平和な戦争後です2
新年あけましておめでとうございます。
2024年ものんびりだらだら続けていきます!
平和な数日が過ぎ、ついに国から正式に戦争の終結宣言がなされた。状況の確認の意味も込めて毎日向かっていた冒険者ギルド。いつもよりもなんか混んでいるなと思ってたら朝一でギルドマスターが終結宣言があったことを発表していたそうだ。
国としての宣言は別途行われているそうだが、戦争に合わせて体制を組んでいた冒険者ギルドとしては個別に終了宣言を出さないといけないんだとか。俺はエンシェントエルフ様直下の部隊として活動し、ギルド所属の冒険者としてはほぼ動いていないが、一部の高ランク冒険者は特にギルドからすぐに連絡が取れるようにすることを求められる。だからこそ、そうしたその町や村に留めていた冒険者たちの体制解除のために個別に宣言が必要なのだとか。偶然ギルドマスターから話を聞いてきたと言うクリステラ卿が教えてくれた。
戦争が終結し、体制が解除されたことで周りの森だったり、里の外に出るタイプの依頼が解禁された。戦争が始まってから本日の終結宣言まではだいたい2週間ぐらいだ。最初のうちこそ戦争への参加依頼という形で多くの冒険者が仕事をしていた。
しかし、各地の戦場での戦い自体は各地の魔物どもの殲滅という結果でもって終了し、この戦争での冒険者たちに求められた役割は激減してしまった。最低限の警戒、警備であればもともと兵士たちだけで事足りるわけで、治療が必要となった兵士や冒険者たちの治療のための『白き御旗』を中心とした回復魔法の使い手たち。襲ってきたモンスターたちのごみを焼却処分するため火魔法を使える冒険者たち。あとは探知に特化した冒険者たちなど、『ヤカリ森国』の兵士たちだけでは手が足りなくなっている部分を担当できる者たちだけに依頼が限られることとなった。
そんな状況の中で、森に入ることができない以上、冒険者たちも里の中で過ごすしかない。戦争で負った怪我の回復に努める者、この機会にと訓練に励む者、俺のように完全に休みにしてしまう者とその対応は様々だった。
しかし、それが一日二日ならばともかく2週間も続いてしまったことで発生したのは大量の金欠冒険者たちだった。戦争への参加によって支払われた金も使い果たし、そもそも持っていた金も底をついた。飯を買う金も、宿に泊まるための金もない。普段であればすぐにできそうな依頼を受けたり、森に入って採取やモンスターの討伐をして金を稼ぐことができたがそれもできない。
冒険者ギルドとしてもただでさえ国のバカな指示によって多くの冒険者が死んでしまったのに、生活のために借金を抱えたり、犯罪に手を染めてしまって奴隷落ちなんてことになったら困るため、里の中でできるような雑用や読み書きができる冒険者向けに書類の整理を依頼に出したりと対策はとってはいたがそれも限界があったのだ。
終結宣言と共に森に入ることが解禁され、復活した依頼を求めて冒険者たちが殺到。受付の人数を増やして対応しても捌ききれず、普段よりも遅い時間である今になってもまだ混雑してしまっていたと言うのが現状だ。
こうなってしまってはもう依頼もほとんど残されていないだろうし、急ぎで依頼を受けなくてはいけないような懐事情でもない。ここ数日で行ったアイテムボックスの整理によって、売ってしまって構わない物もわかっているから別にそれでもいいしな。解禁されたばかりの森ということもあって多くの冒険者たちがいるだろうと言う予想をもとに、俺はスキルの試し撃ちと鈍った体を動かすため、訓練場に向かった。
俺の思惑とは反して、訓練場にはまだまだ多くの冒険者たちが訓練に励んでいた。さすがに場所がまったく取れないと言うほどではないが、やはり視線を集めることには変わりなかった。
「おお大将! ここに顔を出すなんて珍しいな! 依頼を獲りそびれたか?」
訓練場に入って空いている場所にあたりをつけて向かおうとしたところで、訓練用に刃先を潰した斧を背にしたドワーフの戦士に声をかけられた。
「『コウテツ』の人だよな? いや、森に入るよりも空いていると思ったんだが、そうでもないみたいだな」
「リーダーしか挨拶はできてなかったな。俺はトムソンだ。まあ今日解禁、依頼も大放出! って聞いたところで即動けるのはソロのやつらか、よっぽど金が必要なやつだけだろうさ。ただここ数日よりは空いている方だと思うぞ?」
トムソンの話によると他のパーティに頼まれて模擬戦の真っ最中なんだそうな。今はリーダーのガンテツが相手をしているところ。『金の軍団』と同じく冒険者ギルドから指名が入るわけだし、この辺りでは一つ実力が抜けているのだろう。『コウテツ』としても自分たちのパーティメンバー以外と戦うことで得られるものがあると判断してのこと。実際、魔法使いのエルリックは昨日一緒に訓練していた別のパーティの魔法使いから杖術を習っていたそうだ。
「もしも時間があるなら大将もどうだい? 戦場で見かけた時には魔法ばっかりだったが近接も相当な腕前と聞いたぞ?」
「新しいスキルを試したくて来たんだが……まあ少しなら。あんまりこの視線の中で下手な真似はしたくないしな」
「あっはっは。まあやつらもずっとこのままってことはないだろうさ。俺もそうだが、自分たちの実力不足はよくわかっている。それに絶望すんじゃなく、なんとかするためにこうして訓練するって道を選んだやつらさ。模擬戦中はともかく、憧れの人をいつまでも見ているだけじゃ終わらんよ。何人か腕のたつやつは自分もやりたい! って言ってくるかもしれんがな」
やや苦笑いを浮かべながら話すトムソンの視線が自分たちのパーティに向く。よく見てみれば『コウテツ』の人数が一人足りていなかった。どうやらそいつは訓練するという道を選べなかったようだ。引退まではいっていないそうだが、このままいくと彼らのレベルアップについていけなくなるのはそう遠いことではないだろうな。
「なまった体を戻すためだし、やっても数戦くらいにさせてくれ」
「おうよ! なに、今いるやつらなら全員の力量はわかってる。ある程度はこっちで弾くぜ」
サムズアップして応えるトムソンと共に『コウテツ』の元へ向かい、ガンテツの模擬戦が終わり次第、俺とトムソンの模擬戦をすることになった。
「『回し蹴り』!」
「『大根砕き』!」
「『二段突』!」
俺対トムソンを皮切りに始まった模擬戦は、気が付けば一対二、一対三へと形式が変わっていた。
正面から突き出される槍を豊??地のガントレットをはめた右手で裏拳を決めて流し、右からきた足を掴んで斧を振り下ろそうとする男にぶつけて吹き飛ばす。そこに裏拳による弾きに耐えた『二段突』のスキルによる二発目の突きが放たれるが、槍の側面への打撃によってその射線を俺から外した。そしてスキルの硬直の影響もあって無防備に体が突っ込んでくるところにカウンターとして蹴りを入れた。槍を手放さないのはいいがそのまま吹っ飛んでいく男は体をひねって着地しようとするがうまくいかずに背中から地面に倒れ込んだ。
「『飛び蹴り』」
トムソンを吹き飛ばすために武器にした男が素早く起き上がり、こちらに飛びかかっていた。
「狙いが高いぞ。だからこうなる」
「え? うわ!」
頭を狙った飛び蹴りの足を右手でつかみ、そのまま頭の上で2,3回転回した後でまだ地面に倒れたままの槍遣いの方にぶん投げる。身のこなしの軽い格闘家はうまく槍遣いを躱したが、着地は決まらずに地面を滑ることになった。
「そこまで! 勝者メイ!」
審判を務めていたガンテツの声で周りの冒険者たちがわっと沸く。今戦っていた冒険者のパーティメンバーや周りで見ていた善意の冒険者による回復魔法を受けて、倒れていた3人がこちらにやってくる。
「片手で人を振り回すなんてどんなパワーしてるんですか。まだ少し目が回ってるよ……」
「大将のパワーはドワーフ以上だからな! ってなにもできなかった俺が言っても仕方ないが」
「あの状況でもトムソンなら彼が怪我しない程度には庇えるだろ? それに他2人相手しながら大斧の振り下ろしなんか受けたくなかったからな。別にああやってぶつけなくても攻撃してる相手の方にずらしてやれば防ぎやすいから」
「いや、斧の振り下ろしは普通受けるんじゃなくて避けるもんじゃ……いやなんでもないです、ハイ」
模擬戦をしては周りの冒険者も一緒になって模擬戦の感想を話し合う。ある程度話しきるか、時間で区切って次の模擬戦へ。そんな形で行ってきた訓練だったが、結局俺がまともに攻撃を受けたのはガンテツとの模擬戦だけだった。せっかくだから普段のように剣を使った受けではなく、ガントレットをはめた腕と手足を使った受けの練習にしてみたが、突きに対しての防御はもう少し考えないといけないかもな。最後も危うかったが、横に押したのを無理矢理修正してくるとは思わなかった。
「メイさん、こちらにいらっしゃると聞きましたがどちらですか? ギルドマスターがお呼びしています!」
普段メインタンクの役割だと言う戦士と槍を受ける時のずらし方について議論が始まったところで訓練所の入り口から職員さんの声が響いた。エンシェントエルフ様か里長から何か話が合ったのかな?
「ギルマスがお呼びなら仕方ないですね。メイさん、今日はありがとうございました」
「いえ、こちらこそ。いい訓練になりました」
俺との模擬戦はここまでということで参加者の代表となったガンテツと握手を交わし、俺は職員さんの方へ向かった。
どうもコクトーです。
『刈谷鳴』
職業
『最大
ビギナー(10) 格闘家(50) 狙撃手(50)
盗賊 (50) 剣士 (50) 戦士 (50)
魔法使い(50) 鬼人 (20) 武闘家(60)
冒険者 (99) 狙撃主(70) 獣人 (20)
狂人 (50) 魔術師(60) 薬剤師(60)
神官 (50) 剣闘士(60) 重戦士(70)
龍人 (20) 死龍人(20) ローグ(70)
魔導士 (90) 精霊使い(40)舞闘家(70)
有効職業
聖魔??の勇者Lv23/?? 大鬼人 Lv26/40
上級獣人Lv18/30 魔人 Lv15/20
探究者 Lv42/99 狙撃王 Lv15/90
上級薬師Lv10/80 上級龍人Lv4/30
死霊術師Lv24/100 アーマーナイトLv1/99
剣闘騎士Lv1/99
非有効職業
呪術師 Lv1/80 死龍王Lv1/30
盗賊王Lv1/100 大魔導士Lv1/100
上級精霊使いLv1/50』
皆さまあけましておめでとうございます!2024年もよろしくお願いします!
というわけで新年最初の更新です。いつもよりも文字数多めでお送りしております。
ではまた次回




