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魔王への報告

今回は第三者視点です。ご注意ください。


「あの作戦うまくいってないみたいだね。やっぱり妨害は激しい?」


 魔王城の玉座の間。そこで魔王は本を片手に怠惰(スロース)からの報告を聞いていた。


「予定通りに進んでないのは間違いないな。1カ所目が結構簡単にいけそうだったから『ヤカリ森国』への攻撃にモンスター回した結果、氾濫までは起こせなかった上に普通に警戒させちまった。他のダンジョンみたいに奥に行くことまではできても肝心の道具が届けられないんじゃ意味がない」


「魔法袋かアイテムボックスにいれて行かなかったのかい?」


「それわかってて言ってるよな? 大元がなくなったから残っていたデータから無理矢理生成し直した結果、なんでかしまえなくなったって」


「ごめんごめん。やっぱりあんな壊れやすい物を持ったままダンジョンを抜けるのはしんどいんだね」


「あんな壊れやすい物を直接持ち運ぶって経験がないやつらばかりだからな。実際既に2つをモンスターどもに、1つを冒険者に壊されてる。回収はしたけどな」


「対策は立ててるんだろう?」


「ダンジョンに入ってさえしてしまえば、後は幽霊姉さんの旦那がガード用に人造ゴーレムと人口精霊を作ってくれたよ」


「肉体はただのスケルトンなのによくやるよねー」


「ただのスケルトンにしちゃいろいろおかしいけどな。ただ、この間の『ヤカリ森国』での作戦失敗で幽霊姉さんが凹んでるらしい。その失敗分の補填をとでも考えてるんじゃないですかね」


「あの作戦は別に彼女の責任ってわけじゃないんだけどね。センがリーダーだったんだから」


「俺も風の噂程度しか聞いてないんであんまりはっきりは知らん。でも責任を感じてる様子らしいぞ」


「うーん……ちょっと聞いてみないとね。で、話をまとめるにダンジョンに向かうまでに問題がある感じかな?」


「ダンジョンまでの道のりはまだこれって対策が決まっていない。冒険者ギルドの対応が思っていたよりも早すぎるってのもあるけど、『ベスティア』は裏で人体実験でもしてんのか? 明らかに夜目が効くタイプじゃない獣人たちが夜警で大暴れしてやがる」


「んーそんな話はなかったと思うけど、さすがにあの国の中枢は分断とかできないから、直接探ってみるしかないかな。僕としては魔道具とかそっちの線をおすけど。あ、冒険者ギルドの対応の方は僕の方に報告が上がってるよ」


「あれ? 王都の冒険者ギルドに潜ってたやつは消されたはずだよな?」


「新しい筋ができたのさ。Sランクがいる理由だけど、『赤の団』は全員ではないけど『ベスティア獣神国』の危機ならすぐに駆け付けるってさ。トップ本人が王位返上しているとはいえ王族だから」


「そんな情報あったな。王位のしがらみから解放されても国を守ると」


「そういうこと。もう一人も似たようなものだね。あのダンジョンの近くに地図に書かれてない秘密の小人族の集落があるんだって。そこを守るためにちょっと過激になってるみたい」


「あれは過激なんてもんじゃなかったけどな。しかし、ダンジョンの選択ミスりましたかね?」


「まあ程よくダンジョンがまとまってるところで狙い目だったのはあそこだけだったし。まあ他の国ならよさげな場所はあるけど……」


「『デルフィナ』は元暴食(グラトニー)憤怒(ラース)が。『ヤカリ森国』はセンが。『ヤマト大国』は色欲(ラスト)が仕掛けてるし、警戒されていた。次が『ベスティア獣神国』を攻める番だったって話だからな」


「どれも防がれた辺り人々の力ってのを舐めていたのかな?」


「臥薪嘗胆。ずっと準備し続けてきたって割には失敗しすぎなのは間違いないと思うぞ。まあ俺もその一人になりつつあるってのは情けないな」


「どうせ失敗するならちょっとくらい暴れちゃおうか。傲慢(プライド)に仮面付けさせて出撃を命じよう」


「俺が前につかった仮面なら落としてきたからもうないぞ。あ、いや予備が倉庫にしまってあるわ。なあ別に仮面なくてもいいんじゃないか? 本人だって気づかれてもいいだろ?」


「まあたしかにここでばれても問題はないけど、どうも冒険者ギルドとしては彼の死体を使ってくるんじゃないかって予測を立ててるようでね」


「そりゃこれまでの襲撃で散々アンデッドを使ってきたんだ。高位のネクロマンサーがいるのをわかってんならまっさきにそれを疑うのは当然だろうよ。対策をしなかったのならそれは怠慢ってなもんだ」


「僕もそう思うよ。だからこそ、アンデッドにされずに生きて操られているかもしれないと思わせることができれば何か使えると思わないかい?」


「そんな簡単にはいかないと思うけどな。……まあそれっぽい効果だけ書いておくわ。実態がどうであれ、な」


「助かるよ。僕式ブートキャンプでかなり強化させたし、1位は無理だとしてももう一人の方なら狩れるかもしれない」


「人側の最高戦力であるはずの勇者を使って、高位戦力であるSランクを狩らせると。なかなかいい趣味してるじゃん?」


「意趣返しだよ。僕の、ね」


 本を閉じ、玉座でふんぞり返った魔王はにやりと笑みを浮かべた。


どうもコクトーです。


メイ視点ではないので職業レベルはお休みです。

次回あたりから新章突入予定です。


ではまた次回

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― 新着の感想 ―
亡霊になった北の亀『でもそいつ実体がアレでアレなカスって冒険者ギルドとかの上層部がある程度把握してるんとちゃうんか?』 ヒメ「かうかーう!!?」 メイ「ん?なんか変な電波を受信したって?」
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