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キャラビーとユウカの物語です18

今回もキャラビー視点です。ご注意ください。


 ギルド職員と他のSランクの方々が部屋を出て、残ったのは私たちとゴールド様、そして魔道具ごしにやりとりしているトーチ様だけになりました。同じく魔道具でやり取りしていたクリステラ卿は魔力の消費がやはり厳しいようで、少し疲れた様子で先に休むとゴールド様に伝えて魔道具を切っていました。


「これで部屋にはわしらだけになったの。早速話をしていくのじゃ。のうゴールド?」


「僕から言い出したことではあるけどなんか大仰な感じになっていないかい?」


「お主がどこまで知っておるかわからんがわしらにも事情があっての。わしの伝手を使って情報を集めようとしておったところなんじゃよ」


「ユウカさんたちが今回の一件の前に魔王軍に襲撃を受けたとは耳にしていたけれどその関係かな?」


『あ、私はマナちゃんから聞いてるからねー。この話ってマナちゃんも聞いてもらった方がいいかな?』


 映像に映るトーチ様はおそらくマナ様がいるのであろう方を指差して首を傾げます。


「一応双方に改めて確認させてもらいたいが、ゴールドはメイの話、トーチの言うマナは『マツノキ』の魔法使い、マナの話であっておるな?」


『あってるよー。おーいマナちゃん、キリがついたらこっちおいで! ……戦争の話? あーもう終わったよ。今はユウカさんたちと話しているところ。愛しの彼の話だって!』


 トーチ様の言葉を受けて背後から「すぐ行くー!」とマナ様の声が響きました。マナ様もトーチ様に話をしていたとのことですが『魔法学園』でご主人様の居場所の情報を探してもらっていたのでしょうか?

 一方で『マツノキ』が今ばらばらになっているという事情を知らなかったゴールド様は頭の中を整理しているのか少し待ってと手のひらをこちらに向け、30秒程目を閉じた後話を再開しました。


「……そうだね。ユウカさんとキャラビーちゃんはまあ察しているだろうけど、さっきの戦争で活躍したっていうエンシェントエルフ様の客将の冒険者とはメイ君のことだ。戦争前にはなるんだけど、そんな彼にクリステラ卿のところのメンバーが悪がらみしてしまったと報告を受けてね……。彼には本人たちに直接謝罪させるし、その時の約束も果たさせるけど僕からも謝罪をしたかったのさ。申し訳ない」


「謝罪を受け入れるのじゃ。まああやつも敵対者には容赦せんが、お主のところのメンバーと知っておればそこまで悪いようにはせんじゃろう」


「実際僕の時みたく盾をぶっ壊すみたいなことはなかったみたいだから手加減はしてくれたようだよ」


「それで、ご主人様は今も『ヤカリ森国』にいるのでしょうか?」


「僕が聞いたのはそこまでだから、今もいるかどうかはわからない。でも、あれだけの活躍をしてみせたんだ。エンシェントエルフ様に国境越えを報酬として願い出ていてもおかしくないとは思う」


「たしかにあり得る話ではあるの。あやつも何があってエンシェントエルフ様の客将などという立場になれたのやら」


 ゴールド様やトーチ様の手前変なことは言えませんが、エンシェントエルフ様は千年近く生きているという噂もあります。もしかしたらヒツギ様の関係かもしれません。


「エンシェントエルフ様ほどのお方であれば彼の能力を見抜いていたのかもね。それで呼び寄せて何かさせようとしていたところに戦争が起きたとか」


「まあ帰ってきた時に聞き出せばよいじゃろう。しかし、『ヤカリ森国』まで飛ばされておったとは……。もしシーラ達に頼んでおったらなかなか見つけられんかったかもしれん」


「さすがのユウカさんでもそっちまでは伝手がないのかい?」


「そういうわけではないが、表立って使える伝手ではないのじゃ」


 そう言って笑みを浮かべるユウカ様を引いた様子で眺めるゴールド様を見ていると、トーチ様だけだった映像に横からマナ様が入り込んできました。


『ユウカ、キャラビー! そこにいるの?』


「マナ様! 私たちは無事です。マナ様もよくぞご無事で」


『ちょっともめたけど、今はこうしてトーチさんのところでお世話になってるから大丈夫。すぐには帰れそうにないけどね』


「メイも『ヤカリ森国』におるようじゃし、国境を超えるとなると多少面倒なことはあり得る話じゃな」


『あーそういうわけじゃないのよ。『魔法学園(うち)』経由ではあるんだけど今国王様から依頼を受けていてね。それが終わるまでは返すわけにはいかないんだー』


「……メイもそうじゃが、なぜそんな簡単に王とコンタクトをとれるのじゃ」


「僕には想像もつかないや。ユウカさんのところはみんな規格外だね。『金の軍団(うち)』じゃなくてよかったよ」


『依頼の件は後でいいから先にこの研究を仕上げるって言ったのトーチさんじゃない。魔法自体はもう作ってあるからいつでもいいのに』


『もうそうやってまた常識を壊しにかかるー! でもこればっかりは譲れないね。依頼終わらせたら帰っちゃうでしょ?』


『意図せずメイの場所もわかったし、迎えに行きたいからね』


「僕的には待っていた方がいい気がするけどね。彼は君たちがどこにいるか知らないんだろう? エンシェントエルフ様の協力を得て調べてもらうって可能性もあるけど、入れ違いになる可能性が高いんじゃないかな?」


『ゴールドの言う通り! というかユウカさんも含めて全員でうちに来なよ! それまではマナちゃんはうちで預かるから』


『それトーチさんが私を手元に置いておきたいだけじゃないの?』


『そうとも言う~』


「トーチよ、一応言っておくが無理矢理ギルドに入らせるというのは無しじゃぞ? 本人の意思で入ると言うならわしは止めんが」


『だってマナちゃん!』


『メイが入るって言うなら私も入りますよ? でも今の私は『マツノキ』のメンバーですから!』


「おお熱いね。ところで、謝罪も受け入れてもらえたし、僕としてはそろそろ失礼しようかな? クリステラ卿かが伝えてくれていると思うけどうちの参謀担当に僕からも今日の話をしておかないといけないし、『ベスティア獣神国』内のパーティにはいつでも動けるように準備させないと」


「それは済まんかったの。お主らのところのメンバーの無事を祈っておるぞ」


「あの、ご主人様のこと教えていただいてありがとうございました!」


『うちのメンバーとも共闘することがあるかもしれないからよろしくねー』


 ゴールド様は私たちに綺麗にお辞儀をして会議室を出ていかれました。

 その後、私たちも魔道具越しではありますが再開を喜び、会議室を使うからそろそろ終われとギルドの職員がやってくるまで女子三人姦しくお話を続けてしまいました。

どうもコクトーです。


今回もキャラビー視点のため職業レベルは無です。

日曜からは少し遅れてしまいましたが今年中には更新できました!

2024年は今話で最終更新となります。今年も一年本作を読んでいただきありがとうございました。

来年ものんびりだらだら続けていきますので楽しんでいただければなによりです!


ではまた次回

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新年あけましておめでとうございます 今年もよろしくお願いします。
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