アントホームです2
モンスターを求めて左に曲がった俺たちは、大きな広場の入口で止まった。おそらくあと一歩進むと大量のパワーアップアイテム……もといモンスターが出てくるはずだ。ここのモンスターの戦いかたも知れるし一石二鳥だな。
アイテムボックスからは折れてない棍棒を二本取り出してある。これ持ち運びするようにしようかな。いちいち出してたら時間の無駄だ。ヒツギもマナも得物を取り出している。正確に言えばヒツギははじめから出していたのでマナだけだ。ヒツギの棺桶はアイテムボックスもかねてるっぽい。
マナはこないだは武器を使っていなかったはずなのだが、今回は使うようだ。つかマナ武器使うんだ。ダンジョンでは魔法だけでは危ないってことかな?
その手に持っているのは杖だ。先端に大きな水晶の珠がついている、固そうな木の杖。表面はなだらかで光沢もある。殴ったらいたそうだ。
「準備いいか?」
「大丈夫だよ」
「問題なし」
その言葉を聞いて俺たちは警戒態勢でその広場に入った。
広場に入ったとたん、入口が塞がれ、退路が絶たれた。そして大きな音でアラームが響き渡る。そして奥の穴から続々ととめどなくアントが出て……きたりはしなかった。
入口も開いたままだし、アラームも鳴ってない。奥に穴はあるけどモンスターはでてこないし、突然転移されても来なかった。
拍子抜けしつつも警戒は怠らず奥に進む。なにもない。なにも起こらない。
そしてついには奥の穴へとたどり着いた。やっぱりなにも起こらない。
「あれ? モンスターハウスは?」
「なかったね。解除されたのかな?」
「ついさっき討伐されたって可能性もあるかもね。私たちだけがここに潜ってるわけじゃないし」
「一応奥まで調べるか。ここじゃなくてさらに奥に広場でもあるかもしれないし」
穴の中をゆっくり進む。罠もなにもない。小石が転がってるくらいだ。
10分くらい道なりに進んだ結果、穴の向こうは行き止まりで、奥にもなにもなかった。
「……次の階行くか」
「次もこんな感じだったりして」
「それならそれでどんどん下に行くだけだな」
「いっそ攻略しちゃう?」
「さすがにあっさり攻略できるほど強くないと思うぞ俺ら。ゆっくり行こうぜ」
来た道を引き返していく。なんかこれ経験ある気が……。
罠もなかったので戻るのは歩くペースが自然と早くなる。そして広場が見えた。いや、見えてしまった。
「「「…………」」」
蠢く無数の黒。自分達が今戻ってきた道にはいないが、左右の壁にも穴があいていてそこからわらわら出てきている。中には体の大きなやつとか、体格の違うもの、武器を持つもの、一体しかいないが一際目立つものなど種類は様々だ。
うん、なんかデジャヴだ。たしかオーガたちのダンジョンでも同じようなことがあった。なぜ思い出さなかったのだろう。奥の道を進んで、戻るとたくさんのモンスター。油断させるにはこれほどいい手はないだろう。
「まぁ、多いけど行けるよな? あのでかいのと目立つのは確実に喰らっときたいな。どうみても上位種だろ」
「何て名前だろ? 『鑑定』」
『アント(アント種)
ポーンアント(アント種)
ナイトアント(アント種)
ルークアント(アント種)
ビショップアント(アント種)
ファットアント(アント種)
ハイアント(アント種)
エルダーアント(アント種)
ソルジャーアント(アント種)
キングアント(アント種)』
たくさんいるな。あとおかしいのがいる。キングアントだ。たしかこのダンジョンのボスって話じゃなかったか? やっぱあの違和感が当たったってことか?
俺が覚えていた違和感、それは本当にキングアントがボスなのかということだ。話を聞いてからずっと考えていた。地球の蟻は卵から生まれる。それはおそらくここでも変わらない。なら誰が卵を生むのか。ダンジョンコアから生まれてくる可能性も否定できないが、ダンジョンになる前は? ダンジョンの外にいるアントは?
俺のだした答えは『女王蟻がいる』だ。
そのメスが仮にいたとしたら間違いなくそいつがボス。キングアントはいわば中ボスなのだろう。そしてもう一つ思うところがあった。
本当にキングアントだったのかということだ。
ここのダンジョンでボスとしてキングアントが発見されてからいったいどれくらい経ってるのかは知らない。だけど、少なくても年単位であることは想像できる。その間一体(?)で階段を守り続けてきたのだろう? そんなやつが上位種に変異していないとは考えられない。だって俺の目の前で上位種に変わったモンスター何体か見てんだよ? オーガキングとかさ。キングアントがそうでない可能性は低いと思う。
「って考えるよりは動かなきゃな」
「うわぁキングアントいるね」
「でもそんな強くなさそうだけどな。たぶんあいつが倒した奴は変異したやつだったんだと思うよ」
「倒されたからキングアントがでてくるようになったってこと?」
「その辺はこいつらに聞いてくれよ。まぁまずは様子見かな」
一斉にこちらに向かい始める様々なアントたち。武器を向けるもの、口を大きく開いて向かってくるもの、魔法を使おうとするもの……どんな魔法使うんだろう……はっ、魔法きかないの俺だけだった。なら使わせても数体だけにしないとな。
俺の周りに黒い球体と火の弾、水の弾、風の弾が次々浮かんでいく。
「『ダークランス』、『ファイアバレット』、『アクアボール』、『エアロ』乱れ撃ち」
俺の適当に撃ちまくった魔法がアントたちを蹂躙していく。
魔法を使おうとしていたビショップアントや、武器を向けてきてた各種アントたちや普通のアントたちも次々やられていく。あれ? こいつら意外ともろいぞ?
それでもそこそこ残った。
「メイ、一人でやらないでよ。『サンダーアロー』」
「そうだよー。遠距離だと私あんまり戦えないんだから」
とは言いつつも棺桶のふたが開いて針が飛び散ってアントに突き刺さっていた。でも目に見えて針の勢いが落ちている。こっからは肉弾戦かな。
というか全員戦闘狂かよ。
「悪い悪い。でも結構数減ったろ? ちょっとキングアント狙ってみるから後頼む」
「ファットアントは焼き尽くしてもいい? あれは見てたくない……」
近づいてきたアントを棍棒で殴り飛ばしてちらりとファットアントを見る。
ファットアントは初めの場所から動かずに手が届く範囲の死んだアントたちや死んでないアントまで喰ってる。おい喰ってんじゃねえよそれを喰うのは俺なんだよ!
じゃなかった。喰うたびになんかでかくなってないか?
「速攻滅却で」
「了解『ファイアバズーカ』!」
「キィャャアアアアアアアアアアアアアア」
特大の炎の塊がファットアントに直撃する。耳が痛くなるような叫び声がするが耐えられないわけでもない。ファットアントは燃やされながらも近くで巻き込まれてたアントを喰ってる。いや、体燃えてんだから喰うのやめようぜ?
結局手の届く範囲のアントを喰いつくしたところで完全に動きが止まって直に体が崩れた。アントのはずなのに肉の燃えるにおいがする。嫌だなこれ……。
顔をしかめながら崩れていくファットアントを見る。その間も襲ってくる各種アントたちを棍棒で散らしていたのだが、ふいに襲撃がやんだ。みると、ヒツギが棺桶と鎖で片っ端から潰したりちぎったりして倒していた。あ、あとはキングアントしかいない。いつのまに……。
「頑張ってねー」
「期待してるよー」
お前らなに観戦モードはいってんの? 普通援護してくれるところじゃないの?
「キィィィィィァァァァャァァャャアアアア」
キングアントは完全に俺をロックオンしていた。なんで? ねえなんで空気よんじゃうわけ? ねえ!
「まあいいか。どれくらい通用するか、試させてもらうぜ」
俺は両手の棍棒を強く握りしめ、キングアントへ向けて駆け出した。
どうもコクトーです
少し間に合わなかった…
『刈谷鳴』
職業
『冒険者 Lv48/99
格闘家 Lv48/50
狙撃手 Lv37/50
盗賊 Lv34/50
剣士 Lv34/50
武闘家 Lv30/60
戦士 Lv31/50
魔法使いLv38/50
薬剤師 Lv33/60
鬼人 Lv7/20
????の勇者Lv8/??
狙撃主 Lv1/70
獣人 Lv1/20
狂人 Lv1/50 』
やっちゃったぜ!
見直してますが誤字脱字は大いにあります
毎度すいません
ではまた次回