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キャラビーとユウカの物語です15

今回もキャラビー視点です。ご注意ください。


 王都にやってきて二日後、冒険者ギルドからの伝言で、ユウカ様にギルドに来てほしいと連絡がありました。朝一番にギルドから届けられた書簡によると、午後1時にギルドに来てほしいとのこと。フレッドさんが集めてくださった情報によると全Sランク冒険者が揃っているわけではないみたいですが、もしかしたら秘密裏に転移でやってきている方もいるかもしれませんね。


 前回Sランク冒険者が全員招集された時と違い、今回は一人ずつまでならば同行者が認められているため、私もユウカ様と共に冒険者ギルドに向かうことになりました。『金の軍団』で実際に『ヤカリ森国』で起こった魔王軍の侵攻に参加したパーティのリーダーを呼びたいと申し出たそうです。国を超えることになるのもあって、魔道具を使った遠隔での参加にはなりますが。

 『ヤカリ森国』にも許可をとった上で、レポートという形で冒険者ギルドには既に『金の軍団』としてその戦争の内容は報告しているそうですし、『ヤカリ森国』として各国に送った報告書は冒険者ギルドにも連携されています。しかし、それだけでは足りないと言う判断でしょう。全員が戦闘のスペシャリストとも呼べるSランク冒険者たちが、そのレポートや報告書の内容を見聞きした際に感じた疑問や意見があっても、それに回答する人間がいないのはもったいない。ユウカ様もですが、Sランク冒険者の中にもどちらかと言うと対多数戦闘もできる単体特化の戦力という方もいます。各ギルドには対多数という点では彼らを超える可能性のある方々もいるでしょう。さすがに自由に呼んでよいと言うことにすると収拾がつかなくなるでしょうし、一人ずつということになったのでしょう。


 先日のグリムの町での会合でも場違いだと思っていましたし、ほぼ全員が集まる今回のような状況では私よりも経験豊富なシーラさんや、かつては従軍経験もあるというフレアさんたちが参加した方がよい意見が出るのではとユウカ様に言ってみましたが笑って返されました。


「キャラビー様、私どもは既に隠居した身。なんならモンスターとの戦闘らしい戦闘は数年単位でしておりません。それよりも直近で魔王軍とも戦っておられるキャラビー様の方が適任でございます」


「それに、今ユウカ様がお仲間と言って思い浮かべるのは我々ではなくあなた様ですからな。王都にいた頃ならばともかく、悔しいですが我らは使用人でしかない。こういうのは参加できませんよ」


「わしとしてはお主らも仲間じゃと思っておるぞ?」


「ありがたきお言葉。ですが、我々がそうだと言いきれぬのです。お察しください」


 その後のシーラさんとフレアさんはこれ以上有無を言わせぬと部屋から出て行ってしまいました。




 今日の昼食の場にはお二人はいらっしゃらなかったですが、私が出る覚悟を決めたとだけ伝えていただき、私たちは冒険者ギルドに向かいました。覚悟が決まらなかったので思い付きで言ってしまいましたが最初から選択肢はなかったのでしょうね……。


 冒険者ギルドに到着すると、昼一ということもありあまり人数はいませんでしたが、その少ない人数の方々は私たちが入ってきたのに気が付いてざわざわと騒ぎだしました。既に何名かが来ているようで「またSランクが!?」という驚きが大きそうです。


 冒険者たちのざわめきもあってすぐに気が付いた職員がこちらにやってきて奥の部屋に案内されました。

 部屋に入ると、すぐに先に来られている方々の視線がこちらに向きます。職員とギルドマスターを除いてこちらに向けられた視線は八人分。4組のSランク冒険者とその仲間がこの場におられました。


「ユウカ様、お久しぶりです! もうお怪我はよろしいのですか?」


「アーカイブよ、お主も元気そうじゃの。それと、あまり怪我のことは言いふらさんでくれ。わしの汚点じゃ」


「まぁ! それは失礼しました。私としたことが興奮してしまって」


「大司教様、お水をお持ちしますか?」


「大丈夫ですわ。心配してくれてありがとうございます」


「お主は過保護じゃの」


「そうでしょうか? 私としてはあまり意識したことはないのですが……」


「やはりユウカ様もそう思われますよね? 私もそこまでしなくてもいいと常々言っているのですけどね」


 ユウカ様はルーミ・アーカイブ様、そして『白き御旗』のコルトラン様との雑談を始められました。事前通達にはありませんでしたが決められた席でもあるのか、お二人は慣れた様子で席につかれます。私は今のうちに気配を薄めて壁際に寄りました。今回は私に出番はないでしょうからね。


「あら、キャラビーちゃんしばらく見ないうちに一段と強くなったんじゃない?」


「あ、いえ、私などまだまだ皆さまの足元にも及びませんから」


 私の元にマキシム様を連れたドレアム様がやってこられました。グリムの町でのあの会合よりは私も成長していますが、私などまだまだです。


「ふふっ。そう簡単に追いつかれたりしないわよ。でもユウカが厳しく鍛えているのね。マキシム、あなたも鍛えてもらったら?」


「私は魔法特化だもの。遠慮しておくわ」


「ん? 鍛錬の話か? 今時魔法職でも鍛えてないと厳しいんだろ。少なくともうちじゃ魔法職も最低限は動けるように鍛えてんぞ」


 私たちの会話がちょうど聞こえたようで、扉を開けて入ってきたジョー様が会話に入ってこられました。


「ジョーさんのところの最低限は結構ハードル高いわよ? 私はともかくミレアムはギリギリ超えている程度じゃないかしら」


「前衛が崩されて近づかれた時に何もできませんじゃ話にならねえからな。生き残るためには厳しくいかねえと」


「そうね。その点この子、ユウカに厳しく鍛えてもらってるみたいだから」


「どれどれ……」


 ドレアム様から話を振られてジョー様が私のことを上から下へと眺め始めました。そういう意図はないとわかってはいますが、ご主人様以外の男の方にじっくりと見られると言うのはついつい体がこわばってしまいます。


「シーフにしちゃかなり鍛えられてんな……特に足。遊撃として頼もしそうだ」


「ありがとうございます」


「でしょ? 前に見た時よりもぐんぐん伸びているみたいなの」


「ユウカもがっちりやってんだな。嬢ちゃんからもユウカに合同訓練受けてくれるように頼んでくんないか? 俺から言ってもいいつも断りやがる」


「あら、そうなの?」


「前に頼んだ時は俺が考え無しだったって話だけどな。反省はしてる」


 ご主人様とジョー様、ゴールド様のペアとの模擬戦の時のことでしょうか?


「その、私たちもやることがありますので……」


「わーってるって。あの後風龍の爺様にも説教されたし、無理にとは言わねえよ」


 風龍様からのお説教を思い出しているのか苦虫をかみつぶしたような表情を浮かべるジョー様。そんな時、再び扉が開かれました。


「あら! 私たちが最後かしら? ゴールドちゃん、ごめんなさいね」


「気にすることはないですよモモ。直前でしり込みしたクリステラの背中を押してくれたんだから。彼がいなきゃ今日の集まりの意義は半減だ」


「まさかエルフたちに頼み込むわけにもいかんからな。実際当事者がいてくれるのは大きい。皆待たせてすまなかった。これで全員だ」


 ゴールド様とモモ様、そしてアハト様が揃ってやってこられました。ここにこうして集まったSランク冒険者は八人。二つ置かれた遠隔会話用の魔道具があるところを見るともう一方参加されると思いますが、それでも三人の姿がないまま、『ヤカリ森国』侵攻に対しての意見交換会は始まりました。


どうもコクトーです。


今回もキャラビー視点のため職業レベルは無です。

またしても先週はすみませんでした。遅れますツイートすらしてなかったとは…


ではまた次回

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