転移してきました3
俺たちはまだ残されていた死龍王ダムドレアス率いる邪龍襲来の後始末のため、土の館へ向かうことになった。
町中では普段龍の姿になることがないからだろうか、皆の姿は一般にも浸透している。そんな状態で火の館から火龍様、水龍様、先代風龍様に長の代理である空竜のガッフさんという4体の龍がまとめて出てきたのは、あまり多いとは言えない人通りに混乱をもたらしていた。主に何が起こるんだ? という疑問と再び襲撃があるのではないかという不安。基本的にほとんど使うことのない『気配遮断』スキルを全力で使いながら耳を澄ましていると、ここしばらくの間土の館が厳戒態勢にあることがこの不安に拍車をかけてしまっているらしい。土龍様が外に出ないのはいつものことという言葉も聞こえてくる辺り察するところはあるな。
土の館にやってくると、厳戒態勢という通り門番を務める龍人たちもどこか緊張した様子だった。
「長龍の皆様、そちらは」
「解決策になるかもしれん。土龍の元に通してもらうぞ」
「はっ!」
この状況で不審者を入れるわけにはいかないと槍を持つ手に力のこもる門番たちは火龍様の言葉を受けて警戒を解いてくれた。期待の視線を受けながら俺たちは土の館の奥に入っていく。
館の奥に進み、現在土龍様が隔離結界を施しているという地下の広場までやってきた。
地下の広場はそんなに狭い空間ではないのだが、中央に浮かぶ大きな球体とその周りを取り囲む龍と竜、そして十数人の人影によってかなり狭く感じさせられた。
「皆さま方、交代にはいささか早いかと思いますがいかがなさいましたか?」
「対抗策になるかもしれんやつを連れてきた。土龍! 時間をくれ!」
宙に浮く土の塊を囲うように蜷局を巻く大蛇のような龍。以前はぐーたらな芋虫のような姿しか見ていなかったが、この姿が本来の土龍様の姿なのだろう。
こちらの様子を伺う土龍様。意識をこちらに向けてきても黒龍オルフェウス・ゾンビの死体を封じ込めている土の球体は揺らぐこともなく、広場の入り口であるここからは龍殺しの力があるなんてとても感じられない。
「火龍、メイ?」
「その通りだ。連れてきたぞ。メイ、すぐにでもできるか?」
「大丈夫です。俺が使う龍殺しの力の影響が出ても悪いですし、最低限の人だけ残して退かせられますか?」
「私と風龍で浮かす。頼めるか?」
「承りましょう。結界はお二人に任せましたよ」
「はい。広場から先には通しません」
「ガッフ、気合を入れろよ。龍殺しの力は生半可ではないからな」
先代と当代を含めた5体の長龍を残して風竜とともに土龍のサポートをしていた連中は全員広場から出た。それを確認してすぐに水龍様とガッフさんが水と風による二重の結界を貼る。水龍様の気遣いにより水に色がついており、通路の人たちからこちらの様子は見れなくなっている。既に知っている長たちはともかく他の人たちには『喰らう瞳』を見せずに済みそうだ。
「メイいいぞ」
「あの土と風はそのままぶち抜けと?」
「できるだろう? 土龍の負担もあるからな」
さらりと当然とばかりに言ってのける火龍様ではあるが、普通に『喰らう瞳』だけでやるには無理だろう。まあただでさえ自身への特攻とでも言うべき龍殺しの力を封じ込めるのに多大な力を使っているのに精密な操作を要求すると言うのは酷だ。
「では一発撃って、残ったら喰らいます。どの方角ならまっすぐ撃っても大丈夫ですか?」
「3時」
邪魔にならぬようにと人型に戻った土龍様がやってきた。さすがこの館の主だな。
「ありがとうございます。では」
黒龍オルフェウスの死体を封じた球体のすぐそばまでやってくる。こうしてすぐ近くまで来てみると、火龍様たちが話していた呪いというのがはっきりと感じられた。
『かえせ……かえせ……』
ばらばらになり、その状態で強力な光魔法使いの放つホーリーレイによって既に殺されている状態であるにも関わらず明確にこちらに対して意思をぶつけてくる。カルアの元となったドン・ガルーダの死体が放っていた拒絶感とは違う、ひどく悲し気な意思だ。
『かえせ……親父を……あたしの、親父を……かえせ……』
ダムドレアスもそうだったが、黒龍オルフェウスもまた襲撃に使われた時には既にゾンビと化していた。おそらく峰岸綾乃の魔法で作られたのだろうが、一度殺されていることは間違いない。彼女自身がやったとは思えないから魔王軍の幹部クラスの誰かだろう。
いきなりやってきた見知らぬ輩に、父親や仲間、そして自分も殺され、死後その遺体を駒として利用される。いきなりやってきて殺すと言うところは俺たちがダンジョンでモンスター相手にやっていることだと言われたらそこまでではあるが、あの襲撃は彼らの意思ではないのかもしれない。そう思ってしまうと少し彼女たちに同情してしまうな。
「俺はダムドレアスではないんだ。悪いな」
『龍化』によって体を変化させ、その体表に『死龍装甲』を纏う。手を球体の下にかざして地面には落ちないようにしたら準備完了だ。
「いきます! 『死龍のブレス』」
土龍様たちへの宣言として声を上げ、黒龍オルフェウスを包み込む土と風の封印をまとめて消し飛ばす。勢いあまって奥の壁に着弾するがうまくブレスの目的は果たすことができ、下にかざしていた手の上にポトリと人型が落ちた。
「俺たちから見たらお前たちは襲撃者だから、きちんと弔ってやることはできない。せめてってわけではないけど、お父さんと同じ俺の中で眠ってくれ。お休み」
寝ている子供の安眠を祈るように額同士をくっつけ、そのまま黒龍オルフェウスの死体を『喰らう瞳』で吸収した。
『スキル:死龍の一撃・付与LvMAX を習得しました。 』
手の上からその軽い重みが消える。それと同時に周囲に広がっていた龍殺しの力を持った呪いが霧散した。
どうもコクトーです。
『刈谷鳴』
職業
『最大
ビギナー(10) 格闘家(50) 狙撃手(50)
盗賊 (50) 剣士 (50) 戦士 (50)
魔法使い(50) 鬼人 (20) 武闘家(60)
冒険者 (99) 狙撃主(70) 獣人 (20)
狂人 (50) 魔術師(60) 薬剤師(60)
神官 (50) 剣闘士(60) 重戦士(70)
龍人 (20) 死龍人(20) ローグ(70)
魔導士 (90) 精霊使い(40)舞闘家(70)
有効職業
聖魔??の勇者Lv23/?? 大鬼人 Lv26/40
上級獣人Lv18/30 魔人 Lv15/20
探究者 Lv42/99 狙撃王 Lv15/90
上級薬師Lv10/80 上級龍人Lv4/30
死霊術師Lv24/100 アーマーナイトLv1/99
剣闘騎士Lv1/99
非有効職業
呪術師 Lv1/80 死龍王Lv1/30
盗賊王Lv1/100 大魔導士Lv1/100
上級精霊使いLv1/50』
先週はすみませんでした。夜勤明けで夜まで寝てたらさすがに書ききれませんでした…
ではまた次回




