表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
558/592

キャラビーとユウカの物語です8

今回もキャラビー視点です。ご注意ください。


「さすがに周りのも含めてと言うのは気が早いからの。そちらはみぃちゃんとわしがやっておくから頑張るのじゃ」


 ユウカ様から課せられた今日の訓練。それは『生の草原』ボス、真レオウルフキングとの一対一での戦いでした。


 いきなりわけもわからず結界に取り残された真レオウルフキングですが、高ランクのモンスターというだけあってすぐさま状況を理解したようです。今この風の結界に残されているのは私と真レオウルフキングのみ。つまりは倒すべきは私であると。

 真レオウルフキングがこちらに闇の球を放ってきました。私はそのまっすぐ飛んでくる闇の球を結界に沿うように走って躱します。結界は闇の球が当たった程度ではびくともせず、当たった際に発生した爆発で起きた土煙もすぐに結界を構成する風に散らされました。


 私の持っている攻撃用の武器は両手の短剣の他には投擲用と予備を兼ねた短剣が数本魔法袋に入っています。戦闘中であってもすぐに取り出せるように訓練はしていますので取り回しについては問題ありません。問題があるとすれば攻撃力が足りるかどうかというところでしょうか。

 私を追い、時には先回りするように闇魔法による攻撃を仕掛けてくる真レオウルフキングに対して私は引き続き結界の端に沿って走り回ります。日々の訓練のおかげで体力を消耗しない走り方をできていますから相手の魔力が尽きるまでこうしていると言うのも手かもしれませんが、上位種である真レオウルフキングの方ですから時間はかかるでしょう。それにこの方法では真レオウルフキングが焦れて戦い方を変えたらそこまで。私が躱そうとする先を予測して攻撃してきますし、魔力の消耗を狙っているとわかったら間違いなく攻撃方法を切り替えるでしょう。

 実際、真レオウルフキングは戦闘開始当初こそ結界の端に近い位置にいましたが、私が最初の攻撃を躱してからすぐに中央付近に位置取りを変えていました。私の動きからというよりは結界の外で殲滅を始めたユウカ様とみぃちゃんが殲滅を終えて結界の外から参加してこようとすることを気にしてなのでしょうが、私への攻撃の距離を短くしようという思いもあるでしょう。


 結界の中を走り回ること3周。なんとか攻撃を1発ももらうことなく走りぬきましたが、このままでは埒があかないと真レオウルフキングが遠距離からの攻撃を辞め、両前足の爪に炎をともして突撃してきました。すぐに私もそれを迎え撃つべく走る方向を変えます。

 アンナとやった訓練での経験を受け、真レオウルフキングの体格を考えると足を止めて受けるのはまずいです。ご主人様のようにパワーが強ければ受け止めて反撃もできるでしょうが私ではうまく受流すとしても方向を考えなければ防御の上から力で吹き飛ばされてしまうでしょう。


 向かってきた真レオウルフキングを出迎えるようにこちらからも走り、上から叩きつけてくる前足を躱して後ろ脚に斬りかかりました。真レオウルフキングは地面に叩きつけた前足の反動を利用してバックステップを踏むことで私の切り付けを躱し、地面につくと同時に噛みついてきます。


「『スナイプスロー』」


 開いた口に向かって短剣を投げつけました。確実に口内を捉えるためにスキルも使い、投げ終えた後はすぐに横に躱そうと動きます。


「グラゥ」


 向かってくる勢いも合わさって短剣は喉奥深くに突き刺さったようで真レオウルフキングは血を吹きながら噛みつこうとした口を閉じました。既に飛びかかっていた都合でこちらに向かってくるのは止まらない様子。むしろ口を閉じた際に首を私の方にひねったために表面積が広がり、躱しきれそうにありません。


「きゃっ!」


 仕方なく真レオウルフキングの体を表面を転がって勢いをいなそうとしたところで突然その体が炎に包まれたように熱くなりました。真レオウルフキングの使う火魔法の一つで、ご主人様の『やわらか熱毛』に近い防御形態ですね。

 素手で弾いて火傷を負うとこの後の攻撃に支障が出ると判断し、膝で押して体を浮かせた後で真レオウルフキングを蹴って熱の範囲から逃れます。幸い本当に炎を纏っているわけではなく熱のみなので、服に火がつくようなことはありませんでした。


「『クイックスロー』」


 離れたタイミングで開こうとした目を狙って素早い投擲を放ちました。速度重視の攻撃で、飛んだままであまり体勢もよくないので威力が出ず、半目を開いた時に気が付かれて首を振って防がれてしまいました。くるりと回って地面に着地し、すぐに両手に短剣を構えなおします。喉奥に刺さったままの一本と違って弾かれただけの一本は後ほど拾って使えそうですね。抜けたら吐き出されそうですがそれまでに内側を傷つけてくれればラッキーです。


「こっちは終わったからの。ゆっくりやるとよい」


 結界の外でユウカ様がみぃちゃんをソファ代わりにしながらこちらに言いました。さりげなくみぃちゃんは何かのお肉を食べていますね。ボスを倒すまでは取り巻きは消えませんからその間にということでしょうか。


「グラゥ!」


 真レオウルフキングが再び炎を纏わせて爪を振るってきました。今度は下に入り込まれないようにか大振りにならずに連撃を意識した攻撃で、ためが少ないのでなんとか私の力でも持っていかれずに流したり弾くことができますね。

 激しい動きの中で喉奥に刺さっていたナイフが抜けて内側を傷つけたのか真レオウルフキングがひるみました。チャンスです。


「『ダッシュスラッシュ・ロングクロス』」


 動きが止まった瞬間を狙って真レオウルフキングに近づき、スキルによって刀身が伸びた短剣で左前足を切り落としました。ダメージは与えられると思っていましたが切り落とすところまでは想定外ですね。いい意味で。

 口まで出てきた短剣をペッと吐き出した真レオウルフキングは、片足を失い、どくどくと血が流れて草原を赤く染めていますが、それでも闘志を失わずにこちらを睨みつけていました。


どうもコクトーです。


今回もキャラビー視点なので職業レベルは無しです。

お盆は比較的朝の通勤電車が空いていましたがそれももう終わりですね…


ではまた次回

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ