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馬車の旅です


 グリムの町へ向かって走りだした馬車での旅路。順調に進んでいたのは最初の三日間だけだった。

 今回の馬車に乗っていた客は俺を除いて6人だ。商人とその部下が合わせて4人。そして老夫婦が一組。御者も元冒険者とかそういうわけでもなく、ただただベテランのおじいちゃんというだけだ。

 そんな馬車の護衛として参加した冒険者のパーティは6人組で、4体のホース系のモンスターを従えていた。御者と共に前に構える者と、俺たちと共に席の方で最終防衛ラインとして構える者。それ以外は全員が騎乗して馬車と並走だ。護衛役のパーティとしてはかなり優秀だと思っていた。


 しかし現実は無情である。



 グリムの町に向かい始めて四日目。一行は岩場を抜けて森の中に入っていた。

 この乗合馬車の道程はある程度決められており、夜を過ごす場所は開けた空間になっている。馬車の中で休んでもいいし、テントなどを用意しているのであればそれを使用してもいい。そんなルールだ。

 護衛の関係であまり離れるわけにもいかず、今回は俺と老夫婦は馬車で。商人たちはテントを利用することにしていた。一人でハウステントを使用するのも気が引けるし、そういう道具を持ち合わせていない老夫婦から使わせてほしいと頼まれたりしても面倒だからな。


 この日も決められた広場まで馬車を進めたところで休息となった。

 日程も半分を過ぎ、残りも穏やかに旅を終えられますようにという願いを込めてということで商人たちが用意したスープがふるまわれ、老夫婦も冒険者たちも暖かい食事で腹を満たす。小さいの(ヒメと黄龍)が食事につられて出てこないように気を配りながら俺もスープをいただき、夜が更けていく。そんな中だった。



 急激に眠気が覚めたかと思えば『探知』に十人程度の集団が引っかかった。商人たち、それから護衛についていたはずの冒険者たちも明らかに寝始めた時と比べて離れた位置にいるようだ。森が騒々しく感じるから、急激になくなった眠気も『森の癒し』の効果の一つなのかもしれないな。どうせ回復系だと調べるのを怠っていたのがまずかったか……。


「おい、ちゃんと寝ているよな? あの老夫婦、情報によりゃかなり溜め込んでるみたいだからな」


「睡眠薬はちゃんと飲ませましたが、あの冒険者の男は大丈夫か? かなりの手練れだぞ」


「応援はもうちょいで到着するし、こいつさえはめちまえば大丈夫だ。前みたいに寝てる間にことを済ませれば問題ねえよ」


 俺の耐性を抜けず、レベルが上がるほどの効果でもなかったから気づかなかったがスープに何か混ぜられていたらしい。何が穏やかに旅を終えられますように、だ。


「いくぞ」


 物音をたてないように馬車に乗り込んだ冒険者の男が伸ばした手が俺の貼った『全方位結界』にあたった。想定外の妨害に焦ったのか、下がった拍子にゴツリと壁に腕を当てていた。


「『ダークチェーン』」


 近くでしゃべっていた冒険者連中と『探知』で把握していた商人たちを全員『ダークチェーン』で縛り上げる。何事かと戸惑いながらも奇襲がばれたと気が付いたやつらが「しまった!」と声を上げていた。


「盗賊か闇ギルドか知らんが随分な真似をしてくれるな? 全部聞こえてるぞ」


「くっそ、離しやがれ! すぐに援軍が来る。諦めな、お前一人に何ができる!」


 縛り上げた男に腹パンを加えて馬車から降りると、縛られた冒険者たちが喚いていた。『探知』によるとこちらの状況に気が付いたのか集団の動くペースが上がっていた。


「皆殺し……はやめとくか。『アイスレーザー』『グラビティプレス』『ダークナックル』」 


 動けないように冒険者連中は足を撃ち抜き、重力と拳の二段構えで気絶させる。鍛えていない商人たちは『グラビティプレス』だけで十分だ。

 援軍の集団がやってくる前に、鎖を引っ張って気絶した九人全員を一つに縛り上げた。動けないように『アイスロック』で首から下をまとめて氷塊にするのも忘れない。


「あ、こいつはどういうことだ?」


「お、お頭! こいつ前の戦争で活躍してた冒険者だ!」


「お前たちがこいつらの仲間か? 護衛役とグルになって馬車の乗客を狙ったようだけど残念だったな。全員この通りだ」


 お頭と呼ばれたやつを『鑑定』するとそれなりのレベルの盗賊だった。護衛依頼を受けられるようなパーティを抱え込んでいる盗賊集団の頭にしては弱い気もするが、何か特殊な能力とかがあるのかもしれない。


「ちっ、たかだか冒険者一人と甘く見たか。だがこの数相手に守り切れるか? てめーらやっちまえ!」


 頭の合図で取り巻きの連中が手に剣や斧をもって突っ込んできた。しかし、援軍がやってきたのは向こうだけではなかった。


「エアースライサー!」


 上空を通りすぎた大きな影から風の刃が盗賊たちに降り注いだ。当たり所が悪い者は即死。そうでなくとも手足が落ちた者が何人もいる。

 突然の攻撃で悲鳴を上げ泣きわめく盗賊たちをよそに、槍を構えた龍人(ドラゴニュート)の集団が遅れて降ってきた。辛くも攻撃から逃れた頭を含めた生き残りを瞬く間に封殺していく。


「メイ殿、無事ですか!?」


 一度は通り過ぎた影が戻ってきて、人並みの大きさに変化した。『鑑定』するまでもなく、やってきたのはガッフさんだ。


「あの氷塊を作ってすぐに今の状況になりましたからね。しかしまたどうしてガッフさんが?」


「二日前に町で闇ギルドの捕り物がありまして、そこで得られた情報の中にこの馬車の襲撃計画があったのです。それで兵を連れてやってきた次第です」


「かなり急いでくれたのですね。ありがとうございます」


「町を救ってくださった報酬として用意した足で襲われるなどと、本当に申し訳ない! 何と謝罪したらよいことか」


「まあギリギリ間に合ったわけですから。飛んでくるにしてもかなり距離がありますし無理をしてくださったのはわかってます。まあどうしても悪いと思うのであればあの氷塊の引き取りとここからの護衛に人を貸してくれませんか? 最悪俺が護衛を務めてもいいんですが……」


「それには及びません! 龍人(ドラゴニュート)たちを連れてきたのは護衛のためですから。この状況自体が恥知らずもいいところなのにさらに護衛までやらせるなんて許されません」


 残りの盗賊集団も片付け、老夫婦と御者の安否確認と説明対応にあたっている龍人たちに目を向けると、「お任せ下さい」と胸を叩く。風長が選んだ護衛たちであれば大丈夫だろう。


 こうして想定外の出来事があり、乗車していた人員の数が半分以下になりながらもグリムの町へ向かう馬車は再び走り出した。



 そして三日後、俺はグリムの町に到着した。


どうもコクトーです。


『刈谷鳴』

職業

『最大

 ビギナー(10) 格闘家(50) 狙撃手(50)

 盗賊  (50) 剣士 (50) 戦士 (50)

 魔法使い(50) 鬼人 (20) 武闘家(60)

 冒険者 (99) 狙撃主(70) 獣人 (20)

 狂人  (50) 魔術師(60) 薬剤師(60)

 神官  (50) 剣闘士(60) 重戦士(70)

 龍人  (20) 死龍人(20) ローグ(70)

 魔導士 (90) 精霊使い(40)舞闘家(70)

有効職業

 聖魔??の勇者Lv23/?? 大鬼人 Lv26/40

 上級獣人Lv18/30   魔人  Lv15/20 

 探究者 Lv42/99   狙撃王 Lv15/90

 上級薬師Lv10/80    上級龍人Lv4/30

 死霊術師Lv24/100   アーマーナイトLv1/99

 剣闘騎士Lv1/99

非有効職業

 呪術師 Lv1/80    死龍王Lv1/30

 盗賊王Lv1/100    大魔導士Lv1/100

 上級精霊使いLv1/50』

先週はすみませんでした。ましにはなりましたが咳が止まらず…ずっとのど飴舐めてます。


ではまた次回

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更新は有り難いく ですが、無理せずにお大事に過ごしてください :(;゛゜'ω゜'):
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