帰ってきました1
客の数が半分以下になり、護衛が龍人たちに変わって三日。何事もなく馬車はグリムの町へ到着した。
盗賊たちの襲撃の後、魔法で薬の効果を抜いてもらって目を覚ました御者と老夫婦は龍人たちの説明を受けて、恐怖の感情を浮かべるとともに盗賊たちへの怒りをぶつけていた。仮に彼らが来なかったとしても俺が返り討ちにできていただろうが、下手に負担をかけるとぽっくりと言ってしまうのではないかと思うような老夫婦を思っていろいろ制限していたのもあって、俺を無視して一斉攻撃とかされていたら彼らが無傷だったかは怪しいところだ。
助けに来てくれた風長とその配下の者たちに礼を述べ、護衛を引き継ぐということで今後の旅程について御者が話している間、老夫婦は俺にも何度も感謝を述べていた。ヒートアップして孫の一人を嫁にと言い出した時には思わず軽く『威圧』をかけないと止まってくれないほどだった。なんなんだじじばばのこのパワーは。
グリムの町の馬車の停留所まで到着してからは、後の予定が詰まっているということで別れたがなかなかにしつこかった。俺も早いこと館に帰ろう。
護衛を務めてくれた龍人たちにも礼を述べ、俺は館に帰るため町の外に向かって歩き出した。
グリムの町の門をくぐり、館に向かって歩きだすと何とも言えない喜びが込み上げてきた。あの日、魔王本人を含めた大罪の名を冠する幹部たちの襲撃を受けてから早五年、もとい数カ月。二転三転では足りなすぎるほどの激戦をくぐり抜け、全員ではないにしろ大事な仲間たちに会うことができる。そんな気持ちを体が現すように、無意識に歩くペースは速くなった。
町から離れ、森の中に入る。町の外壁はとうに見えなくなり、しばらくもすると館が見えてくるだろう。
そんな風に思い歩いていると、館を守るためにカルアが張ったのだろう風の結界が見えてきた。いつもであればカルアが解除してくれるが、今俺とカルアの従魔の契約は切れてしまっている。俺が来たことを何とかして知らせなければ勝手に解除してくれるということはないだろう。
「ヒメ、この距離でもカルアに連絡できないか?」
無理矢理突破するのもカルアに負担がかかるし、何とかしてカルアに知らせたいので連絡が取れないかとヒメを呼んでみた。わきの下をもって顔の前まで持ってくるもヒメはあうあうと悲しそうに首を横に振るう。残念ながらカルアに繋がらないようだ。一緒にいるであろうアンナにも。
「ここで魔力を目一杯放出すれば行けると思うか?」
「かう!」
結界を攻撃するわけにはいかないから大量の『魔力盾』か魔力消費の多めの『ダークネスシールド』を展開しまくるかと考えているとヒメが唐突に森の方を指差した。つられてそちらを見ると森の中から3体のアント種のモンスターがこちらの様子を伺っていた。
「アンナの配下のアントたちか? おーい、アンナに帰ってきたって伝えてくれるかー?」
ダメ元でそのアント種たちに声をかける。ヒメは邪魔にならないように頭の上に置いておこう。
声をかけられたアントたちは顔を見合わせてなにやら相談しているようだ。一体のアントは看板を持っているからこの先に向かおうとする道に迷った冒険者たちへの注意喚起を行っている連中なんだろうけど上司へ取り次いでくれというのは初めての経験なのだろう。
アントたちの相談を見守ること1分ほど。意を決したように看板を持っていたアントが前に出てきた。
『この先はお屋敷の私有地です。宿泊は受け入れておりませんので町へお戻りください。攻撃してくる相手には反撃も許可されております。管理担当者より』
看板の文字を読むようにと指をさしてこちらに退去を促してくる。これは信じてもらえていないやつだ。
「俺がいない間に生み出された個体だと知らないかもしれないんだが、館の主でアンナの主人のメイだ。あー、今はつながりが切れちゃってるから違うんだが……」
さっきの相談の様子を見るに言葉は通じている。アンナもこういう役割を果たすためにそういう個体を生んでいるはずだ。
「判断に困るなら上司? に聞いてみてほしい。アンナじゃなくても分かってる個体はいるだろうし、アンナにはこの頭の上のちっこいのか俺、メイの名前を出せば多分通じるはずだ」
そうこう話しているうちに森の奥から追加のアントたちがやってきているのが見えた。あの中に俺かヒメのことを知ってくれている個体がいれば……。
「かう、かうかう」
いつもは注意しても頭の上から降りようとしないヒメが前足でポンポンと頭を叩いた後でぴょんと飛び降りた。その視線の先は追加のアントたちがやってくる森の方角だ。
「え? 『魔力盾』」
三体の盾を構えたアントたちの後方を位置どった二体の口から蟻酸が吐き出された。宙に浮かべた『魔力盾』に遮られて届くことはなかったが、確実に俺を殺しに来た。
「ギギギィ! ギギイ!」
おそらくこいつらの隊長にあたるのだろうビッグガードアントが叫び、周りのアントたちの様子が警戒状態から戦闘状態へと切り替わる。立ち去らない不審者として排除に乗り出したのだろう。
「ヒメ、全力で盾を貼るから抜けようとするやつを威嚇してくれ。ダメ元でアンナかカルアに気づいてもらうぞ」
「かう!」
先に考えた魔力放出作戦に切り替える。若干暴走気味に見えなくもないが、俺たちがいない間もがんばって働いてくれているアントたちを倒さないように俺は周囲に大量の『魔力盾』と『ダークネスシールド』を展開し始めた。
どうもコクトーです。
『刈谷鳴』
職業
『最大
ビギナー(10) 格闘家(50) 狙撃手(50)
盗賊 (50) 剣士 (50) 戦士 (50)
魔法使い(50) 鬼人 (20) 武闘家(60)
冒険者 (99) 狙撃主(70) 獣人 (20)
狂人 (50) 魔術師(60) 薬剤師(60)
神官 (50) 剣闘士(60) 重戦士(70)
龍人 (20) 死龍人(20) ローグ(70)
魔導士 (90) 精霊使い(40)舞闘家(70)
有効職業
聖魔??の勇者Lv23/?? 大鬼人 Lv26/40
上級獣人Lv18/30 魔人 Lv15/20
探究者 Lv42/99 狙撃王 Lv15/90
上級薬師Lv10/80 上級龍人Lv4/30
死霊術師Lv24/100 アーマーナイトLv1/99
剣闘騎士Lv1/99
非有効職業
呪術師 Lv1/80 死龍王Lv1/30
盗賊王Lv1/100 大魔導士Lv1/100
上級精霊使いLv1/50』
先週はすみませんでした。今話より新章開幕です!
ではまた次回




