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アント喰らいます

 町を出てすぐの森に入る。といってもこの町自体が森の中にあるようなものなので特に遠出というわけではない。

 それなりに奥に入ると、どこからかモンスターの声が聞こえてきたりもするが、姿が見えないのでとりあえず問題はない。


「この辺でいいだろ。マナ、クエイク頼むわ」


「りょーかい。クエイク!」


 俺たちの周囲に四方を囲む壁ができる。そして広さが縦横15mくらいの屋根無しの小屋が出来上がる。いや屋根がない時点で小屋ではないな。いっそ屋根もつけて俺たち専用の小屋にするのは……なしだな。


「さっそくやってくか。先にどっちがやる?」


「メイがやっちゃっていいよ。キングアントと普通のアントとポーンアントはメイにあげる」


「なら上位種アントはヒツギだな。ぶっちゃけ俺ほとんど相手してないし」


「いいの?」


「俺の強化はある程度オーガですでにできてるからな。それよりはヒツギの強化を優先したほうがいい」


 実際数、多くの職業によるレベルアップと喰ったオーガやオークたちによるステータス上昇でかなり強くなっているはずだ。そう信じたい。つかステータスを数値として見えないのが痛いな。はっきりとした強さがわからん。レベル……は判断の仕方がわからないしどれを基準にするのかわからん。そもそもレベルの概念があるのかもわからないし悩みは尽きないな。


「じゃあその辺に出すから。何があるかわからんからマナも気をつけてな」


「わかってるって」


 俺は1体1体アントたちを俺のとヒツギのとでわけながら出していく。

 結局俺のはアント38体とポーンアント20体、キングアント1体になった。意外と多くいたんだな。さて、スキルかステータスか。まずは普通のアントからだな。


『パラメータ:防御力上昇(極小)を習得しました。 』


 おお! アントからは防御力上昇が手にはいるのか! これはうれしい。そういえばキャタピラーも防御力上昇だったな……。この森にもキャタピラーいるかな? いたら狩っておこう。防御力上昇大事です。

 その後もどんどんアントを喰らっていく。防御力が上がっていく。やった!


『パラメータ:防御力上昇(極小)を習得しました。

 防御力上昇(極小)を習得しました。

 防御力上昇(極小)を習得しました。

 防御力上昇(極小)を習得しました。

 スキル:闇耐性Lv3を習得しました。

 火耐性Lv8を習得しました。

 風耐性Lv4を習得しました。 』


「あれ?」


 なぜか耐性スキルのレベルが上がった。アントってそういう攻撃してこなかったよな? いや、攻撃させなかったんだっけ。実はそういう攻撃ができる個体もいたってことか。なかなかやるなアント。侮れん……。

 そういうことができるやつもいると頭の片隅に置いておいて続きを喰らう。


『パラメータ:防御力上昇(極小)を習得しました。

 防御力上昇(極小)を習得しました。

 防御力上昇(極小)を習得しました。

 防御力上昇(極小)を習得しました。 』


 それから先アントをすべて喰ったが耐性スキルのレベルが上がることはなかった。なぜだ……。

 アントの山がなくなったところでヒツギのほうを見る。

 すでに1体もいなかった。早いな!

 俺も慌ててポーンアントを喰らう。両手に持って次々瞳の周りに押し付ける。どんどんアナウンスが響くが気にせずに喰らっていく。


『パラメータ:防御力上昇(小)を習得しました。

 防御力上昇(小)を習得しました。

 防御力上昇(小)を習得しました。

 防御力上昇(小)を習得しました。

 全上昇(小)を習得しました。

 防御力上昇(小)を習得しました。

 防御力上昇(小)を習得しました。

 防御力上昇(小)を習得しました。 』


 あ、キングアントも喰ってた。最後に喰う予定だったのに……。それにしてもポーンアントも防御力上昇か。しかも小。アントが極小でポーンアントが小なら、いかにもな感じだったナイトアントは中かな? 今度倒したら俺がもらいたいな。


「メイも終わったね。マナ、クエイクありがとね。もう解いて大丈夫だよ」


「二人とも終わったんだね。私はそういうことできないからわからないんだけどどんな感じなの?」


「俺はモンスターを瞳が喰らってスキルかパラメータが上がる。今回は防御力上昇ばっかりだったよ。コロイドの街で防御力が大幅に下がっちゃったから助かった」


「私はモンスターを棺桶に吸収させて経験値と、ときどきポイントを得るの。経験値もたまればポイントに代わるんだけどね。そのポイントを使って能力を追加したり強化していくんだよ」


「今はどんな能力を増やしたんだ?」


「一応900年前に役に立ってたのを上げてるところだからまだ弱いけど、通常攻撃に毒付与と麻痺付与を追加して、遠距離攻撃の強化とアイテムボックスの拡大だね。若干詰め詰めになってたから」


「アイテムボックスって限度あったのか……。俺のあとどれくらいはいるんだろ?」


「あれだけの数の魔物の死体を入れてもまだまだ余裕そうだったし大丈夫じゃない? コロイドの街で集めたオークの武器も全部入ってるんでしょ?」


「ああ。入れてあるが……いざってときにこれ以上はいりませんってなったら嫌だからな」


「そうだよね。私のも確認したいな。参考までにヒツギ、ヒツギのはどれくらいはいるの?」


「私のは変わってるからね。容量はそんなに多くないけど、10種×10個。最大で100ってところかな。あ、でも今拡大したから12×12の144個だ」


「あ、そういう風なんだ。じゃあアントの死体で一つの種類と考えて……あれ? 多くないか?」


「自分のを鑑定してみればいいよ。他人のは見えなくても自分のなら見えるから」


 ヒツギの提案に俺たちは困った顔をする。だってアイテムボックスって空中に穴開いてよくわからん空間にアイテムいれてるんだぞ? 異次元に通じてるポケットとか袋とかじゃないんだしどうやって鑑定するんだろ。


「あ、手を突っ込んで鑑定か解析すればいけるよ」


 案外簡単だった。


「「鑑定」」


 俺たちは手をアイテムボックスに突っ込み鑑定を使う。えーっと内容量は……。


「私は20×30だって。結構大きいね」


「私の倍以上あるね。困ったらマナのに入れてもらおっと」


「任せといて! で、メイは?」


 手を突っ込んだまま固まってる俺に話が移る。そんな俺の視界に現れてるデータはこれだ。


『アイテムボックス:

 所有者:刈谷鳴

 容量:10000×∞ 』

『アイテムボックス:

 所有者:クワトロ

 容量:3×1

 備考:容量拡大不可 全て使用中 』


 文字化けでもしてるんだろうか。なんか知らない人のアイテムボックスまである。


「いくつなの? まさかけっこうギリギリだったとか?」


「うーん昔の私の最大が100×200だったからそれくらい?」


「一般的にはどれくらいなんだ?」


 一応聞いてみる。うん、一応な!


「多くても10×10。レベルを上げることで拡大してこれくらいだから、平均はその半分の5×5ってところかな。中には種類関係なくいくつっていうアイテムボックスを覚える人もいるらしいけどそんなにはいないみたい」


 俺それ種類だけで2桁は超えてるんですが……。


「……10000×∞。あとなんか2つある」


「「へ?」」


「一つは俺ので、もう一つは使用中ってなってる。とりだせるかな…」


 ぽかんとしてる二人をよそにクワトロという所持者のアイテムボックスが使えないか試す。あ、できた。さて、中身は…と。


『何かの骨(鑑定不可)

 空き瓶の欠片

 写真 』


 1個1個取り出してみる。

 何かの骨……出したと同時に塵になった。

 空き瓶の欠片……ただのガラスの破片。

 写真…なんかデブ1人で写って……これ最初に来た悪魔じゃないの? とりあえず不快だし燃やしとこう。


 結論から言ってまともなものはなかった。だがあの悪魔の名前がクワトロということだけがわかった。別にどうでもよかったな。


「あーメイ、容量のことは忘れよ? 私たちも何も聞かなかったことにするから」


「そ、そうそう。宿に戻ろ! 私おなかすいてきちゃったー」


「た、確かにいい時間だしねーそうしよっかー」


 二人の棒読み感が半端なかったけど今はそれに乗らせてもらおう。そして二度と容量のことは他人には言わん。


 そして俺たちは宿に戻っておいしい晩御飯を食べて眠りについた。明日はいい天気かなー。

どうもコクトーです


『刈谷鳴』

職業

『ビギナーLvMAX

 格闘家 LvMAX

 冒険者 Lv49/99

 狙撃手 Lv38/50

 盗賊  Lv34/50

 剣士  Lv35/50

 武闘家 Lv31/60

 戦士  Lv33/50

 魔法使いLv40/50

 薬剤師 Lv34/60

 鬼人  Lv7/20

 ????の勇者Lv8/??

 狙撃主 Lv1/70

 獣人  Lv1/20

 狂人  Lv1/50

 魔術師 Lv1/60 』

ダンジョンに戻る所までいけませんでした。


この世界のアイテムボックスは2種類です


入れられる数は多くなるけど種類が少なくなるもの

入れられる数は減るけど種類が増えるもの


どちらかはランダムです。3人は全員前者ですが


体調不良治んねー…

ではまた次回


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