帰ってきました9
俺の必死の説得は意味を成さず、二人がかりで論破された。改めて俺には情報が足りてないことがわかる結果である。なんだよ同時多発スタンピードとかエンシェントエルフ様そんなこと言ってなかったじゃん……。
「俺としてはもともと合流出来たらマナを探しに動いて、見つけ次第迎えに行く。そんでヒツギと話をするためにも魔王城にでも殴り込みに行こうと考えてたんだが、いろいろとそうもいかない状況ってことは理解した」
「待て待て待て待てい! さらりととんでもないことを言うでないわ!」
「そんなに不思議なことか? 俺が帰ってきたらどうするかわかりきってただろう?」
俺の反論にユウカはぐっと図星をつかれたような表情になった。これまで敢えて口にしてなかっただけなのだろう。
「ヒツギの、いやひつ姉の狙いは俺だ。仮に俺たちから動かなくても、いつかは拠点であるこの場所を攻めてくることは目に見えてる。向こうには場所が完全にばれてるからな」
「しかし、お主が生きておることは気づかれておるのか? 状況的に死んでいると思っていてもおかしくはないじゃろう?」
「あの戦いの直後なら可能性はあったかな。戦闘中に使ってたやつは任意の場所に飛ばす感じで対になる渦を作り出していたけど、あの転移は決められた場所に飛ばすって感じじゃないと思う」
「それはわしも同感じゃな。おそらくランダムで適当な場所に転移させる魔法。ある程度決められた地点からランダムなのか、他の条件があるのかはわからんが」
「ぶっちゃけ、あの状況で俺がヒツギのところから逃げ出すなんて想定外だったと思うんだよ。俺が光属性が弱点ってのはよくわかってるはずだから」
「……私のせいですね。申し訳ございまみゃ」
自分の呪いを喰った影響でそうなってしまったとキャラビーが暗い表情になる。すぐさま俺とユウカで左右から頬をつまんでヒメのようにムニュムニュし始めた。
「お前のせいじゃないと何度も言ってるだろ? 光や聖属性への抵抗力はなくなったけど、その分闇属性の力はものすごい強くなったからな。お手柄だ」
「そもそも大昔にキャラビーのご先祖様が受けた呪い。お主はその尻拭いをさせられておるのじゃからうだうだと言っても仕方ないじゃろう」
「しかし……」
「しかしもおかしもないわ」
「まあまあユウカも落ち着け。きっかけになったのは呪いだったとしてもそれを喰うと決めたのは俺だ。ならばその責任は俺にある。ともかく、だ。光と氷の上位属性である聖氷魔法なんて受けて継続的にダメージを与える状態になっているのに動くなんてありえないって思ってたから武装解除もしなかったんだろうからな」
「じゃが、お主は実は耐性を持っておったわけじゃな。そんな魔法を受ける機会などないじゃろうにいったいどうやったのじゃ?」
「モモさんからもらった短剣がその属性を帯びてたんだよ。うっかり喰っちまって耐性を手に入れた感じだな。それでも、本来なら光属性系のスキルは手に入れてもすぐに消去されちまうんだが……」
「一族や子に属性が受け継がれるのはよくあることじゃ。お主の本来の属性はそっちだったというだけじゃろうて。スキルを打ち消すのはよくわからんが、その打ち消す効果よりもお主の体がその属性になじむ力の方が上回ったのじゃろうな」
「あ、あの、そろそろ頬を」
「ヒメとはまた違った柔らかさ。成長したなキャラビー」
「よいではないか、よいではないか~」
何度言ってもすぐ自分のせいだと暗くなくキャラビーへの罰もかねて、それからしばらくその頬を両側からむにむにし続けた。ユウカは完全に悪ノリだ。あんまり強くいじりすぎても赤くなってしまうしキャラビーも痛いからほどよい力加減でいこう。
「さて、お遊びはこれくらいにしておくのじゃ」
「やりすぎだぞユウカ」
「ご主人様もです!」
「ごめんごめん。話を戻すけど、辛うじて動ける程度の状況で継続ダメージ自体は残ったまま。それでいてどこに飛ばされたのかわからないとなると、いくら向こうでも生きている確信はなかったと思う。でも、戦争の場でセン・グーテンにあってるから、俺が生きているってことはヒツギに伝わったはずだ。正直、今この瞬間にもここにヒツギが攻めてきてもおかしくないと思ってる。幹部連中が来るかはわからないけど、確実に俺を捕まえられるような用意を整えてな」
「特記戦力か、数の暴力か。いずれにせよ、この間のようにグリムの町が無傷で済む保証はないの」
「だからこそこちらから攻める。世界を救うとか、国を救うとかはどうでもいいし、ヒツギが本心から魔王につき従うっていうなら俺は止めない。手が届く範囲くらいは守るつもりだけどな」
「ただ守られるだけの女ではないぞ?」
「私もです!」
「それに、Sランク冒険者としては求められればその手を広げざるをえんし、わしの手は王都にも伸びておる。お主も手伝ってほしいものじゃの」
「善処します」
「なんじゃ、あまり前向きな回答に聞こえんの……」
「気のせいだろ。もしもヒツギがなんらかの事情で嫌嫌魔王についているのであれば、魔王を倒してでもヒツギを取り戻す!」
口に出すことで改めて自分の中で覚悟を決め直す。石碑のところの話を思い直しても何を考えているのかいまいちわからないセン・グーテンに、かつての仲間であったというオルス、エルギウス・ファントム。魔の手に堕ちたという天上院も含めて誰が相手でも叩き潰してやる。
その後、マナが帰ってくるまでの間の方針などを決めるため、議論は白熱していくのだった。
どうもコクトーです。
『刈谷鳴』
職業
『最大
ビギナー(10) 格闘家(50) 狙撃手(50)
盗賊 (50) 剣士 (50) 戦士 (50)
魔法使い(50) 鬼人 (20) 武闘家(60)
冒険者 (99) 狙撃主(70) 獣人 (20)
狂人 (50) 魔術師(60) 薬剤師(60)
神官 (50) 剣闘士(60) 重戦士(70)
龍人 (20) 死龍人(20) ローグ(70)
魔導士 (90) 精霊使い(40)舞闘家(70)
有効職業
聖魔??の勇者Lv23/?? 大鬼人 Lv26/40
上級獣人Lv18/30 魔人 Lv15/20
探究者 Lv42/99 狙撃王 Lv15/90
上級薬師Lv10/80 上級龍人Lv4/30
死霊術師Lv24/100 アーマーナイトLv1/99
剣闘騎士Lv1/99
非有効職業
呪術師 Lv1/80 死龍王Lv1/30
盗賊王Lv1/100 大魔導士Lv1/100
上級精霊使いLv1/50』
完全に偶然ではありますが、今回の話で1話の投稿から11年が経過しました。我ながら話のスピードの遅いこと遅いこと……。これからものんびりだらだら続けてまいりますので応援よろしくお願いします!
ではまた次回