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ご主人様の帰還です

キャラビー視点となります。ご注意ください。


「……解除完了です」


「すまん。鉱石の方に集中して完全に油断してしまった」


 目的の鉱石がある広場までやってきて、そこを縄張りとするジャイアントグールをユウカ様が仕留めているうちに通路から強襲を仕掛けてきた2体のスケルトンオウル。なんとか攻撃を防ぐことはできましたが、それらから逃げようとしたガンダさんがまだ解除のできていない罠のある通路に入ってしまいました。

 幸いにも即死系の罠ではなく投げ網による捕縛系の罠でしたから、みぃちゃんと共にスケルトンオウルたちを片付けてすぐに解除に向かうことができました。


「わしのほうこそすまんの。時間をかけたせいで近くにいた個体を引き付けてしまったか」


「アンデッドのオウル系は気配がない上にフロア中を移動していると聞いていたが、実際に目の当たりにすると厄介この上ないな」


「オウルはそもそも音もなく忍び寄って敵を狩るモンスターじゃからな。アンデッドになってさらに身軽になったということなのじゃろう。まあさすがに連続して何体もやってくることはないじゃろうて。もっと上の層ならばわからんが」


「今回の冒険の目的はこの層ですから大丈夫ですかね。ガンダさん、今のうちに鉱石を採掘してしまいましょう」


「お、そうだな。ここにある分で予定の量には届きそうだ。あとひと踏ん張り護衛を頼んだぞ」


「はい!」


 広場に繋がる通路の方を警戒しつつ、ガンダさんが採掘を終えるまで護衛を続けました。




 昨日から続けてきた『善の洞穴』での鉱石集めも広場での採掘で必要量が揃い、ダンジョンを後にしました。

 ガンダさんも慣れないダンジョンで疲れが溜まっていたのか外に出てきてすぐに道の端に移動して座り込んでしまいました。


「ふぅ、やっぱり外は安心するな」


「お疲れ様です」


「久しぶりにダンジョンに潜った感想はどうじゃ?」


「自分で素材を調達したのなんか数年ぶりだ。あんな階層まで行ったのはなおのことな。とてもじゃないが一人では無理だ」


「かっかっか。そもそもダンジョンは一人で潜るような場所ではないわ」


「あれ、でもユウカ様『マツノキ』に入るまでは一人で第一段階踏破していますよね?」


「キャラビーよ、ユウカ様はSランク冒険者だ。同じ基準で考えちゃいかんよ」


「ガンダよ、わしにも流せる内容に限度はあるからの?」


「すまんすまん。さて、少しは休めたしそろそろ帰るとするか」


「町まで送りましょうか?」


「それには及ばん。力的には問題ないかもしれんが、主でもないただのおっさんを何度も乗せるのは嫌だろう?」


 たしかに二日間のダンジョン探索の中で何度かみぃちゃんに乗って移動する機会もありましたが、そんな風に考えていらっしゃるとはつゆ知らず、ガンダさんはポンポンとみぃちゃんの背を優しく叩いて断りました。


「それじゃあキャラビー、短剣を預かるからそうだな……三日後に取りに来い。それまでに強化を済ませておく」


「はい。よろしくお願いします!」


「わしも近いうちに刀を研ぎなおしてもらいに行くからの。またよろしく頼むぞ」


「承知した。ではまた」


 休めたと口にはしていてもまだ疲労は溜まっているのは間違いなく、ガンダさんはゆっくりとした足取りで町の方へと歩いて行きました。


「わしらも屋敷に戻るとするかの。クリーンはかけておるが、汗を流したいのじゃ」


「そうですね。戻りましたらブラウニーたちにお願いして準備してもらいましょう。二日間ずっとアンデッドとの戦いでしたし、なんだかクリーンをかけてあっても臭う気がします……」


「多少汗の臭いはするがそういう臭いにはなっておらんよ」


「がう」


 この中で最も鼻の利くみぃちゃんから大丈夫だとお墨付きをもらい、私たちも館へと向けて歩きだしました。




 館に向かう途中、カルアの結界の境界線付近までやってくると、何やら戦闘の痕跡が見られました。アンナ配下のアントたちが地面を均していますが、一部にはまだ穴が開いていて、危険のため迂回をという看板が掲げられていました。


「先日の連中が性懲りもなく狙ってきたのかの?」


「血の跡はありませんからアンナが捉えたのでしょうか? ですがそれにしては何か様子が……」


「後でアンナに話を聞かねばならんの」


「急ぎましょう」


 私たちはカルアにもらった羽をかざして結界を抜けると、みぃちゃんの背に乗って館に向かって走りだしました。




「「「「「「うにーーーーーー!!」」」」」」


 残念ながら玄関にもアンナの姿はありませんでしたが、館の中に入ると普段はあまり表に出てこないブラウニーたちが勢ぞろいして私たちを出迎えました。


「お主ら何事じゃ!? 飯の催促……ではなかろうが」


「そうですね。様子を見る限りお腹はいっぱいだと思います」


 いつもよりどこか元気に見える気がするという程度ではありますが、ブラウニーたちは小さな手で私たちのズボンのすそを掴むとどこかに連れていくべく引っ張りだしました。よく見てみるとずらっと列を成すように館の奥、ある部屋の方へ道を作るように並んでいるように見えますね。


「……もしかして!」


「引っかからんが、かもしれんの!」


 私たちはブラウニーたちを潰さないように足元に気を付けながらもその列の行く先の、ある部屋に向かって駆け出しました。

 そして勢いよくその扉を開きます。


「ご主人様!」「メイ!」


 私たちの視線の先。そこには、カルアと黄龍を布団代わりにベッドで静かに寝息を立てるご主人様がいました。

 先ほどまで考えていたことなどすべて消え去り、私たちはそろってご主人様に向かって飛びこみました。



どうもコクトーです。


今回はキャラビー視点のため職業レベルはなしです。

日曜夜勤でしたので久しぶりの平日月曜更新です。

なにやら通知が入っていましたが、25日久しぶりに100位以内のランクインを果たしていたらしいです。皆様ありがとうございます!さすがに更新せざるをえない!


ではまた次回

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