帰ってきました3
カルアの張った風の結界を抜け、館に向かった。道中、ヒメとカルアと黄龍は俺の影から伸びる手でつままれたままやいのやいのと騒ぎ続けていた。これまでの出来事などでも話し合っていたのだろうか? ところどころでカルアがヒメたちを責めるような様子もあった。何かカルアの琴線に触れるところがあったのかもしれないな。俺との魔力のラインが切れたこととか。
館に到着する頃には話が付いたのか、それとも単に保留にしただけなのかはわからないが三体の雰囲気は穏やかなものになっていた。仲良きことは素晴らしきかな。
アンナが館に戻ってくるまでアイテムボックス内のお菓子を餌に三体で遊んで待っていることにした。ちょうどよく小さめのサイズのクッキーがあるからそれにしよう。
「ほれ、お前ら並べー。アンナが来るまでおやつの時間だ」
「おやつ!」
「かう!」
「くわー!」
全員が目をキラキラ輝かせて俺の前に列を成した。先ほどの喧嘩は何だったのかと思うほどみんな揃って視線は左手の小袋に向いている。左右に動かしてみれば顔も動く。向こうじゃ列に並んでいる時にヒメで遊ぶ時以外あまりこういう遊びはできなかったから久しぶりだな。
アンナもこれがなくなる頃には戻ってくるだろうと俺は三体を餌付けしながら時間を潰すのだった。
旗揚げゲームよろしく、フェイントに引っかからないようにクッキーを投げた時だけ手を上げるゲームを続け、何度かの失敗も挟みながら2.30個は入っていたクッキーが空になってもアンナは戻ってこなかった。何か起きたのではと心配になりヒメとカルアに確認したものの問題はないと返ってくるだけだ。
クッキーは一つ一つが小さかったからか物足りないと続きを催促する三体の様子に呆れながら『探知』を広げてアンナの様子を調べることにした。
それから次の袋がなくる頃、アンナから戻ったと連絡があった。玄関の近くにいるとのことだったので最後に三体に向かってクッキーを投げて部屋を後にした。突然自分たちの方に投げられたにも関わらず全員パクリと食いついていた。手じゃなくて口でゲットしているのは食い意地が張りすぎだと思う。
『お待たせして申し訳ありません』
「いや、何かトラブルでもあったか? まさか反乱でもあったとか……」
『いえ、そのようなことはありません。主様を受け入れられないといいますか、人間を敵視する個体というのはそれほど多くはありません。私や私が生んだクイーンたちが生む個体が人間を恨むというのはどこかおかしい気はしますが、その都度対処はしておりますので』
アンナはそもそも白虎の元から離れた後は『アントホーム』のボスとして人と関わることはなかった。配下のアントたちやダンジョンを通じて人のことを知ってはいるだろうが、アンナやモデルクイーンアントたちが生む個体にその人の知識が遺伝するというのはおかしいといえる。まして人というだけで恨んだりするのは明らかに何かに影響を及ぼされているとしか考えられないってことなのだろう。
「人間のことは俺たちくらいしか知らないはずなのにってことか。それじゃ何があったんだ?」
『主様が防ぎ続けていた蟻酸弾がそれなりに地面をえぐっていまして。畑の方から整地を得意とするアースアントを呼ぶのに時間がかかっていたのです。屋敷を挟んで反対側でしたから』
「あー……俺がほとんど動いてなかったから同じところに溜まってたのか」
『全方位からの攻撃を試した跡はありましたが、それよりは一点集中での攻撃だったように見えました。主様の強さを知る私たちからすればあの程度で超えられるとは思いませんが、彼らは自分たちならばと思ったのでしょう』
「あれって気化してどうこうなることはないんだよな?」
『そちらも対処済です。事前にある程度カルアが散らしてくれていましたから楽でしたよ』
「くわー」
足元でえっへんと胸を張ったカルア。俺に突っ込んできた時に裏でそんなこともしてくれてたのか。
「ありがとな、カルア」
しゃがんで頭を撫でてやると気持ちよさそうにくわーと鳴く。今晩のご飯は多めにしてやるからな。
『それで主様、御用があるのですよね? 主様が去ってからのこの地の話であればユウカ様やキャラビー様が帰ってきてからの方がよいかと思いますが……』
「ヒメの元同僚? に関係する話があって、転移を可能にするために苗木をどこかに植える必要があるんだ。移動できるやつは限られるんだが、できることならこの木の存在を知るやつも限定したい。枯らしたり何かあった時に被害が出てもまずいし厳重に管理したいんだがどこか適当な場所はないか?」
『木の苗ですか……。厳重に管理しようと思うのであれば私の私室を作っている地下空間に専用の空間を作成しますが、どれほどの大きさですか?』
「今はそんなに大きくないな。膝上くらいだったはず。でもいずれ成長した時にはかなりの大きさになるんじゃないか? 森林龍王ほどの龍が魔力を注いで作った苗木だし」
『……あの方ですか。であれば下手な管理はできませんね。大きめの地下空間を用意して、管理専用の子を用意しましょう。結界と魔法で外部から隠せるように策を練ります』
「手伝えることはあるか?」
『主様は魔力を大量にお願いします。そしてヒメ様、管理用の子を産むのにお力をお貸しくださいませ』
「かうかう」
『はい。ミルメコレオの改良型も用意します。忙しくなりますね』
「かうかう、かうかーう!」
『それは素晴らしいですね。すぐにでも取り掛かりましょう』
なにやらしらない名前もあったがアンナの配下の一種なのだろう。人に仇を成す存在にならないように管理は徹底するようにということと、隠し事はするなと釘だけさして、俺たちはアンナの案内で苗木を植える候補地へと向かった。
どうもコクトーです。
『刈谷鳴』
職業
『最大
ビギナー(10) 格闘家(50) 狙撃手(50)
盗賊 (50) 剣士 (50) 戦士 (50)
魔法使い(50) 鬼人 (20) 武闘家(60)
冒険者 (99) 狙撃主(70) 獣人 (20)
狂人 (50) 魔術師(60) 薬剤師(60)
神官 (50) 剣闘士(60) 重戦士(70)
龍人 (20) 死龍人(20) ローグ(70)
魔導士 (90) 精霊使い(40)舞闘家(70)
有効職業
聖魔??の勇者Lv23/?? 大鬼人 Lv26/40
上級獣人Lv18/30 魔人 Lv15/20
探究者 Lv42/99 狙撃王 Lv15/90
上級薬師Lv10/80 上級龍人Lv4/30
死霊術師Lv24/100 アーマーナイトLv1/99
剣闘騎士Lv1/99
非有効職業
呪術師 Lv1/80 死龍王Lv1/30
盗賊王Lv1/100 大魔導士Lv1/100
上級精霊使いLv1/50』
先週はすみませんでした。今週も出せないかと思う程度にはなぜか筆が進みませんでした…
ではまた次回