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アントホームです3

 キングアントへ俺が駆け出した時、やつの後方の壁の穴から人が入ってくるのが見えた。こそこそとなにかをしているように見えた。なにやってんだ?

 まあマナたちがなんとかしてくれるだろってことでスルーで。

 改めてキングアントを見る。いや、感覚的には見上げるだな。

 体長は普通のアントが1.5m~2mくらいなのに対して、こいつは4mは超えている。たぶん地球の蟻みたいな風になっても2mは余裕で超しそうだ。分厚い手足は人間の胴くらいある。口は俺なんか軽く丸のみにできそうなくらいで鋭い牙がかなり生えている。武器は持っていないが、手足一本一本が先についてる鉤爪みたいなとこのおかげで鎌みたいになっている。ほんとに蟻なんだよな? そうやって一度尋ねてみたいくらいだ。

 キングアントが俺に向けて手を振り下ろす。それを棍棒で右に弾き飛ばすと続けざまに振り下ろされる手を今度は左に弾く。一発はじくごとに棍棒が削られていく。1発で折れないあたり、この棍棒は意外と頑丈そうだ。リーチは圧倒的に向こうが上なのでまずはその利を潰すために距離を詰める。その間も何度も手を振り下ろしたり薙いできたりするが、棍棒ではじきまくる。

 ある程度まで近づいた時、はじいた棍棒から『ミシッ』と聞こえた気がした。あ、次で折れるなこれ。

 そう感じた俺は慌てずに棍棒をキングアントの顔面めがけて投げつけた。今にも俺に振り下ろそうとしていた手を防御に回して防ごうとしたキングアントだが、若干反応が遅れたせいか、その手が向いてはいけない方向へとまがった。


「キィィィィィァァァァャァァャャアアアア!!!」


 痛みで叫び声をあげるキングアントをよそに次の武器を用意する。今度は錆びついた剣だ。なんとか3発くらいは耐えてくれると信じたい。

 キングアントは叫び声を止めると体を大きくのけぞらせた。即座に俺になにかを吐きつけてくる。それを後ろにとんでかわして一旦距離をとった。

 俺のいた場所にキングアントが吐いた液体が落ちる。そこからは煙があがり、地面が溶けていた。強酸ってところだろうか。いや、蟻だから蟻酸か?

 とにかく喰らったらまずいということは間違いなさそうだ。棍棒や剣なんか一発でなくなってしまう。一回しか見てないのでなんとも言えないが、おそらくあれを使うにはさっきもやったみたいに構えがいる。なら避けるのはなんとかなりそうだ。

 距離をとったことで先程見かけた冒険者たちのことも視界に入った。

 なにやらごそごそやってる程度にしかわからなかったが少し見てると何をやっているかわかった。俺たちが倒したアントを解体して自分たちの袋に詰めている。おいお前ら何やってんだ? それ俺らのだぞ。

 マナとヒツギのほうを見ると、向こうは向こうでマナがヒツギに『解体』の魔法を教えている。ヒツギは解体する必要ないと思うんだが……。というかまだ戦闘中だぞ? たしかにキングアントは俺が、とかなんとか言った記憶があるけどさ。

 まあ、それはともかくとして、俺たちの倒した魔物を我が物顔で俺がまだ戦ってる最中に持っていこうとしているそいつらに少しイラってきたので少し脅すことにした。

 俺と盗人冒険者たちの間にキングアントがいるような位置に移動する。盗人に裁きをってね。


「『ダークランス』」


 まっすぐ20本の黒い槍がキングアントに飛んでいく。俺の予定ではかわすなりはじくなりしていくつかあいつらの近くに着弾して驚かす予定だ。一応2,3本は直接あいつらの近くに落ちるような軌道になっている。これでもしあらかたかき消されてもたぶんあいつらに警告はできるだろう。つか他人が必死に強そうなモンスターと戦ってんのにそのすぐそばで死体をあさるってどんな神経してるんだろうか。

 キングアントはよけようというそぶりを見せない。すべてはじききるつもりなのか!


「キィィァァァアアアア!」


 真っ先に迫りくる1本に向けてキングアントが手を勢いよく振り下ろす。







「え?」


 キングアントの手がちぎれ飛んだ。


「キィィァァァアアアア!」


 その後も1回振り下ろすごとに『ダークランス』に撃ち負けて手がちぎれていった。もともと『ダークランス』の本数よりも手の数のほうが少ないため、あっさりと槍がキングアントに突き刺さる。もともと外す予定だった槍は予定通り後ろのほうにいた冒険者たちの近くに着弾し、衝撃で冒険者たちがふき飛ぶ。さらに、『ダークランス』の1本がキングアントの眉間に突き刺さった。


「ギィィィァァアガァアア」


 断末魔の叫びをあげながら。仰向けに倒れるキングアント。そいつはもうピクリとも動かなかった。


『職業:冒険者がLv49になりました

 格闘家がLvMAXになりました

 狙撃手がLv38になりました

 剣士がLv35になりました

 武闘家がLv31になりました

 戦士がLv33になりました

 魔法使いがLv40になりました

 薬剤師がLv34になりました

 スキル:近接格闘威力上昇Lv3 剣閃・十 ダークランスLv4を習得しました

 スキル:偽二刀流Lv2を習得しました

 職業:魔術師になりました

 職業:格闘家がLvMAXになったので狙撃主を有効化します』


「あれ?」


 想像以上にもろかった様子のキングアント。『ダークランス』1発で沈むとか……。

 いや、経験値はすごいあったらしいんだけどね。

 ポカンとしている俺のところに二人が駆け寄ってくる。


「なんかあっさり倒しちゃったね。どうする?」


「とりあえずこれは持ってったほうがいいと思うけど…」


「だよな。そういえば『解体』してたけど武器ってとってある?」


「うん。『解体』したのはアント3体だけだからあとはまだやってないよ。とりあえず全部持ってって外でやろ。解体にしてもパワーアップにしても外に出てからやっちゃえばいいしね。アイテムボックスは生きてるものはいれられないけど死体なら大丈夫だし」


「ここでやってもいいんじゃないか?」


キングアント(これ)の報告を先にしないとだめだと思うよ。さすがに1層でこれまでボスだと思ってたモンスターと同種が出るとかやってられないもん」


「そのことなんだが、1つ確認しときたいことができたんだよな。たしか勇者(あいつ)は素材持ってきたんだよな?」


「そう言ってたはずだよ」


「それがほんとにキングアントのものか気になるんだよ。変異しててもおかしくないと俺は思う」


「キングアントの上位種ってこと? そんなのいるの?」


「オーガキングには上位種がいたぞ。ならいてもおかしくない」


「今さらっとすごいこと言わなかった? オーガキングって個体によってはA+にまでいくようなモンスターだったと思うけど……」


「気にしたら負けよマナ」


「そういうことだ。とりあえずしまって戻るか」


 俺はアイテムボックスを開いてキングアントをしまう。触れて、入れ! って思ったら入ってくれた。便利だな……。


「よし。残りも俺のに入れとくか?」


「お願いしていい?」


「1つにまとめといたほうが楽そうだよね」


「わかった。じゃあ1か所に固めるの手伝ってくれないか? 俺も入れて回るけど散らばってるより早く終わ」


「おいてめぇ! いきなり攻撃してきやがって! なにしやがんだ!」


 3人組の冒険者が全員武器を抜いて俺たちのほうに怒鳴りながら歩いてきた。男3人で、2人はそこそこ重装備で、もう1人はローブだけだった。あちこち傷だらけで血もそこらから出てる。うん。間違いなくさっき死体をあさってた冒険者だな。


「なにを言ってるんだ?」


「ふざけてんじゃねえぞ! てめえの魔法のせいで俺たちこんなに怪我しちまっただろうが! どうしてくれんだあぁん!?」


 鎧を着こんで、剣を持った男がにらみつけてくる。後ろで短剣と杖を構えた2人もにやにやとしながらマナとヒツギを見てる。気持ち悪!!


「そうは言っても俺はあのモンスターとの戦いの最中に少しあんたらの様子は見えたが、それを気にしてる余裕なんかなかった」


「俺らに気が付いていてあんなことしたってんのか!? 俺らをなめてんのかぁああ!?」


「ならお前はキングアント(・・・・・・)と1対1で戦闘している最中に少し見えた程度の冒険者に気を使って戦えるのか?」


「そ、そんな言い訳知らねえよ! とにかく、慰謝料としてさっきお前が倒したでかいモンスターの素材を全て俺らに寄こしやがれ」


「あ、女二人ももらってくからな。俺たちがかわいがってやるよ」


「何言ってんだ? 二人は渡さない。それになんで俺らが倒したモンスターをお前らに渡さないといけないんだ?」


「そうよ。それにあなたたち私たちの倒したモンスター勝手に解体して袋に閉まってるでしょ? むしろそれを返してよ」


「どこにそんな証拠があるんだよ!」


「じゃあなんであんたら俺らが倒したモンスターの死体のところにいたんだ? それになんでまったく触ってないはずの死体から換金可能な部分だけがなくなってんだ?」


「う、うるさいうるさいうるさい! お前らは俺たちの言う通りにしてればいいんだよ! お前らやっちまえ!」


 それぞれの武器を掲げて攻撃してこようとした3人組に対して、俺は威圧で対応する。

 割と至近距離で思いっきりやった威圧をもろに受けた3人組は全員一様に気絶した。なんだったんだろうか?


「さて、こいつらギルドに突きつけたらなんかあるかな?」


「うーん、同じこと何度もやってそうだけどね。死体だけ奪ってくとかは」


「なら一応持ってくか。あ、道具は全部もらっとこう」


「アイテムボックスは使えなさそうだしこの大きめのカバンと、あとは身に着けてるものだけかな」


「武器だけでよくない? これ着るのはいやだし……」


「だな。じゃあさっさと集めていくか」


 武器は杖をマナに渡して、残りの剣と短剣は俺がアイテムボックスにしまった。他の道具類はマナとヒツギが分担して持っていくようだ。少しではあるが回復薬等もあり、足しにはなった。

 それから10分くらいかけてモンスターを全部アイテムボックスに入れた俺たちは、気絶したままの3人組を俺が担いでダンジョンから出た。

どうもコクトーです

今回は少し長め(当人比)です


『刈谷鳴』

職業

『ビギナーLvMAX

 格闘家 LvMAX

 冒険者 Lv49/99

 狙撃手 Lv38/50

 盗賊  Lv34/50

 剣士  Lv35/50

 武闘家 Lv31/60

 戦士  Lv33/50

 魔法使いLv40/50

 薬剤師 Lv34/60

 鬼人  Lv7/20

 ????の勇者Lv8/??

 狙撃主 Lv1/70

 獣人  Lv1/20

 狂人  Lv1/50

 魔術師 Lv1/60 』

職業もきちんと更新してますよー


話しのキリがいい感じに付かずに長くなりましたけどいつもより早く書き終わるというね…

なぜだ…


まあ気を取り直して。

ではまた次回

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