キャラビーとユウカの物語です11
今回もキャラビー視点です。ご注意ください。
準備があるからということで先にギルドに戻るように伝えると、彼らが転移魔法使いを連れてここに戻ってくるということでした。ギルドではなく入り口近くの建物に待機させているそうでその方が早いとの判断でしょう。
私たちは館に戻って最低限戦闘に必要な武器道具類だけをとってきました。王都にはユウカ様の所有するお屋敷があり、そこは今もユウカ様を慕う方々によって維持管理されています。生活必需品などはある程度そこで賄えるし、足らなければ買えばいいと。王都は暴利というほど物価が高いわけでもないですし、私もユウカ様も特殊な物が必要となるタイプではありませんからなんとかなるでしょう。
「アンナたちはお留守番ですよね?」
「みぃちゃんやカルアなら連れて行ってもいいじゃろうが、さすがにアンナを王都のわしの屋敷に置くことはできん。貴族街とまではいかんでも冒険者はほとんどおらん地区じゃ。市民に恐怖を与えかねん」
「アンナほど大きいアント系のモンスターとなるとあまり見ませんからね。いたとしても王都の近くではいないでしょうし」
「大きな巣を作るタイプのモンスターなぞ最優先で処理される。規模がでかくなる前にの」
「放置した結果大きくなってしまって王都に攻めてこられたら大変ですからね」
王都まで向かうための転移魔法使いがやってくるのを待ちつつ屋敷の玄関前で話していると、配下のアントに頼んでいた伝言が届いたのかアンナたちがやってきました。
『キャラビー、王都とやらに行くのですね。私たちはこのまま館の警護をというところでしょうか?』
「うん。お願いできる?」
『承知しました。ただ、みぃちゃんだけ連れて行ってあげてくれませんか?』
「む、それはまたなんでじゃ? 何か嫌な予感でもあったのか?」
アンナの虫の知らせというやつでしょうか? 以前もユウカ様を含めたSランク冒険者たちを集めた会議の場を魔王軍に堕ちた冒険者の集団が襲ったと聞きました。今回は私という足手まといを抱えることになりますし、その時間を少しでも減らすためにみぃちゃんという足を活かせということでしょうか?
『そういうわけではないです。私とカルアではみぃちゃん用の食事の用意が難しいのでかわいそうだと』
「くわー」
アンナの告げた理由はなんとも拍子抜けしたものでした。考えてみれば魔力だけでいいカルアとアンナ、そして自給自足できているアンナの配下のアントたちと違い、みぃちゃんは普通に私たちと同じように食事をして生きている。ご主人様とヒメちゃんの特殊な力によってたとえやられてしまったとしても復活できるなど通常とは違うところはあるけれど、ご主人様とのリンクが切れていると言う今どうなるかわかりません。まあカルアもお肉大好きだったりと食事を抜く気はないですが、こういう時は最低限で済ますのでしょう。
みぃちゃん用の食料を置いて行けばとも思いましたが、足の関係で床を傷つけてしまう可能性の高いアンナの配下たちに館の中に入って保管庫から取り出してみぃちゃんにあげてと言うわけにもいかず、扉の形式上みぃちゃん自身で取り出してとも言えない。そう考えると連れていく一択でしたね……。
「お主らはかなり特殊じゃし、基本的なところを忘れておったわ。みぃちゃんすまんの」
「がう」
「みぃちゃんは私たちと行きましょう。アンナ、カルア、留守は頼みました」
『お任せあれ。誰一人近づけさせはしません』
「頼もしいけど誰でも彼でも攻撃するのはだめだからね? さすがに冒険者ギルドで転移魔法使いも用意するくらいだから話はついているでしょうけどユウカ様に用があってという方もいるかもしれないですし」
「まあそういうやつらは結界の近くにでも留守であると書いておいておけばよいじゃろう。それを無視してちょっかいをかけてこようとする輩は容赦する必要はないのじゃ」
『立札を用意しておきます』
「よろしく頼む」
その後、しばらく待っていると先ほどの二人が杖を抱えた魔法使いを連れてやってきました。従魔の情報がうまく伝わっていなかったのか、アンナの姿を見て剣を構えようとしていましたがユウカ様の制止を受けて警戒を解いていました。
当初の予定よりもみぃちゃんという同行者が増えることになりましたがなんとか許容範囲だということでした。中継地点で飲む魔力回復ポーションの量が増えるだろうとは言っていましたがそこは頑張っていただきましょう。
そうして私たちは王都に向かって転移の旅を始めました。
どうもコクトーです。
今回もキャラビー視点のため職業レベルは無です。
まさか2週空けてしまうとは…夜勤あるけどまあ書けるだろとか思っていた先々週の自分を怒りたいですね。普段よりも短いし中身ないしめっちゃ難産でした(メソラシ)
ア連覇は逃しましたがCSで逆転優勝を目指して。阪神がんばれ!
ではまた次回