に追加の鎖が骨を絡めとる。集い始めた風も鎖の一本が貫いて消し去った。そしてユウカの一太刀があっさりとその身を真っ二つにする。
アンデッドとしての生命力(?)があるからか二つに分かれて地面に落ちても尚飛び立とうとするスケルトンバイオウルだが、その前にみぃちゃんが剥き出しになった核を切り裂いた。
「すまん、少しずれたようじゃ」
「さすがに第二段階というだけあるんだろうな。いきなりだいぶタフだった」
「アンデッドじゃからの」
「いや、そうなんだがそうじゃなくて……」
「わかっとるわ。まあ初めての相手と考えると一匹で助かったの」
「あんなあからさまな骨が壁をすり抜けてくるってなかなかびっくりしたぞ」
「一匹であればご主人様の結界で初動は防げそうですね」
「物理だけだけどな。魔法に対する結界は俺は使えないし」
「あまり数が多くなるとむしろ動ける範囲を狭めかねんし、悩ましいところかの」
「ここのダンジョンではあんなのが当たり前になってくるんですよね? しかも罠に注意しながら」
「そうなるの。わしも壁を抜けてくる直前まで気配を読めんかった。オウル系の強みはそのまま残っておるらしい。さすがに魔法を壁の向こうから撃ってくるなんてことはないじゃろうが、メイの『探知』は便利じゃな」
「今後も全部できるとは限らないけどな。油断はしないように」
「はい!」
その後スケルトンバイオウルの爪だけ回収し、再び通路を先に進んでいくことにした。
二つの広場でのスケルトン系集団との戦闘をこなし、壁を越えてくる襲撃を数度撃退する頃にはある程度感覚もつかめるようになってきた。
基本的には俺の『探知』にモンスターたちは表示される。反応もなく襲ってきたのはアサシンゾンビ一体だけだった。気配を絶つことに長けたモンスターで、戦闘能力としてはそれほど高くなかったから問題なかったが、絶対ではないということがわかったのだからそれでいいだろう。
もはや『善の洞穴』では鍛錬にならないとユウカに言われていたキャラビーの罠対処については申し分ないとしか言えない出来だった。
俺の『罠察知』には引っかからない罠をあっさりと発見し、1分とかからずに解除してしまう。罠が多いとされるこの『悪の洞穴』でも百発百中だ。簡単そうな物についてはなんなら俺たちに伝えずにささっと行って解除してしまうことすらあった。その時に壁を越えてきたら対処が難しくなるからやめるようにちょっぴり怒っておいたがそのあたりは癖が抜けないのだろうとユウカも考察していた。それなりに時間も経つはずなんだが……。ゆっくりやっていこう。
普通に通路にいたスケルトンライダー3体を蹴散らして先に進むと、『探知』に大量のモンスターたちの反応があった。どこかのパーティが広場で戦っているようだ。
「大量の敵と戦闘中だ。どうする?」
「モンスターハウスの罠でも踏み抜いたのかの。やばそうなのはおるか?」
「……『探知』に出てる魔力量を考えたら多分いないな」
「まあそんなのがおったらわしも感知できておるじゃろうな」
「ご主人様、その広場までは罠はなさそうです。助けに向かいますか?」
「行こう。介入した方がよさそうかどうかの判断はユウカに任せる」
「大役じゃの。任されたのじゃ」
そう話していると、広場の奥、おそらく別の通路から人の反応が増え、そして消えた。それと同時にそいつを追ってきたのであろうモンスターたちの反応がワラワラと増えていく。
「ざっけんじゃねーっすよ!」
俺たちのところまで聞こえてきたのは入り口で会ったパーティ『アーキテクト』の女性の物だった。
「モンスターの反応が増えた。急ぐぞ」
「はい「うむ」」
『スピードエンチャント』を全員にかけ、俺たちは急ぎ戦闘の行われている広場に向かった。
どうもコクトーです。
『刈谷鳴』
職業
『最大
ビギナー(10) 格闘家(50) 狙撃手(50)
盗賊 (50) 剣士 (50) 戦士 (50)
魔法使い(50) 鬼人 (20) 武闘家(60)
冒険者 (99) 狙撃主(70) 獣人 (20)
狂人 (50) 魔術師(60) 薬剤師(60)
神官 (50) 剣闘士(60) 重戦士(70)
龍人 (20) 死龍人(20) ローグ(70)
魔導士 (90) 精霊使い(40)舞闘家(70)
有効職業
聖魔??の勇者Lv23/?? 大鬼人 Lv26/40
上級獣人Lv18/30 魔人 Lv15/20
探究者 Lv42/99 狙撃王 Lv15/90
上級薬師Lv10/80 上級龍人Lv4/30
死霊術師Lv24/100 アーマーナイトLv1/99
剣闘騎士Lv1/99
非有効職業
呪術師 Lv1/80 死龍王Lv1/30
盗賊王Lv1/100 大魔導士Lv1/100
上級精霊使いLv1/50』
2週ほどすみませんでした。阪神優勝の余韻に浸りすぎて書けず、夜勤明けで眠すぎて書けず…。休日夜勤が多くなってまして、来週も日曜夜勤なんです、ハイ。
ではまた次回