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キャラビーとユウカの物語です7

今話もキャラビー視点です。ご注意ください。


 ユウカ様と共に魔王軍幹部の襲撃について報告を行った集会から2週間が経ちました。

 あの宣言の後、ユウカ様の圧にちょっと昂ってしまったSランクの方々の圧で気絶してしまい、別室に運ばれて寝ていたのだそうです。意識を失った私が気が付いたのはユウカ様に背負われて館に向かう帰り道でした。既に町の外に出た後で、町の方からの好奇の視線を浴びながら大通りを歩いてきたとのことでした。自分の足で歩くので起こしてくださればよかったものを……。


 あの後も体の動きのぎこちなさが抜けなかったユウカ様ですが、3日も経つと服の内側に巻いていた包帯も外し、鍛錬の場でもユウカ様自身が相手をするようになりました。そしてそれから数日後にはダンジョンに入っての鍛錬も始まりました。


 基本的にユウカ様はダンジョンに入る日は疲れや不調がある状態で入ることがないように軽くにしておけと言います。あえて疲労を溜めた状態でダンジョンに入り、万全ではない状態でのダンジョンでの立ち回りを学ぶという訓練も一度ありましたが、こんなものは例外中の例外だと言っておられました。

 そもそも戦争などの強制依頼でもなければ冒険者がそんな状態で活動しなければならないような事態に陥ることの方がおかしいとのことをおっしゃっていました。もちろん万全な状態で始めたダンジョン攻略の中でそういう状態になることはあるでしょうが、そういう時はなんとか安全地帯を確保して回復に専念するか、その時点で撤退すべきであると。


 今朝、ユウカ様から「朝の鍛錬は軽めにしておくように」と指示を受けたので、今日は日課のランニングと短剣の素振りだけで終わらせました。朝食をとった後はダンジョンに向かうのでしょう。

 武器の手入れは十分。魔法袋にはダンジョンに潜るのに必要な道具が一通り用意できています。今日向かうことになるダンジョンがどこかはわかりませんがどこであっても対応できるように必要な道具の確認は怠っておりません。



 ユウカ様についてやってきたのは『生の草原』でした。

 これまで、ダンジョンに来る際にはユウカ様と私、そしてみぃちゃんの2人と1体で来ていました。ただ、今日はそれに加えてカルアも一緒に来ていました。普段はアンナと一緒に館の護衛として残っているのですがカルアも今は私の従魔ということになっていますし、連携を深めておこうという魂胆なのでしょうか?


「今日向かうのは50層じゃ。ついてまいれ」


 前回ここに来た時は30層に入って洞窟エリアでの戦闘でした。草原とはまた違った罠の配置で厄介でしたが、なんとかユウカ様の言いつけ通りにこの階層で最上位クラスの相手であるテレポドラゴンも倒すことができ、上々な戦果だったと思います。


 転移陣で50層にやってくると既にボス戦の列ができており、今は3人組のパーティが受けているところでした。


「ふむ、少し待ちじゃな」


「今日はボスに挑むのですか?」


 てっきりここから49層に降りて行って戦闘の訓練をと思っていたのですが当てが外れましたね。でもこのためにわざわざカルアを連れてきたということなのでしょう。


「その通りじゃ。そのためにカルアも連れてきたからの。既に話は済んでおるからお主には始まったら伝えようかの」


「くわー」


 カルアは自信満々に鳴きました。なにやらあまりいい予感はしませんがユウカ様も完全にできそうもないような指示はしないはず。ユウカ様がボスを下すまでに取り巻きとして現れるモンスターたちをカルアとみぃちゃんと協力して全滅させるとかそういう訓練でしょうか? ご主人様やマナ様と違い、私は魔法を使えません。魔導書はご主人様よりいただいた一冊を常に持っていますが、クエイクは攻撃に使う魔法ではありません。取り巻きの分断、正確に急所を捉えた攻撃、範囲攻撃を持っているカルアの補助をメインにするべきでしょう。


「ふむ、そんなに時間はかからないようじゃな……。キャラビーよ、相手の情報はきちんと入っておるな?」


「はい。『生の草原』のボス戦は二度目ですので」


「メイたちとやった時に調べておったのか。よろしいよろしい」


 ユウカ様が頭を撫でてくださいました。ご主人様のなでなでが欲しいところですが今はまだ耐える時です。その時には頭だけでなく全身くまなくなでなでしていただかなくてはいけませんね!



 ユウカ様と一緒に列に並びながら前の方々のボス戦を観察していると、1つ前の組の戦士がボスである真レオウルフキングのダークランスを受けて倒れ伏しました。すぐに遊撃に動いていた盗賊がカバーに入ります。取り巻きは残りわずかですが、急いで倒さなければボスの動きをけん制できる人間がおらず魔法使いの攻撃が難しくなりそうです。


「スキルを使った際の膠着をボスに狙われたの。これまではうまく回りのメンバーが隙を潰しておったが、攻撃が単調になっておった。勝負を焦ったようじゃな」


 彼らが戦う一組前にボス戦をしていた冒険者パーティが『青き空』のパーティで、何度も戦っているのかあっという間に倒してしまってました。それを間近で見ていたのもあり、彼らもやや前傾姿勢になっていたのだろうとのことです。それでやや疎かになった連携の隙を出の速い魔法で狙われた形です。取り巻きの動きに気をとられてしまったのもあるかもしれませんね。


「じゃが、何とかはなりそうじゃな。分身は消せておるし、何よりボスの足を奪いおった」


 魔法使いの放った風の斬撃が真レオウルフキングの前足を半ばから切り落としました。もう片方の足にも取り巻きを倒しきった槍使いの攻撃が入りました。これで真レオウルフキングはウリである高機動を活かすことはできません。


「ほれ、直に終わりそうじゃ。行くぞ」


 前足を失って地面に倒れた真レオウルフキングに攻撃が殺到し、そのまま倒しきりました。戦士の方も魔法使いの回復魔法でなんとか一命はとりとめたようで、槍使いの方と弓使いの2人に支えられて一足先にボスエリアの奥にある転移陣の方へ向かっていきました。安静にできる場所か、よりしっかりとしか回復を求めて『白き御旗』の方々がやっている回復施設に行くのでしょうか?

 残りのメンバーでドロップした宝箱の中身を回収し、ボスエリアから出ていくと、次の挑戦者を受け入れるようにボスエリアが解放され、私たちの番になりました。


「大丈夫じゃな? 武器は構えておけよ」


「はい。既に」


 両手に短剣を構えて私はユウカ様、みぃちゃん、カルアと一緒にボスエリアに侵入しました。


 ボスエリアが閉じられると、すぐにボスの真レオウルフキングと、取り巻きのウルフ系モンスターたちがぞろぞろと周囲に出現しました。


「ほれ、カルア頼むぞ」


「くわー」


 ユウカ様の指示に従ってカルアがボス以外を周りに押し出すように風の結界を貼りました。だんだんと広がっていく結界は取り巻きのウルフたちが攻撃を仕掛けますがびくともせずにそのまま私たちの方まで広がってきました。


 トン


 風の結界が目の前で止まり、どちらから攻撃に移るべきかと周囲に気を配っていたところ、人一人が通れる程度に穴があき、素早く後ろに移動したユウカ様に押されたことで私は結界の中に入ってしまいました。


「さすがに周りのも含めてと言うのは気が早いからの。そちらはみぃちゃんとわしがやっておくから頑張るのじゃ」


 ユウカ様から課せられた今日の訓練。それは『生の草原』ボス、真レオウルフキングとの一対一での戦いでした。


どうもコクトーです。


今回もキャラビー視点なので職業レベルは無しです。

またも先週はすみませんでした。全然書けなかったんです……。


ではまた次回

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