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転移してきました2



 俺は火龍様に連れられて応接室に向かった。てっきり別れるものだと思っていた爺孫の2体の風龍様も共に応接室に向かっている。

 守護龍様と風龍様の縁によってこの町への転移の許可が下りたと聞いていたが、この転移陣自体はもともとあった物で、今は火の館の地下にあるのだそうだ。当然のことながらこちらも使われていなかったので大量の荷物が置かれており、その撤去に時間がかかってしまったと話していた。大量の魔力を必要とするとは言え、国外の『ヤカリ森国』に繋がっている転移陣を下手な人物に見せるわけにはいかないということで撤去には多少時間がかかったそうだ。


 応接間にやってくると、水龍様ともう一人龍人(ドラゴニュート)の女性が待っていた。


「水龍、ガッフ、連れてきたぞ」


「久しいなメイ。大変だったと聞いたぞ。彼の龍王様に気にいられるとはな」


「あの方というよりはエルフの女王が起因だと伺っていますよ。とはいえ、加護を受けているのは事実のようですし、黄龍様もいますから気に入られても当然かとは思いますけどね」


「よんだのだ?」


 風龍様の口から自分の名前が出たのを受けて俺の頭の上にちょこんと黄龍が出てきた。3体の龍の長達はともかく、次代の風龍様、そしてガッフさんは黄龍の姿を見て驚いた様子だ。


「お久しぶりにございます。あなたもお元気そうでなにより」


「こんにちは! おじいちゃんも元気そうなのだ!」


「にゃー! 風龍爺ちゃんはわたしのおじーちゃんなんだぞ!」


 いえーい! と風龍様に小さな手のひらを向ける黄龍に孫の方の風龍様が文句を向ける。孫と子供が自分を取り合うという状況に心なしか風龍様はご機嫌な様子だ。


「こらこら暴れるでない。風龍も甘やかすな。……まあこれから少し難しい話になるし、子供同士話も合うだろう。メイよ、黄龍に席を外させてもらえるか?」


「うちの物にお菓子を用意させる。二階の部屋なら多少騒いでも外には漏れん」


「「おかし!」」


 子供たちは即座に反応し、目をキョロキョロさせ始めた。黄龍も頭の上からふわりと飛んで俺の顔色をうかがう。


「いいよ。行っておいで。ただし喧嘩はしちゃだめだぞ?」


「わかったのだ! おかしー!」


「あー待てーい! 独り占めなど許さんからな!」


 火龍様の指示でお菓子の用意をしに向かった竜人を追いかけるように子供たちが飛び出した。


「迷子になるなよー。後迷惑をかけないように」


「わかってるのだー」


 部屋を飛び出る前に釘だけさしておき、バタバタと走る音が遠ざかっていくのをよそに俺たちは話を進めることにした。


「本来ならお前さんもゆっくりともてなしてやりたいところだが一旦それは後だ。時間的に飯は済ませてきただろう?」


「はい。エンシェントエルフ様のところでいただいてきました」


「よろしい。一つお前さんに依頼をしたくてな。物が物だけに我らにはどうしようもなくて困っておったのだ」


「水龍様たちにはどうしようもないと言うと、ダムドレアスの関係ですか?」


 死龍王ダムドレアス。それはかつてこのミラの町を襲撃しに来た邪龍たちの長であり、何者かによってゾンビにさせられていた龍を殺すことに特化した力を秘めた強力なモンスターだ。今になって考えてみればあれは『ヤカリ森国』への襲撃の指揮官クラスだったであろう幽霊の彼女の手によるものなんだろうが、当時は今『マツノキ』の拠点となっているお屋敷から解き放たれたばかりの元地縛霊という評価でしかなかったのだから仕方あるまい。


「その通りだ。お前は直接相対したわけではないだろうが、ダムドレアスには娘がいた。あの襲撃の中でひっそりと町中まで入り込んでいてな。危うく風龍が消されかけた」


「……龍殺しの力を使われたんですね」


「ええ。黒龍オルフェウスと名乗っていましたが、すべての攻撃に龍殺しの、ダムドレアスと同種の力を付与されていたようです。マナさんが龍殺しの力すら消し去るような回復魔法を使ってくださらなければ今頃は……」


「そういえばマナもそんな話をしていた気がします。でも、そいつもヒツギが棺桶で潰したと聞いてますが?」


「その場では確かに倒された。だが、そもそも襲撃時点で黒龍オルフェウスもまたアンデッドにされていたのだ。風龍の攻撃で何度となくばらばらにされても攻撃が止まらない。そんな化物だ。彼女が頭を潰して一時的に復活が止まっていたが、しばらくして死体が集まって復活を遂げたのだ」


「まさかそいつを討伐するのが依頼ですか?」


「いや、数人の竜人が犠牲になってしまったがそれはもう終わった話だ。我ら龍はその力のせいで直接有効打を放つことはできんが、風龍がやったようにばらばらにすることはできる。そしてアンデッドともなれば専門家もいる。復活する度にばらしてしまえば反撃を受けることもない」


「それなら一体何が?」


「問題となったのは殺した時に遺体がそのまま残ってしまったことだ」


「ホーリーレイによって黒龍オルフェウス・ゾンビを倒すことはできましたが、オルフェウス自身が持っていた魔法抵抗を抜くことができなかったのです」


「アンデッドとしての黒龍オルフェウスは死んだ。残されたのは龍殺しの力を放つ黒龍オルフェウスの残滓だ」


「残滓……呪いか何かが発現したんですか?」


「正解だ。オルフェウスの死体から放たれたのはこの地を殺す呪いだった。ダムドレアスが率いる軍勢で町を落とせればそれでよし。落とせなかったとしても別動隊のオルフェウスが町の龍たちを殺せればそれでもよし。やられてもその死体から放たれる龍殺しの力を帯びた呪いによってこの地を殺すことができればよし。行ってしまえば三段階の作戦だったというわけだな」


「呪いならその道の専門家に依頼して解呪してしまえばいいのでは?」


「龍殺しの力を帯びた呪いだと言っただろう? そこらの者に簡単に解呪できるのであればダムドレアスは災いとは呼ばれん」


「今は我が主、土龍様が死体を結界で隔離した土の中に押し込めて封印しています」


「我らの属性はあれを封印するのには向かなくてな。交代で地面につかぬようにと助力はしているがメインは土龍とその配下の土系の竜たちだ」


 風は少しでも込める魔力が減れば霧散してしまい、水は宙に浮かべておかなければ地にしみこんで封印が意味を成さない。火は龍殺しの力で焼き尽くすことができないためにそもそも封じることができないとなかなかうまくいかなかったようだ。土龍様が大量の土で黒龍オルフェウスの死体を覆い、それを圧縮。その上から岩石で覆って直接触れている土が外に出ないようにする。そうして何とか封じ込めているらしい。アンデッドとして生きているうちはなんとか通用した龍たちの魔法すらも効かなくなるとはどういう理屈だ?


「封じ込められているなら別の場所に移すとかはできないんですか? まあ下手な場所に持っていってもその地を汚染してしまったらまずい気はしますが……」


「そう簡単にはいかないから困っているのですよ。マナさんがいらっしゃれば解呪の魔法を使ってもらえないか尋ねようと考えていましたが、メイさんはメイさんで龍殺しの力を己の武器として扱えていますから、どうにかなるのではないかと」


「それに、お前さんはダムドレアスの死体は消し去れているだろう? オルフェウスも何とかなるのではないかと思ったのだ」


「ダムドレアスの場合は存在の核となる物が別であって、そこを起点にモンスターの死体を集める形で復活をしていましたが、黒龍オルフェウスはそうではないんですよね?」


「……そういえばそうであったか」


「まあ死体を残さない形で消し去ることはできなくはないと思いますが、やってみないと何とも言えませんね」


 アンデッドの状態ではなく、既に死体となっているのであれば俺の『喰らう瞳』の効果範囲になる。呪いも喰らうことで何かしらのデメリットスキルを得ることにはなるだろうが対処できるだろう。面倒ならば『暴食の王』で喰いつくす方法もある。制御をミスすると大変なことになるからあまりとりたくはないがな。


「そうか! 死体は残さなくて構わん。むしろ下手に残して災いをもたらされぬように消し去ってくれた方がよいな」


「はい。どうかよろしくお願いいたします」


 こうして、俺はまだ残されていた死龍王ダムドレアス率いる邪龍襲来の後始末のため、土の館へ向かうことになった。


どうもコクトーです。


『刈谷鳴』

職業

『最大

 ビギナー(10) 格闘家(50) 狙撃手(50)

 盗賊  (50) 剣士 (50) 戦士 (50)

 魔法使い(50) 鬼人 (20) 武闘家(60)

 冒険者 (99) 狙撃主(70) 獣人 (20)

 狂人  (50) 魔術師(60) 薬剤師(60)

 神官  (50) 剣闘士(60) 重戦士(70)

 龍人  (20) 死龍人(20) ローグ(70)

 魔導士 (90) 精霊使い(40)舞闘家(70)

有効職業

 聖魔??の勇者Lv23/?? 大鬼人 Lv26/40

 上級獣人Lv18/30   魔人  Lv15/20 

 探究者 Lv42/99   狙撃王 Lv15/90

 上級薬師Lv10/80    上級龍人Lv4/30

 死霊術師Lv24/100   アーマーナイトLv1/99

 剣闘騎士Lv1/99

非有効職業

 呪術師 Lv1/80    死龍王Lv1/30

 盗賊王Lv1/100    大魔導士Lv1/100

 上級精霊使いLv1/50』

先週はすみませんでした。今年は土日の夜勤が多いんじゃぁ…明日と来週も夜勤です(悲)


ではまた次回

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