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転移の日へです5



 騎士団監視のもとにはなったが、エルメラさんの出国を諦めさせる代償として行われることとなったエルメラさんへのご褒美タイム。『龍化』した状態の俺に涎を垂らしながらにじり寄ってくるエルメラさんは俺としては下手なモンスターよりも恐ろしいほどの威圧感を放っていた。ここで『龍化』を解除したらこれも収まるのだろうか。いや、その場合はさっさとしろと別の意味で詰め寄られそうだ。


 高速で迫ってきたエルメラさんの行動は予想に反して観察から始まった。ほぼ全身を覆う硬い鱗によって遮られてはいるが、エルメラさんは吐息が直に当たるほどの距離でまじまじと見ている。触れるか触れないかという微妙な距離を保ちながら可能な限り顔を近づけて俺の鱗を観察するエルメラさん。右足に始まり、左足、尻尾と順番に見て回り、たっぷりと時間をかけて再び右足に戻ってきた。


「おーいメイさんや、翼と背中見たいから下げてくれる?」


「ん? あーわかった。寝そべるから風に気を付けてくれ」


 エルメラさんに促されるままに体を地面に横たえて翼も体に沿うように下ろした。巨体が動いた時の風圧に煽られていたがそれも短時間ですぐにエルメラさんは俺の観察に戻っていた。

 普通に立っていた時には高くて近くで見られなかった部位を真剣に観察するエルメラさん。翼を確認する際には内側が見えなかったからついに触っていたがそれ以外には一切触らずにじっと俺の体を見つめていた。地面に寝そべったことで耳も近くなり、エルメラさんがボソボソと呟く言葉が聞こえてきてなかなかむず痒い。龍となった俺の翼の表面を見ながらこれはヌけるとかまじで辞めて……。


 頭の周りを見る時には目を瞑って視線が合わないようにしていたがそれを好機と見たのか、単にある程度観察し終えたからかわからないがエルメラさんのご褒美が一段階先に進み、俺の鱗に手を触れ始めた。直接肌に触れているわけでく、あくまでも触れているのは鱗であるからあまり感覚はない。だが完全にないわけではないため非常にくすぐったい。弓矢すら弾く『龍化』の鱗ではあるがさわさわと撫でられるのには弱いようだ。知らなくてもいい知識が一つ増えた。この知識が役に立つことは二度とないだろう。

 目を瞑っているから何をしているのかははっきりとはわからないが今は脇腹の辺りの鱗を確認しているようだ。押してみたりこんこんと叩いてみたり色んなことを試しているようだ。目を開けても見えるような位置ではないから意味はないが何をやっているのかわからないというのは少し怖い。まあエルフの騎士団の方々がいるから変なことはしないだろう。


「はぁ、はぁ、はぁ、メイさんやちょっと瞳がどうなっているか見たいから目を開けてくれる?」


「……わかった」


 息の荒いエルメラさんの指示に従って目を開けると、ドアップでやや頬を上気させたエルメラさんが映った。目は若干血走り、荒い息が瞳に直接かからないように口元に手を当てて手元で止まるようにしている。正直すぐにでも目を閉じて現実から逃げてしまいたかったが口元を隠す手の片方で瞼を掴んで閉じないようにされてしまった。痛くはないがどこからそんな力が出ているのかまったく閉じることができない。


「エルメラさん、掴むのはさすがにやめてくれません?」


「え? ああごめんよ。ついしっかり見たくなっちゃって。しかしこの状態の君の瞳は人の状態とはずいぶん違うみたいだね。ちなみにこうして開いたままの状態でも乾いたりはしないのかい?」


「まったくというわけじゃあないですが多少は余裕がありますよ」


「ほうほう。あ、下の方に涙がたまっているや。どれどれ」


 エルメラさんがその少しの液体に顔を近づけた。そしてそのままそれに口をつけた。


「解除!」


 涙にエルメラさんが口をつけた瞬間に『龍化』を解除して人の姿に戻った。そしてすぐに距離を取って『全方位結果』でエルメラさんとの間に壁を作る。俺の突然の行動に周囲のエルフたちがざわつく。俺の非難の視線を受けるエルメラさんはきょとんとした表情を浮かべていた。


「さすがにそれはちょっとダメですよ。これでおしまいです」


「ちょちょちょちょちょ、それはひどいんじゃない!? ちょっと、ちょっと涙を飲んだだけじゃない! それで私の至福の一時が終わっちゃうなんてあんまりだよ!」


 エルメラさんの悲鳴じみた言葉によって状況を察したエルフたちが呆れた表情を浮かべて近づくのをやめた。巻き込まれたくないからこちらに来るなとばかりに少しずつ距離を取ろうとする者までいる始末だ。


「一線を越えたかどうかの判断は俺がします。今のはアウトですよ」


「もう少し、もう少しだけ! あと一つやりたいことがあるの! 先っぽ、先っぽだけでいいから!」


「なんなんですかそれは……」


「『龍化』するのはちょっと待ってね。……痛い」


 『全方位結界』にまっすぐ突っ込んだエルメラさんはぶつけた額を抑えて涙目になる。もう落ち着きがなくなってるな。


「結界貼ってますから。そこに突っ込んだら痛いに決まってるじゃないですか」


「うぅ……、もう一個だけだから、これ解除してくれない? 本当に最後だから」


 しおらしく懇願するエルメラさんの言葉に折れ、結界を解除した。


「ひゃほーい! やってみるもんだね!」


「終わるぞこのヤロウ」


「まあまあまあまあ。あ、龍になるのはちょっと待ってね」


 あっという間に豹変したエルメラさんがすたすたと近づいてきた。さすがに変わる瞬間を間近で見たいとかだと危ないんだが。


「すぐ終わるからねー。レロ」


「やめんか!」


 曰く、人の状態と龍の状態で味の変化を知りたかったと言う変態(エルメラ)の脳天にチョップを落として、それきり俺は必要にかられない限り彼女の前で『龍化』を使うことはなくなったのだった。


 そして翌日。この里を去る日がやってきた。

どうもコクトーです。


『刈谷鳴』

職業

『最大

 ビギナー(10) 格闘家(50) 狙撃手(50)

 盗賊  (50) 剣士 (50) 戦士 (50)

 魔法使い(50) 鬼人 (20) 武闘家(60)

 冒険者 (99) 狙撃主(70) 獣人 (20)

 狂人  (50) 魔術師(60) 薬剤師(60)

 神官  (50) 剣闘士(60) 重戦士(70)

 龍人  (20) 死龍人(20) ローグ(70)

 魔導士 (90) 精霊使い(40)舞闘家(70)

有効職業

 聖魔??の勇者Lv23/?? 大鬼人 Lv26/40

 上級獣人Lv18/30   魔人  Lv15/20 

 探究者 Lv42/99   狙撃王 Lv15/90

 上級薬師Lv10/80    上級龍人Lv4/30

 死霊術師Lv24/100   アーマーナイトLv1/99

 剣闘騎士Lv1/99

非有効職業

 呪術師 Lv1/80    死龍王Lv1/30

 盗賊王Lv1/100    大魔導士Lv1/100

 上級精霊使いLv1/50』

先週はすみませんでした。仕事がかなり忙しく、反動でお休みの日にゲームをしすぎて書く時間が取れませんでした…

来週から2週続けて日曜夜勤の予定なのでまた少し遅れるかもしれません。


ではまた次回

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